(写真=Thinkstock/Getty Images)
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農業のIT化が本格局面を迎える。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)合意で予想される農産物輸入の拡大を前に、国内農家はコスト競争力の強化を迫られる。

高齢化による担い手問題も深刻で、先端技術を活用した耕作の省力化や効率的な収穫への取り組みは喫緊の課題。こうした中、日本アジアグループ <3751> では人工衛星からの情報を活用した営農支援事業に乗り出す。キーウェアソリューションズ <3799> も自治体向けクラウド型サービスを開始した。

農業は国民生活に欠かせない重要産業であるにもかかわらず、日本の従事者の平均年齢は66歳と高く、耕作放棄地は増え続けている。産業としての成長性の乏しさから新規就農者も少なく、縮小均衡が加速している。しかし、そうした状況にも転機が訪れそうだ。

高齢化、TPPで市場本格化へ

カギを握るのがITによる技術革新。株式市場でもたびたび話題となる「植物工場」をはじめ、センサーなどのIT機器を使った作物の育成管理、農機の自動運転などが相次ぎ開発され、高コストや人手不足といった産業のネックの解決につながる道が開かれつつある。

さらにIT化を後押しするのが、今年日本政府が米国などと合意したTPPだ。関税撤廃に伴い海外産品の流入が増えれば、日本の農家はこれまで以上に厳しい競争にさらされる。重要5項目に入るコメについても、無関税枠が設けられることで安価な輸入品による価格下落を懸念する声があり、収益体質の強化は欠かせない。

日本アなど注目

実用の広がりが期待されるIT農業の一つが、衛星データを活用した作物の育成診断。日本アGは傘下の測量大手の国際航業がここ数年、国内の大学機関などと実証実験を重ねてきた。衛星画像で作物の育成具合を農地の区画ごとに細かく分析し、適切な肥料の量や収穫時期を判断するサービスの事業化を検討している。

同社ではデータをクラウド化し、農家やJA向けに提供する事業のモデルづくりを詰めている。世界的に衛星の打ち上げ数が急増しつつあり、インフラ面でも本格参入の機が熟した格好。「今後1年程度のうちに、サービスを顧客に届けられるようにしたい」 (国際航業・中央官庁事業推進室の新井邦彦地球情報担当部長) としている。

日本アGの株価は今3月期の配当予想発表をきっかけに、水準を従来の500円台から600円台に切り上げているが、PBR(株価純資産倍率)は依然0.6倍台にとどまる。中期経営計画で掲げる2020年度の連結業績目標は、売上高1500億円(今期計画790億円)、営業利益120億円(同42億円)と意欲的だ。

NEC <6701> 系のキーウェアが今年始めたのが、IT技術で農業の担い手育成や栽培方法の研究促進を支援するサービス。ほ場に設置した各種センサーから収集した情報をクラウド化し、生産者がリアルタイムで観察して農作物の生育に最適な環境に保てるようにする。同サービスについて5年で100カ所へのライセンスを目指し、「今年9月末時点で全国5カ所の農園で稼働している」(キーウェアの広報IR室)。

このほかIT農業の関連銘柄としては、グローバルでの事業拡大を視野に海外の関連企業のM&A(企業の合併・買収)を進めるトプコン <7732> や、衛星情報を活用したトラクターの自動運転にかかわるコア <2359> 、スマートフォンなどからハウス内機器の稼働状況をモニタリングするサービスをNECと共同で手掛けるネポン <7985> などに注目したい。(12月22日株式新聞掲載記事)

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