メルカリ,上場 (写真=PIXTA)

ZUU onlineでは2016年1月6日に 「今年IPOが期待される10社」 という上場企業観測記事で、JR九州、東京メトロといった大型銘柄とともに、フリマアプリのメルカリを取り上げた。ネット上の個人間取引の人気が高まっており、ネットフリマ市場は急成長しているのだ。「買うガール」と「売るフ」のテレビCMでお馴染みのメルカリは一体どのような企業なのだろうか。期待のメルカリの上場の実態に迫ってみよう。

注目のインターネット上の個人間取引

パソコンやスマホといったインターネットを介した個人間取引の人気が高まっている。消費者と消費者をつなぐビジネスモデルであり、消費者を意味する英語「Consumer」の頭文字をとって「C2Cビジネス」と言われている。

野村総研によると、国内の電子商取引(EC)市場は急成長が続いおり、2012年度に10兆2000億円だった市場が18年度には20兆円に達する見込み。スマホ経由取引の伸びは特に高く、現在の1割程が18年度には3割を超えるとの見込みだという。

NHKで報道されたMM総研のデータでは、ネットでのC2Cビジネスの市場規模は2013年度の2.3兆円から2014年度には2.8兆円へ5000億円増、2015年度も3.4兆円と6000億円増え前年度比21%増と推計している。

成長を牽引しているのがスマホでの取引だ。スマホ向けフリマアプリでは、2012年7月にファブリックが「FRIL」というサービスで参入。女性向けのファッションでこの分野を切り開いた。12年10月にはGMOペパボが手作り作品に特化した「minne」、13年7月にはメルカリが分野を広げるサービス「mercari」で参入した。

その後、LINE、楽天、カカクコムといったネット大手が参入、12月には「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイも参入している。ただこういったビジネスは、先行者メリットが大きいと思われ、すでに確固たる地位を築いているメルカリの有意性は当面揺らぎそうもない。

15年9月時点での、公表ベースでのアプリのダウンロード数のシェアは、「mercari」1800万DL、「FRIL」400万DL、「minne」300万DL。他は未公表。

急成長を続けるメルカリ

メルカリは、スマートフォン向けフリマアプリ「mercari」を企画・開発・運営している。「mercari」とは、ラテン語で「商いする、市場」という意味だ。実際のフリーマーケットのように、出品者はスマートフォンのカメラを使い簡単に出品し、購入者は簡単に買物することができる。

トラブルを避けるために、個人間の決済にメルカリが介するエスクロー決済制度を取っている。13年7月の参入後、15年2月に国内でのアプリダウンロード数が1000万を超え、11月には2000万ダウンロードを超えた。幅広いターゲット層と取扱商品で、フリマ市場で圧倒的なシェアを誇っている。

メルカリでは、毎日数十万点の出品がされており、売り上げの10%がメルカリの手数料収入となる。メルカリは、11月24日に第3期の決算公告を出した。売上高は42億3779万円、営業損失11億432万円、経常損失10億9996万円、当期純損失11億460万円。この数カ月で数億円規模の単月黒字体制になっていとの話も伝わってきている。月次の流通総額は未公表だが、売上高から推測すると少なくとも月間50億円程度、多い月には100億円ちかくになっていると見られている。

メルカリの売上高42億円は、全てフィーの収入だ。売上高総利益率はなんと92%。とんでもなく利益率の高いビジネスだ。決算公告では流動資産が86億円もある。メルカリで売った代金を個人のアカウントに預けたままにしているユーザーが多く、流動資産のある程度がそういった現預金であると思われる。

米国にも注力しており、2014年9月の進出後、米国でのダウンロード数は500万DLを超えたようだ。米国はまだ基盤作りの段階で赤字。ライバルで大きいところは「POSHMARK」などになるようだが、ファッション関係が多く、個人取引と言った感じではない。メルカリが狙うところは、米国でも個人間取引であろう。日本発で世界的なグローバル企業として成功したネット系企業はまだない。メルカリには是非、米国でも大成功して欲しい。

2014年に大型資金調達済みで上場期待が高まる

山田進太郎代表取締役社長のブログ「suadd blog」の年頭のコメントで、社長は「2016年はシンプルにメルカリUSの大成功を目指したいと思います。ただ同時に、もう少し中長期的な視点でいかに世界中にサービス展開していくか、そのためにどのような技術やプロダクト、人材、組織が必要かを考えて少しづつ種を巻いて行きたいと思っています」と語った。

単月黒字も達成済みで、キャッシュフローにも余裕があるメルカリは、市場が期待するほど上場を急いでいない可能性もある。

しかし、メルカリは様々なベンチャーキャピタルから資金調達を行っている。2014年3月に、グローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、GMOベンチャーパートナーズなどのベンチャーキャピタルから14億5000万円を調達。

さらには、10月にワールド・イノベーション・ラボおよび既存株主であるグローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、GMOベンチャーパートナーズ、イースト・ベンチャーズなどから23億6000万円の資金調達済みなのである。2014年の調達総額は38億円に達した。調達した資金は、日米での積極的なプロモーション展開に充てるようだ。

2013−14年で、ベンチャーキャピタルから大型資金調達をした企業は大半が上場している。たとえば、gumi(80億円)、SmartNews48億円、メタップス43億円、メルカリ38億円、ごちクル28億円、グノシー24億円などが大型調達。すでに上場済みか今年の予想ラインアップにはいっている企業が多いため、メルカリの上場も時間の問題と見られている。

シェアの高さと収益力の高さ、海外での期待もあるため、上場すれば、時価総額200億円以上ではないかとの声もでており人気化は必死だ。

メルカリの関連銘柄

ネットオークション関連の上場では、2013年4月のオークファン(3674)の初値が公募価格の4倍となったのが記憶に新しい。メルカリも人気面はそれを凌駕する可能性がある。

ZMP関連銘柄、LINE関連銘柄でそうであったように、上場までは、メルカリの株式を保有している企業や業務提携している企業に注目が集まる。本命は、スマホ用アプリ開発とネット広告のユナイテッド(2497)だ。8月にメルカリの子会社コウゾウと資本業務提携に基本合意。ユナイテッドは、コウゾウの株式の14.5%にあたる11,000株を取得、さらに将来の関連会社化も視野にいれた上で新株予約権付社債も引き受ける。

金額は株式取得に2億2000万円、新株予約権付社債分として8,000万円、総額で3億円。同時に、ユナイテッドはスマートフォン着せ替えアプリ「CocoPPa」の好調を背景に米国子会社の設立も発表している。今回の提携で米国でも協業展開に臨むようだ。

また、GMOベンチャーズが出資しているので、GMOグループとの協業が出てくる可能性もあるだろう。

IPO(新規上場株)は勝率が高い

公募価格に対して初値が上昇することの多いIPO株(新規上場株)は、2015年に上場した92社のうち、82社もの銘柄が公募価格に対して値上がりしており、勝率が高い。

そしてIPOに関しては選ぶ証券会社が重要になってくる。なぜなら、証券会社によって、抽選方法や、取扱実績が大きく異なるからである。

そこで、初心者や少額投資に適した証券会社がマネックス証券である。マネックス証券の特徴は、投資資金や申し込みの数量に関わらず平等に当選の権利があることだ。投資資金が少ない、または少額の取引を希望する投資家向きのネット証券会社といえる。IPOの引受証券会社としての実績が多く、サポート体制が充実していることも、IPOを取引する投資家にとっては安心材料となる。

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