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(写真=Getty Images)

世界中に思想、思索の面で大きな影響を与える、オピニオンリーダー的な存在「Thought leader」(思想的リーダー)が発表され、203人の中に日本から5人選出された。

村上春樹氏や山中伸弥氏など日本人なら誰でも知っている人だが、一人だけ日本での知名度は、けっして高くはない人がいる。MITメディア・ラボ所長の伊藤穰一氏だ。

異色の経歴を持ち、アメリカ・ボストンを中心に活躍している。インターネットの世界に詳しい人であれば聞いたことがある名前だろう。

MITメディア・ラボとは?

MITメディア・ラボとは、マサチューセッツ工科大学内に設置されている研究所の名称だ。同ラボは、デジタル技術の分野を主に担う学術機関で応用技術、芸術や意思伝達、人工知能などに関する研究活動を行なっている。伊藤氏は2011年4月から、日本人としては初となる4代目の所長を務めている。

華麗な経歴ながらも「2度の大学中退」を経験している

アメリカの大学内研究所で、このような重職を担う伊藤氏とは、どのような人物なのだろうか。

1966年、京都府生まれ。幼少時からアメリカで研究者の父、米企業で創業者の秘書を務めていた母の元に育ったそう。中学生の時に帰国して都内のインターナショナル・スクールに入学。いわゆる帰国子女だ。

高校卒業後は再びアメリカに渡り、タフツ大学に入学。しかし、コンピューターの学習の仕方や、専攻内容に馴染めずに退学。その後、伊藤氏は母親が勤めていた米企業で働き始める。

そこで同企業の創業者に再び学問への道を勧められて、今度はシカゴ大学で物理学を専攻する。しかし、2度目に入学した大学でも、エンジニア育成に重きを置くカリキュラムに違和感を覚えて、再び自主退学。

それから社会研究新学校(New School for Social Research)で学士号を取得したそう。

当時、シカゴではクラブDJとしても活躍。日本では東京・六本木でナイトクラブを運営して、シカゴ発の最先端の音楽を紹介したといわれている。華麗かつ奔放な青春時代だ。

実業家として数多くのIT関連会社を起業

伊藤氏は実業家として沢山のIT関連会社の起業に関わる。デジタルガレージ、インフォシークジャパンなどは有名だ。日本発IT企業の黎明期を支え、インターネットの普及に貢献した人物として知られている。

自らが起業した会社以外でもソニー、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、FIREFOXのMozilla foundation、マネックスグループ、米新聞ニューヨーク・タイムズなどで役員を歴任してきている。IT関連に留まらない、幅広い人脈を持つ伊藤氏だ。

ベンチャー・キャピタリストでもある。共同創業したデジタルガレージは過去に米ツイッター、米フェイスブックにも出資しているそう。

他にはLast.fm、Kickstarter、Flickerなどのベンチャー企業にも創業期に出資。ソーシャルメディアやマイクロファイナンスなど、ITの可能性を広げる企業を支援している。

IT技術の可能性を探る一方で、セキュリティの専門家としての一面も併せ持っている。1990年代には日本の警察庁のハイテク犯罪対策室の立ち上げに関わっている。

イノベーションを追求して世界で認められる日本人

日本とアメリカで積極的な活動を続けるなかで、伊藤氏は2011年にMITメディア・ラボの所長に抜擢される。インターネットを中心とした事業活動、社会活動が世界で認められている証であるのだろう。

学生時代に2度の大学中退を経験していながらも、マサチューセッツ工科大学内研究所の所長となった伊藤氏。これはアメリカ国内でも珍しい抜擢であるそう。

自身の事業活動、そしてベンチャー企業への投資を通じて、イノベーションのあり方を追求し続けてきた伊藤氏への評価と期待値が高いのだろう。

既成の考え方に捉われず、瑞々しい発想を大切にして興味ある物事に向かう伊藤氏の姿が垣間見えてくるのではないだろうか。それだけではなくて、議論を厭わず、人々を巻き込んでいく力強さも評価されて、MITメディア・ラボという先進的な研究所で所長を務めているのだろう。

好きな事に没頭する仕事人、と思いきや、名機といわれるライカのカメラを収集したり、撮影した写真を写真集にして発表したりと、好奇心を満たす趣味人でもある。アウトドアではスキューバダイビングを好むそう。

これらの活動に加えて、著作物の再利用を促す非営利団体「クリエイティブ・コモンズ」や、慈善基金団体「マッカーサー基金」の役員も務めている。

好奇心に従順に、活動の場を広げる伊藤穣一氏。残念ながら日本ではMITメディア・ラボの研究内容に触れる機会は多くはないが、国際的な学術機関で責任者を務める伊藤氏の研究成果に期待が高まる。(ZUU online 編集部)

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