投資,種類 (写真=PIXTA)

以下の設定のAさんが資産運用を始めようとした。どのような投資手法を取るのが望ましいだろうか。

設定
Aさん:30代前半、年収600万円、配偶者は専業主婦、結婚して小学校入学前のこどもが1人、2人で貯金1000万円、預金以外の金融商品を購入したことがない、投資未経験者、都内の賃貸マンションに在住。

投資手法について考える前提として、まずは投資といった場合、どういう商品に投資することになるのかを解説する。

株は値動きが激しい

預貯金以外の投資として、誰もがまずは思い浮かべるのは株であろう。「今日の日経平均株価は1万7000円・・・」などと日々のニュースで流れることも多く、多くの人にとってなじみ深い投資手段であろう。

株はひとたび上場されたものであれば、上場廃止などという例外的な場合を除けば、市場でいつでも売却できる。基本的には、安く買って高く売って利益を得るものである。また株には配当や株主優待といった楽しみもあり、これによって利益を受けることもできる。

上場されている会社の株は日々取引されており、需要と供給の関係に応じて日々株価が動く。2016年1月には、日経平均株価という市場全体を表す株価が、1万9000円台からたった3週間で1万6000円近辺まで大暴落した。このように値動きはとても激しい。

株価の変動理由は様々なものがあるが、基本的には業績(ファンダメンタル)である。業績が上がる株は上昇し、下がる株は下落する。株を買うときには、その会社の業績が上がるのか下がるのかを考えることが極めて重要である。もちろん自分が応援したい会社の株を買うというのも、投資手法の一つである。

債券は値動きが穏やか

株と比べ値動きが穏やかな投資対象としては債券がある。株と違うところは、満期が決まっていること、利息が決まっている場合が多いことである。例えば10年満期の債券であれば、10年後にお金が返ってくる。利回りも年何%などと決まっていることが多い(変動利回りのものもある)。

個人が投資対象とする債券としては、個人向け国債や個人向け社債が代表的だ。特に10年物個人向け国債は、変動金利なので今後市場金利が上昇していく局面になってもある程度連動して上昇していく。逆に市場金利が下がっても0.05%未満の利回りとなることもない。中途換金も可能でそのペナルティも比較的少額である。

国債は日本国に対してお金を貸すこと、国から見たらあなたから借りた借金ということになる。「国の財政赤字が・・・」などと報道されることも多く、国に対してお金を貸すことに躊躇を覚えるかもしれない。

しかし、あなたが一番お金を預けているかもしれない銀行は、そのお金の少なくない部分を国債で運用している。国債を買うことが銀行に預けることよりリスクが高いなどということはない。

分散投資に向く投信

もっとも株や債券を買うといっても、どの銘柄をいついくらで買うのがよいのかの判断はなかなか難しい。しかも個人が持っているお金は少額であることが多く、分散して色々なものを買うことができない。

投資の世界ではよく「卵を1つのかごに入れるな」と言われる。たった1度こけただけで全部の卵を失ってしまうからだ。全財産を1銘柄に投資した場合、その会社が倒産したら全財産を失ってしまう。分散投資が大切なのである。

そこで、いつ何をいくらで買うのかをプロに任せ、また多数の銘柄に分散して投資する手段として、投資信託(投信)がある。たくさんの人から集めたお金をファンドというかごの中に入れて、そのファンドのお金を使って投資するという仕組みである。

投信にも色々な種類がある。例えば、日本株に投資するもの、先進国株に投資するもの、アメリカ株に投資するもの、新興国株に投資するもの、日本の国債や社債に投資するもの、世界の債券に投資するもの、などなど。

中には不動産投信といって、投資先が不動産であるものもある。またそれらをミックスさせた、いわゆるバランスファンドと呼ばれているものもある。

投信を選ぶ際には、その投信がその先で何に投資しているのかを理解した上で選ぶことが重要である。

またコストとして、販売手数料や信託報酬を支払うことになる。コストがパフォーマンスに与える影響は想像以上に大きいから、コストパフォーマンスのいい投信を選ぶことも大切だ。

不動産やFXも投資の1つ

以上で説明した株、債券、投信が代表的な投資商品であるが、ほかにも投資対象はある。金融業界ではオルタナティブなどと呼ばれている。

不動産は、文字通り、土地や建物(ビル、マンションなど)に投資するものである。例えば、マンションの一室を買い、これを他人に貸し出して家賃を得るなどというものである。

不動産は1物件当たりの価格が高く、一般の個人にはなかなか手を出しづらい投資対象であった。しかし最近は、不動産投信を通じて比較的小口から投資できるようになってきている。

FXは、為替取引を利用した投資である。米ドルを買っておいて、円安ドル高になった局面で円に戻して利益を得るといった投資である。

米ドルの金利の方が円金利よりも高い状態が長く続いてきたため、単に為替レートの差額で利益を得るだけでなく、スワップポイントと呼ばれる金利差額相当分の分配で利益を得ることもできる。

目的に応じた投資手法が大事

それでは設例に戻って、Aさんは資産運用を始めようとした。どのような投資手法を取るのが望ましいだろうか。

投資手法を考える場合、何に使うお金なのかを考え、それに応じた手法を取ることが大切である。時期や使途に応じた資産運用手段を、上記の投資対象の組み合わせから考えていく。

例えば、こどもの教育資金を用意するためということであれば、資金が必要な時期(例えば、大学入学時)に合わせて必要と思われる資金を準備していくこととなろう。もっとも、こどもの通う学校が私立か公立か、一人暮らしをするのか親元を離れて暮らすのか、などによって掛かる費用は全然違うので注意が必要だ。

Aさんの場合、小学校入学前のこどもの大学の学費を用意するということであれば、支払いは10年以上先になる。とは言っても支払いを確実に予定している資金であるから、元本を確保しながら安定的に運用すべきだろう。今後金利上昇局面になってもある程度連動して利回りが上昇していくメリットを考えれば、10年物の個人向け国債を買うことが有力な選択肢であろう。学資保険による準備も考えられる。

老後資金についてはリスク性資産にも一定程度投資することが望ましい

老後資金については、30代にとっては30年以上も先に使うことになる。このため長い目で運用でき、多少の値下がりの危険があっても相応のリターンが期待できる資産(リスク性資産)で、一定程度の割合は運用することが望ましい。

特に大手都市銀行の定期預金金利が0.025%(1年物)などと極めて低金利となっている今日においては、金利の低い商品での運用は、物価上昇(インフレ)によって実質的に資産を目減りさせることになってしまう。

リスク性資産に期待する「相応のリターン」としては、Aさんの資産運用全体でインフレというハードルを超える利回りを得ることが目標だろう。またリスク性資産に投資する「一定程度」とは、値下がりに対してあなたがどこまで耐えられるかで決めるのがよいだろう。抽象的に言えば、手に汗を握らなくて済む程度であろう。

老後資金として必要な金額については、老後の生活費をどのくらい見積もるのか、Aさんや配偶者に適用される年金制度はどれか、など個人個人のライフプランによって、必要な資金は全く異なってくる。一般的には老後資金は3000万円くらい必要などと言われている。

大切なのは分散と積立

このとき重要なのは、様々な資産に分散しながら(分散投資)、少しずつ積み立てていくことである(積立投資)。

値動きの激しい商品において積立投資をするメリットは、値段が上がったときには少ししか買えず、値段が下がったときには多く買えることから、自然と平均買いコストがその商品の平均的な値段より安くなる点である(ドルコスト平均法)。またリーマンショックのような大暴落が来ても、ここでたくさん買えると、精神的にも楽である。

積立投資は、投資対象の商品自体の値動きにかかわらず自分の運用利回りを高めることができる方法である。例えば、バブル崩壊のあった1989年末に一括して日本株へ投資していれば、当時の日経平均株価は3万9000円もあったのであるから、おそらく財産は半分以下になっていたであろう。しかし1989年から25年以上毎月積立で日本株へ投資していれば、利益はプラスになる。

様々な資産に分散しながら、少しずつ積み立てていく方法としては、日本のみならず世界中の株や債券にバランスよく投資しているバランス型投信を毎月積み立てていくのが便利であろう。

もちろん自分で資産を選択することが楽しみであるという人は、自分で個別銘柄を選んでいってもよい。要は大事なのは、投資先と投資タイミングの分散なので、これができていればよい。

Aさんが確定拠出年金の対象者であれば、掛金を所得税から控除できるという税制メリットを享受しながら、なるべく低コストの投信を積立投資していくのが良いであろう。

目的に応じた証券会社を選ぼう

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プレミアム積立(投信)という、毎月500円から積み立てをすることが出来る投資信託サービスを提供している。スマートフォンからでも投資が出来るので、投資経験が少ない株初心者も利用しやすい環境である。投資の知識なども広く公開され、投資情報が得やすいのも魅力の1つ。母体が三菱UFJフィナンシャル・グループであるという点も、「カブドットコム証券」が安心して取引を行うことができる理由の一つとなるだろう。

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