4 エレクトロニクス関連銘柄

国内の農家が大きな打撃を受けるとしてTPP参加に猛反対している農林水産省に対し、経済産業省や日本経団連などの経済団体からは高い技術力を誇るハイテク産業分野においては、輸出関税が撤廃されることで国内GDPが数兆円規模で押し上げられるとの試算から、TPPへの参加を強く指示する声が多く寄せられています。日本の関税率は農産物こそ平均17.3%とやや高めですが、鉱工業製品は2.5%でシンガポール、ニュージーランドに続いて3位の水準です。ちなみにアメリカは3.3%ですからそれよりもかなり低い水準だということがわかります。TPPは参加国の関税をゼロにして貿易を活性化させることにより、お互いの経済を成長させるのが最大の目的です。シンプルに言えば関税率の高い国は不利になり、逆に低い国は有利となります。

ソニー、パナソニック、東芝、ニコン、キャノンなど、日本が世界に誇る製造業が復活を遂げる日もそう遠くはないかもしれません。

5 自動車関連銘柄

現在の日本車のアメリカにおける関税率は2.5%です。今年2014年1〜3月の自動車の対米輸出台数はトヨタ、ホンダ、日産などの6社合計で40万8405台となりました。年間150万台以上の自動車の関税が撤廃された場合、北米での日本車のシェアは現在の約40%から更に伸びる事が期待できます。実際にGM、フォード、クライスラーのBIG3から成る、米自動車貿易政策評議会は2011年に日本のTPP交渉の参加を拒否するようオバマ大統領に求める声明を出したという事実があります。これは何よりBIG3が日本の自動車産業を脅威に感じている事の裏返しと言えます。さらに自動車関連では他にも日本に有利なカードが存在します。

それはトラックです。トラックの対米関税率は自動車の10倍の25%にものぼり、これが撤廃されればトラック大手の日野自動車やいすゞにとってはかなり大きなアドバンテージになると予測されます。

カタリストに期待する投資家たち

日本の農家と農業を守ろうとする農林水産省と、日本の失われた20年からの完全なる脱却を目指す経済産業省や経団連。なにかを得ようとすれば、どこかで必ずジレンマと向き合う事になります。TPPを支持する、しないというはその人が置かれた状況によって意見が分かれるところでしょう。しかし多くの市場関係者は、アベノミクス効果が疑問視され始め、金融緩和に過度な期待が寄せられている、日銀頼みの現在の相場からの脱却を遂げる手段としてTPP参加を有望視しています。私自身証券界に身を置くものとして、また一投資家としても、日本の株式市場が再び世界で最も注目を浴びるようなマーケットになれば、それは日本全体にとってもプラスになる事だと思っています。