(写真=PIXTA)
株式投資を始めてみたいがどうしたらわからない、あるいは、既に株式投資をしているが具体的にどのように投資していくかについて悩んでいるという人が多い。確かに、株式投資は敷居が高いところはあるが、投資に対する考え方をしっかり持っていればそれほど難しいものではない。そこで、今回は、株式投資の基本となる心構えや投資手法について解説する。
投資スタンスについて
投資をするにあたり、どのように考えていくかというと、次の3つに分類して考えるとよい。
期間から考える
株式投資をするにあたり、「短期投資」を行うのか「中長期投資」を行うのかを考える必要がある。なぜなら、短期で利益を上げるのと長期で利益を上げるのではその投資手法が異なるからだ。
1日の中で取引を行う「デイトレード」や2日から1週間単位で取引を行う「スイングトレード」が短期投資のスタイルとなる。安値で買って、高値で売るというのは期間の長短に関わらず変わるものではないが、短期投資では、利益あるいは損失が出たら速やかに売却する必要があるので迅速な決断力が求められる。
一方、中長期投資では、多少利益や損失が出てもすぐに売却するようなことはせず、じっくり資産が増えるのを待つ忍耐力が求められる。長短のスタンスを決めるのは、利益をいつまでに欲しいかという結果から考えるのが一般的であるが、自分の性格が「速やかに決断するタイプ」なのか、それとも「じっくり待つタイプ」なのかで決めるという方法もある。
リスク許容度から考える
これは、自分がどれだけリスクを取れるかによって投資の方針を決めるというものだ。株式投資といっても、ベンチャー企業のような値動きの激しい株式から、電力株やガス株などの安定した株まで様々なものがある。
ある程度リスクを取ってでも利益を上げたいと考えるのか、あくまで安定した資産運用の一手段として株式投資を行うのかでは選定する銘柄が変わってくるのである。そのことから、投資する資金が余裕資金なのかそうでないかによって、銘柄選定の基準を考えるとよい。
預金の利子も低いので少しでも生活資金の一部を株で運用するという場合、あまりリスクの高い株式投資はすべきではないので、自ずと安定株への投資ということになる。逆に、遺産が入ったとか宝くじに当たったというようにある程度リスクが取れるのであれば、成長株に投資するなどである。
投資目的から考える
株式投資の目的は当然のことながら利益を上げることだが、利益にはキャピタルゲイン(株式の売却益)だけでなく、配当や株主優待もある。本格的に利益を上げたいという場合には、キャピタルゲインが中心となるが、あまりリスクをとらずに安定した利益を得たいという場合には、高配当株に投資したり、魅力的な株主優待がある株式投資するというのも選択の1つとなる。
株主優待というと趣味程度のものと考える人もいるが、株式は売らない限り損失は顕在化しないので、確実に利益が得られるという点では株主優待もバカにはできないのである。たとえば航空会社の株主優待は搭乗券が半額で購入でき、実際に使うならその分の費用が浮くことになるし、使わない場合でも金券ショップやオークションで売約すれば相当の値段がつく。そう考えると、結構リターンは大きいのである。
投資対象の選び方
教科書的な銘柄の選び方としては、「成長株」に投資するというものが最もオーソドックスなものである。これから成長しそうな会社の株に投資するというものだ。
どのような会社が成長するかを見極めることは非常に難しいが、IT分野が成長産業であることは比較的わかりやすいし、少子高齢化の進展により介護分野が成長するとの見方もあるだろう。結局は自分が成長すると思う分野や企業に投資するというのがわかりやすいし納得できるものである。
成長株投資は今後の伸びに期待するものであるが、伸びるかどうかはわからないので、株価が割安なものに投資しようというのが「バリュー株投資」である。株価というのは株の需給によって決められるが、企業の収益力や財務状況から考えると株価が低いということがある。
その割安な株式に投資するのがバリュー株投資だ。割安な株はいずれ投資家の知るところになり適正な価格に上がることが期待されるので、確実な投資として人気がある。
ちょっと変わった投資対象としては、「IPO投資」というのがある。IPOとは、新規公開株のことである。非上場の株式会社が上場する場合、財務内容や将来性など厳しい審査を通る必要があることから、上場によって値上がりすることが多い。
そのため、IPOはとても人気があり、購入は抽選などによる。したがって、買いたいから必ず買えるというものではないが、買える場合には魅力的な投資対象であることは間違いない。
投資方法
投資方針を決め、どのような投資対象に投資するかを決めたら、次は投資方法を考えることになる。株価を買うタイミングについての考えとして、「順張り」と「逆張り」というものがある。
順張りとは、株価が上昇トレンドにあるときに購入し、下降トレンドにあるときに売却するというものである。つまり、皆が買うときに自分も買って、皆が売るときには自分も売るというように株価トレンドに乗る方法だ。
逆張りとは、株価が急落したときに買ったり、株価が高騰したときに空売りするなど、他の人の逆を行くというものだ。大きく外さないという意味では順張りの方が優れているが、大きく儲けたいという場合には逆張りの方が良い。
最後に、失敗しない方法として、時間分散という考え方を紹介する。これは、株式を売買する場合、一度に多額の取引をするのではなく、時間を分けて投資するというものである。株価は1日の中でも変動することもあるし、1週間あるいは1か月という期間で大きく方向性が変わる場合もある。
50万円を投資して、それが急落したら多額の損失を被ることになるが、10万円を5回に分けて買えば、株価が下がっても安く買うことができるので損失は大きくならということだ。
投資スタンスと銘柄の選定方法、そして投資方法の基本について述べてきた。投資の世界はどんなに勉強しても必ず勝てるというものではない。しかし、投資のプロたちは少なくともこれらの知識を持った上で、市場で取引をしている。市場ではプロも素人も同じ土俵で勝負しなければならないので、しっかりと基本を身につけ勝負に挑んでもらいたい。
投資方法がわかったら
投資スタンス、銘柄選定方法、投資方法の基本を学んだ後は、ネット証券で口座を開設し、実際に投資を始めてみよう。ネット証券を選ぶ際には、自分に合った証券会社を選ぶことが重要である。今回は以下の2つのネット証券を紹介するので、是非参考にしてみて欲しい。
カブドットコム証券
プレミアム積立(投信)という、毎月500円から積み立てをすることが出来る投資信託サービスを提供している。スマートフォンからでも投資が出来るので、投資経験が少ない株初心者も利用しやすい環境である。投資の知識なども広く公開され、投資情報が得やすいのも魅力の1つ。母体が三菱UFJフィナンシャル・グループであるという点も、「カブドットコム証券」が安心して取引を行うことができる理由の一つとなるだろう。
SBI証券
ネット証券では最多の350万口座を誇る「SBI証券」。最大手という安心感からか、初心者の人気が他のネット証券に比べると高いようだ。取扱商品が多いのも人気の理由である。外国株やIPO銘柄など、それぞれにおいて取扱数は他のネット証券を上回る一方で、ミニ株やPTS(時間外取引)など取扱商品の種類も豊富だ。