2015年には郵政の新規上場が大きな話題となったが、2016年はどんな企業がIPOするのだろうか。具体的に上場予定を立てている企業もあれば、投資家の期待が生みだした噂に留まるケースもある。IPOが株式市場に明るい話題をもたらすイベントでもあるだけに、対象企業を探す作業にも楽しみが伴う。
「名古屋式朝食を普及させた」——コメダ(名古屋市)
東海を中心に「コメダ珈琲店」などを、全国に600店舗以上チェーン展開している同社も、IPO候補企業の筆頭の位置に在る。過去数年にわたり二桁の売上増を記録していることを背景に、2014年12月に大株主の「MBKパートナーズ」による持ち株会社「コメダホールディングス」の設立が上場準備と捉えられたこと、社長の臼井興胤氏が2016年中の上場をほのめかすような発言を行っていることなどが、市場の期待をあおっている。
コーヒーにトーストと茹で卵が付いてくる、いわゆる「名古屋式朝食」を普及させたと言われる「コメダ珈琲店」。MBKパートナーズはコメダ珈琲の株式を直接買い受けたのではなく、投資ファンド「アドバンテッジパートナーズ」から約430億円で購入している。コメダ珈琲の2014年度の通期経常利益は約14億円であることを考慮すると、この投資額の回収には30年ほどかかる計算になってしまう。資金回収のタイミングから見ても、MBKが上場を狙っていても何ら不思議ではない。
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「時価総額は1000億超に?」——ZMP(東京都文京区)
人型ロボットや自動運転車両の開発を手掛ける同社は、名古屋大学と連携して自動運転の公道実験を行うなど、自動運転関連のベンチャー企業として注目を集めている。未上場会社であるにも関わらず、株式市場では既に「自動運転銘柄の本命」として認知されている感があり、IPOした場合には時価総額が1000億円超になるとの噂さえある。
市場では同社のIPOをにらんでの先回り買いの動きが早くも出ている。ZMPとロボット制御用インターフェースを共同開発しているアートSHD <3663> や、自動運転の公道実験に協力しているアイサンテク <4667> 、自動車テレマティクス分野で共同マーケティングを行っているネクスG <6634> 、ZMPと共に自動運転タクシーの合弁会社「ロボットタクシー」を創設したディーエヌエ <2432> などだ。自動運転は高い将来性が見込まれる分野だけに、周辺の動きも含めた同社の動向からは決して目が離せない。
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「9月には96億調達」——Spiber(スパイバー、山形県鶴岡市)
次世代バイオ繊維を開発するSpiberも、ZMPと同様に注目されているベンチャー企業だ。鋼鉄の340倍の強度を持つ人工のクモ糸素材「QMONOS(クモノス)」が幾度も報道されていることもあって、IPOを発表すれば人気化は必至だろう。
同社は関山和秀社長が慶應義塾大学在籍時の2004年から研究していた合成クモ糸繊維技術を柱に、2007年に設立された。現在は山形県鶴岡市に本社を置き、2015年5月に完成した6600平方メートルの研究施設で、合成クモ糸繊維のアパレル、輸送機器、医療機器への活用などの研究を行っている。経産省や内閣府のプロジェクトとも協働しており、世界から注目を集めている。また9月にはゴールドウインと事業提携。同社からの30億円の出資を含む第三者割当増資で95億8416万円を調達している。
「秋口上場が期待される?」——JR九州(福岡市)
2016年の大型IPOとして期待を集めているのがJR九州だ。2015年3月期の売上高は、鉄道事業の1633億円に加え、関連事業でも369億円を計上している。なお、同期の経常利益は164億円だった。秋口の上場を予想する向きもあり、上場した場合には時価総額が5000億円とも7000億円とも言われている。
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「クラウドソーシングの先駆け的存在」——ランサーズ(東京都渋谷区)
同社は2008年に設立された「クラウドソーシング」の先駆け的存在だ。クラウドソーシングとは、技能を有してはいても育児等で勤務が困難な主婦や、既に職場を離れた高齢者、フリーランサーらの人材と、それらを求める企業とをクラウドシステムを通じてマッチングさせるサービス。同業種のクラウドワークス <3900> やリアルワールド <3691> が既に上場を果たしていることからも、IPOの可能性は十分にある。
ただクラウドワークスの株価が2015年1月28日に年初来高値の1988円だったのに対し、12月25日には年初来安値の490円となるなど不振を続けているのが気になるところ。ランサーズのIPO成功は、何らかの独自性を持つ要素を強調できるかどうかにかかっていると言えるだろう。
「不動産やIT関連事業も」——東京地下鉄(東京都台東区)
東京メトロの愛称で親しまれている同社は、東京の地下鉄を運営するほか、駅構内店舗や商業施設の運営等の流通事業、オフィスビルの賃貸等の不動産事業、光ファイバーケーブルの賃貸等のIT事業などの関連事業を展開している。2015年3月期の売上高は3999億円で、経常利益は896億円だった。
話題性は十分の同社だが、大きな成長性を見出すことは困難かもしれない。もしIPOに取り組む場合には、東京オリンピック・パラリンピックがらみでの新たな事業展開など、将来に期待を持てるようなインパクトが欲しいところだ。その意味で2016年中の上場はかなり無理な期待なのかも知れないが、動向には十分な注視を怠れない。
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「2000万ダウンロード突破のフリマアプリ」——メルカリ(東京都港区)
同社は、個人間で簡単かつ安全にモノを売買できるフリマアプリ「メルカリ」を日本とアメリカで展開している。誰かにとって価値があるものを安易に捨ててしまうことは、地球資源の無駄につながるとの考えが背景にあるのだという。
2013年7月にリリースされてから、2015年1月で900万ダウンロード、昨秋には2000万ダウンロードを達成。累計出品数は1億6000万を突破したという。2015年6月期は売上高の42億円に対し、先行的な宣伝広告の費用がかさんだことなどから経常損失が11億円となっている。経費を絞れば2016年のIPOは十分可能なのだが、話題性に見合う株価が確保できるのかが課題だろう。
「フェノックスVCも着目のSSP」——ジーニー(東京都新宿区)
2010年に設立された同社は、インターネットメディアの広告収益最大化プラットフォームである「Geniee SSP」の開発・販売を主力事業としている。SSPとはSupply Side Platformの略称で、アプリ・WEBメディアの広告収益最大化を目的としたアドテクノロジーだ。
2015年12月25日には、米国シリコンバレーに拠点を置く投資ファンド、フェノックス・ベンチャーキャピタルが株式の一部譲受を実施した。フェノックスVCは北米やヨーロッパ、中東、アジアなどに拠点を置き、グローバルなネットワークを持つベンチャーキャピタル。今回の資本参加は、ジーニーの評価が世界市場に広がっていることを明示している。
「シンガポールに子会社設立」——ラクスル(東京都品川区)
TVCMでよく見かける激安印刷の通販企業である同社に関しては、2015年にもIPOの噂が出ていた。その後も順調に業容を拡大しつつあることから見ても、2016年も引き続きIPOの可能性は大きいと言える。
2009年に資本金わずか200万円でスタートしたラクスルは、印刷の新しい発注の仕組みを提案することによりユーザーの支持を得、順調に業績を伸ばしてきた。2014年7月にはTVCMの放送を開始、全国区での知名度を向上させている。また2015年10月にはシンガポールに100%子会社を設立している。
「上場グノシーよりMAUは上」——スマートニュース(東京都渋谷区)
2015年に上場したグノシー <6047> と同業のスマートニュースは、新聞や雑誌の記事をスマホなどに配信するキュレーションサービスを主たる業務としている。特定のテーマに沿って人手でWeb上のコンテンツを集めることにより、そこに新しい価値を見出だすと言った意味のサービスだが、要は「情報の纏めと共有」と考えておけば良い。
調査会社のニールセンは、7月のニュースアプリのMAU(Monthly Active Users、月あたりのアクティブユーザー数)統計を発表している。トップは言うまでもなくヤフー(Yahoo!JAPANとYahoo!ニュースの両アプリ合算)の1550万人だが、2位のスマートニュースが480万人、3位がグノシーの300万人となっている。グノシーは株価の低迷から抜け出せずにいるが、スマートニュースがIPOを果たせば、キュレーションサービス自体が見直されるきっかけとなる可能性もある。
IPOに向けての準備を整えておこう
IPOする株式を取得するには、抽選に参加する必要があるが、その参加費は「無料」だ。当選さえすれば、高い確率で利益を得ることができる。2015年10月27日に上場した婚活支援会社のパートナーエージェント <6181> を例にとれば、1260円の公募価格に対して初値は4000円となった。IPOとして購入し、初値で売り抜けた場合には、取引は100株単位だから27万円以上の利益を手にできた計算になる。
対象株を上場する前に公募価格で購入するには、公募受付期間に抽選に申し込まなくてはならない。通常の場合、公募受付は上場の約2〜3週間前で、約7〜10日前には抽選が実施される。つまりIPOに参加するためには、目指す銘柄の上場3週間前には口座を開設しておくことが望ましいと言える。
【IPO投資をするなら持っておきたい証券会社は】 証券会社は多数存在するがIPO投資を意識するなら、取扱実績、抽選方式からマネックス証券は注目の証券会社の1つと言えるだろう。 IPOの取扱件数はネット証券会社の中ではSBI証券会社に次ぐ件数を誇る。抽選方式は100%完全平等抽選制と呼ばれる、抽選申し込み口数にかかわらず1口座につき1票の抽選方式を採用している。過去の投資実績や資金量に関わらず誰しもに平等に可能性があるので、いまからIPO投資を始める方にもハンデがないので安心して行うことが出来るだろう。
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