(写真=Thinkstock/Getty Images)
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「教育×ICT」の波で
近年盛り上がりを見せる「Ed Tech(エドテック)」

教育とテクノロジーを融合させた「Ed Tech」(エドテック)により、新しいイノベーションを起こそうとするビジネス領域が盛り上がりを見せている。その中、クラウド型サービスを基盤とする「教育プラットフォーム」への取り組みで、Ed Techに注力している企業がブイキューブ <3681> だ。

ブイキューブとはどのような企業なのか?

ブイキューブは、1998年10月、慶應義塾大学理工学部の学生だった間下直晃氏が創業した有限会社ブイキューブインターネットが前身だ。2015年7月に東証マザーズから東証1部に市場変更し、現在、資本金19億800万円(2015年11月30日現在)、従業員数約500名(連結ベース)、売上高46億8140万円(2014年12月期連結)の規模まで成長している。

「いつでも、どこでも、だれでも使える」をコンセプトに、インターネットを介し、マルチデバイスで利用できるテレビ会議/Web会議サービスやWebセミナー、電子黒板システムなどを、法人(B2B)市場向けに提供している。

国内で、企業向けの営業・マーケティング支援、教育機関向けの遠隔教育など、幅広い製品・サービスの開発・提供に注力すると共に、中国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、米国に拠点を設置し、グローバルな事業展開にも積極的だ。

ブイキューブの主な事業モデルは、①月額課金のインターネット経由で使用する「クラウド」型サービス、②導入時の初期費用を一括回収しユーザー企業の設備内に専用サーバーを置いて使用する「オンプレミス」型サービス、③電子黒板システムやテレビ会議システム等のハードウェアとソフトウェアを一体として使用する「アプライアンス」の3つから構成される。

クラウド型サービスは、コンパクトかつスピーディな導入が可能であると共に、一度、損益分岐点を超えれば高収益率が見込めるサービス形態である。変動費が少ないため、既存顧客の利用継続率を一定レベル維持できれば、翌年の売上高は、「12月の売上高(当年最終月)×12ヶ月分」に翌年の新規獲得分を加えた額が収益として見込める。他方、オンプレミス型サービスは、自前で運用・保守できる体制を有する大手企業や、セキュリティポリシー上、インターネット接続のクラウド型サービスを利用することができない官公庁や金融機関などのニーズに対応している。

同社は、クラウド型およびオンプレミス型双方の国内2014年Web会議市場で国内シェアNo.1を達成した(シード・プランニング調べ、2015年3月)。

ブイキューブの直近の決算説明資料をみると、事業拡大加速フェーズと捉えて積極的な販売活動投資を行い、目先の利益確保よりも市場やシェアの拡大を加速させることを狙ってきたことがわかる。

3つの成長戦略

ブイキューブは、以下の3項目を成長戦略として掲げている。

1.国内シェアの拡大と潜在市場の開拓
2.アジアを中心とする海外展開の拡大
3.社会インフラへの拡大(B2B2C型の拡大)

最近は、現政権下における規制緩和の動きを受けて、ブイキューブのサービスは、ICT化が進む社会インフラの一つとして利用され始めている。一例として、国土交通省が2015年8月31日から実施中の「ITを活用した重要事項説明に係る社会実験(IT重説社会実験)」に参加する大手不動産情報サービス会社がこの社会実験で利用しているのは、同社のWeb会議サービスである。

また、現政権の成長戦略の主要施策例として挙がっている、医療・介護・ヘルスケア産業の活性化の分野においては、遠隔医療、処方薬のオンラインでの対面販売等で、エムスリーとの合弁会社エムキューブがサービス開発を開始している。

政府は新技術の支援にも積極的であり、2015年12月10日に改正航空法が施行され、ドローン等の無人航空機の飛行ルールが新たに導入された。ブイキューブは、これに先駆けて、ドローン等のクラウド技術を利用したマルチロボットシステムの開発を行うRapyuta Robotics社へ出資し、ビジュアルコミュニケーションとドローンを組み合わせたサービスを提供するため、各種実証実験を積み重ねている。2015年10月に、子会社ブイキューブロボティクス・ジャパンを設立し、早期の本格事業化を目指している。

そして、ブイキューブが各種社会インフラの中でも、直近で積極的に投資しているのが、教育・研修分野の「Ed Tech」だ。

国内では、2014年5月に学校現場向けに電子黒板システム約2万台の導入実績をもつ国内トップシェアクラスのパイオニアVCを買収、2015年12月には、金融機関等の大手企業向けに高い実績を有する学習管理システム等を販売するシステム・テクノロジー・アイを株式公開買付け(TOB)で買収している。

また、海外においても教育ICT先進国とされるシンガポールの公立小中学校の5割以上を顧客として展開する教育プラットフォーム企業Wizlearn社を2015年10月に買収した。今後、海外展開策の一環として、Wizlearn社のサービスを、シンガポールから中国や日本へと拡張させる方針である。また、ブイキューブの中国子会社は、中国で30万人以上の生徒数を有する大手英語教育事業者の韋博國際英語(ウェイボー社)のオンライン教育サービスのインフラとして、2016年1月からブイキューブのサービスを提供開始する。

このように、「Ed Tech」において、グローバルに、幼稚園~高校から企業研修、一般研修まで、幅広く対応できるグループ力が同社の強みである。

文部科学省は、「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」で、学校のICT環境の整備を目的として、2014年度~2017年度に総額6712億円の予算を確保している。現在、この予算の執行に遅れがでており、今後は国の推進で、各自治体での予算執行が大きく進展する可能性があり、教育ICT分野でのプレゼンスを生かした「Ed Tech」の展開が可能となる。教育プラットフォーム企業として規模拡大が進むブイキューブは、「Ed tech」関連銘柄としても注目できる。

グループのシナジーを生かす「教育プラットフォーム」

2015年は、短期的利益よりも2016年以降の売上拡大を重視して、先行投資に積極的な姿勢を見せてきたが、今後は、これまでの投資を利益拡大につなげるべく、成長ドライバーである「クラウド」型サービスを基盤として事業拡大を図ろうとしている。その事業基盤上で、「Ed tech」を始めとする国内外の各グループ会社の優位な機能・サービスを融合することによって、どのようなシナジーを生み出せるかに期待がかかっている。