はてな,上場 (写真=PIXTA)

「はてなブログ」や「はてなブックマーク」で有名な株式会社はてな <3930> が2月24日に東証マザーズに上場する予定だ。実は、売上高の3分の1を任天堂から計上しているなど、意外な事実がたくさんある。果たして、はてなはどのような企業なのか、今後の業績はどうなるのだろうか、上場の見通しはどうなのか。はてなの上場情報を徹底解説する。

売上高、利益共に成長してはいるものの…

2015年7月期の売上高は10.9億円(前期比+23.8%)、営業利益1.7億円(同+70.0%)となった。コンテンツマーケティングサービスで広告売り上げが堅調だったほか、「はてなブログMedia」サービスが大幅に拡大し、売上高3.6億円(+74%)となった。コンテンツプラットフォームサービスも企業からの広告や課金収入が堅調で売上高3.4億円(+29%)となった。

しかし、かつてより注目されていた企業であるものの、営業利益はようやく1億円台に乗せたところでしかないといった印象も受ける。現状の売上や利益をどのように解釈するのかは議論がわかれるところである。

知られていない「はてな」の意外なビジネスモデル

はてなの事業ポートフォリオは大きく分けて3つだ。売り上げ構成はほぼ3分の1ずつとなっている。

①コンテンツマーケティングサービス

自社サイトを保有したい会社向けに、サイト構築、記事コンテンツ製作管理、SEO対策(検索エンジン最適化サービス)といった、いわゆるCMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)を行う「はてなブログMedia」を手掛ける。

サイト構築や運営に伴う企業からの受託収入に加えて、そのサイトの露出拡大のための広告収入などが主な収益源となっている。

②コンテンツプラットフォームサービス

キュレーションメディア「はてなブックマーク」、ユーザー同士のQ&Aサイト「人力検索はてな」、ブログサービス「はてなブログ」等の一般個人向けサービスを展開している。ヘビーユーザー向けの有料課金サービスで個人ユーザーから収益を得ていることに加えて、広告掲載企業から収益を得ている。

この事業においては、登録ユーザー数450万人、月間ユニークユーザー5,400万人という個人ユーザーへの訴求力が一番の魅力だ。ユーザー数だけで見ると先日ヤフーに1,000億円で買収された一休の410万人を上回る。

一方、一休の2016年3月期予想売上高は売上高74.2億円、営業利益は25.6億円。はてなのコンテンツプラットフォームサービスの売上高は2015年7月期売上高は3.4億円。単純計算でユーザー一人当たりの年間売上高は76円程度に過ぎない。顧客単価の増加が同社の課題といえる。

③テクノロジーソリューションサービス

主に上記2事業のノウハウを生かした受託開発、運営を行っている。代表的な事例は同じ京都の会社である任天堂「Wii U」搭載のソーシャル機能「Miiverse」の運営など。同社の任天堂向け売上高は前期の全体売上高の27%を占める。また、クラウド型サーバー監視サービス「Mackerel」などを手掛ける。

はてなは、以上のようなビジネスモデルをとっている。上記の法人向けビジネスが軌道にのったことにより、この度、以前より噂されていた上場が叶ったかたちである。

はてなの今後の見通しは?

同社の主力3事業のうち、テクノロジーソリューションサービスは大口顧客である任天堂の業績動向が、WiiUや3DSといったハードウェア伸びの販売不振から、ユーザー数の拡大が見込みがたいことから、横ばい傾向と見ておくのが無難だろう。

また、コンテンツマーケティングサービスも、企業のオウンドメディア構築需要は依然旺盛なものの競合が多く、WordPressのような無料ツールも普及していることから、今後の業績の伸びは緩やかとなることが想定される。

コンテンツプラットフォームに関しては「ウェブ2.0」なる言葉があった頃、ユーザー発信メディアであるはてなダイアリーがブログの先駆けとしてヒットするなど、はてなの事業は新奇性があった。しかし、昨今では新奇性に欠ける事業が多く、またはてなの主コンテンツであるブログも、業界自体が衰退しているという局面にある。

はてな上場の見通し

2月5日に仮条件が700円~800円と決定。2月8日~15日のブックビルディング期間を経て、2月16日に公募価格が決定。申込期間は2月17日~22日で、2月24日に東証マザーズに上場する予定となっている。

主幹事証券会社はSMBC日興証券。幹事証券会社は、SBI証券、マネックス証券、岡三証券、みずほ証券、いちよし証券、エース証券。

今年第1号のIPO銘柄であること、また知名度が抜群のネット関連企業であること、そして吸収額が最大7億円弱と弱いことを加味すると、初値は需給主導で付くことになるのではないだろうか。

IPO(新規上場株)は勝率が高い

公募価格に対して初値が上昇することの多いIPO株(新規上場株)は、2015年に上場した92社のうち、82社もの銘柄が公募価格に対して値上がりしており、勝率が高い。

そしてIPOに関しては選ぶ証券会社が重要になってくる。なぜなら、証券会社によって、抽選方法や、取扱実績が大きく異なるからである。次に、はてなのIPO株(上場株)を買う際の注目の証券会社を見ていこう。

はてなの上場株を申し込むのに間に合う証券会社

はてなの上場株を申し込みたい場合に今からでも間に合うのがSBI証券とマネックス証券である。両社とも幹事証券会社をつとめている。

SBI証券はネット証券の最大手であり、350万人から選ばれている点で初心者にとっても安心のネット証券だ。抽選方法は申し込み口数が多いほど当選確率が上がる方式であるが、抽選に外れた場合は、そのたびにIPOチャレンジポイントが与えられるので、抽選に外れた人ほど当選確率が上がっていく仕組みが用意されている。

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マネックス証券の特徴は、投資資金や申し込みの数量に関わらず平等に当選の権利があることだ。投資資金が少ない、または少額の取引を希望する投資家向きのネット証券会社といえる。

>>マネックス証券の公式ページはこちら<<