storie編集部は今回、「女子イエナカ研究所」ひいては、「モチイエ女子web」の生まれた背景や狙い、反響などを探るため、三井不動産レジデンシャル市場開発部 商品企画グループの守屋明日香氏と仲本裕子氏にインタビューさせていただきました。(提供: storie 10月27日掲載記事 )
三井不動産レジデンシャルが運営する「女子」と「住」がもっと近づくことを目指したwebサイト「モチイエ女子web」のコンテンツの一つとして発信されていますが、そこに掲載されている内容がとにかくスゴいんです。女性同士でさえ、これまで知りたくても知ることができなかった単身女性の居住形態や生活実態に関する調査結果が赤裸々につづられています。
「女子イエナカ研究所」発足の理由に迫る
storie: まず「モチイエ女子」をテーマとした情報発信を始めた背景を教えてください。
守屋氏: 昨年7月にモチイエ女子projectを立ち上げ、その発信の場として「モチイエ女子web」を開設しました。人口減少に加え、ライフスタイルの多様化が進んでいるなかで、当社の物件を購入する単身女性が増えていることもあり、単身女性とより積極的にコミュニケーションをとっていきましょうということで、このプロジェクトが始まりました。
storie: どのような理由で「女子イエナカ研究所」が作られたのか教えてください。
守屋氏: 単身女性が家を買うときの特徴的な行動と、彼女たちとのコミュニケーションの手法に工夫が必要であることを考慮して、「モチイエ女子web」のコンテンツは設計しています。
以前、単身女性のマンション購入者にインタビューしたところ、家を買おうと思ったきっかけは、友達や会社の同僚、後輩が購入したことだったという回答を多くいただきました。
このことから、単身女性は身近な人が家を買うまで、自分自身で家を買うという選択肢が思い浮かばない状態にあることが推測できました。
また、住まいを提供する側が家の購入を勧めるメッセージをいくら発信しても、自分たちに向けたものとは認識していないため、違うコミュニケーションの手法に立ちたいとも思いました。一般的な不動産広告は、家を買いたいと興味を持っている人以外には、その内容はほとんど届きません。
では、どうやったら、家を購入する気がない人にも見てもらえるのか、という視点から、賃貸暮らしや実家暮らしといった内容を扱うことで、自分ごとの情報として見てもらえるのではないかと考えました。
オモシロ研究員は実在するか?
storie: 「女子イエナカ研究所」では、研究員のコメントのやり取りが面白いのですが、研究員の方は実在するのでしょうか。
守屋氏: 研究員は実在しません(笑)。社内でも「誰がモデル?」という会話がなされ、髪型が似ている社員が研究員のモデルと思われたこともあります。実在はしませんが全て女性で進めているプロジェクトですので、プロジェクトチームのメンバーが、それぞれの生活実態を明かしたリアルなディスカッションから生まれています。
storie: 素朴な疑問ですが、単身男性向けにも同様のプロジェクトは展開していますか。
守屋氏: いいえ、現状は女性だけです。単身男性は、ファミリー向けの70㎡の3LDKを選ぶ人もいれば、50㎡の1LDKを選ぶ人もいます。将来結婚して妻や子供と住むことを想定する人も、投資用に購入する人もいることから、単身男性に向けた商品として、セグメンテーション(市場細分化)しにくいことが理由です。
また、女性が使いやすい商品であれば、男性も使いやすいであろうということからも、まずは女性にターゲットを絞っています。
モチイエ女子の実相に
storie: 単身女性に向けた商品はどのような点で絞りやすいのでしょうか。
守屋氏: 単身女性は、1LDKで40㎡~50㎡のコンパクトなタイプを選ぶ人が多いので、商品企画としてセグメンテーションしやすいです。
storie: 単身女性が購入する物件エリアの特徴はありますか。
守屋氏: 資産価値を最重視する方は都心のエリアで購入されますし、住み心地も重視する、あるいは同じような単身者ばかりではなく、24時間マンションに人がいるような物件を好まれる方は、ファミリー向きの間取りもある物件を選択されます。エリアはバラエティに富んでいますね。
storie: マンションを購入する単身女性はどのような方が多いのでしょうか。
守屋氏: 「女子イエナカ研究所」の調査結果(編集部注:第一部第一章イエナカ滞在時間と非外出傾向)にあるように、家にいることが好きな人で、自身の家のなかでの生活を豊かにしたいという人が多いです。
仲本氏: マンションを買うというと、収入があって華やかな生活を送っている方を想像しがちですが、実際には普通の会社員がコツコツとお金を貯めて購入するという傾向にあります。
守屋氏: 以前は自己資金なしで、フル・ローンで買われる方も多かったのですが、最近は、ある程度の自己資金を貯めて購入される方が多いです。過去10年くらいの統計では、30~40代で、年収500万円くらい、自己資金1000万以上の会社員の方がボリュームゾーンです。ただし、2014年度は物件価格が上がったため、購入者の年収等も若干変動しています。
「女子イエナカ研究所」として、単身女性の生活実態に関する情報発信を続けて行く中で、メディア側の捉え方に変化が現れたと守屋氏は語ります。