(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

マイホームといえば新築という時代はとうに過ぎ、価値観が多様化している世代がマイホームを購入するようになった。画一的な間取りになりがちな新築分譲住宅ではなく、比較的価格も安い中古住宅を購入し、自分好みにリフォームをして居住する方も増えてきた。

とはいえ、中古住宅選びは簡単ではない。購入判断となる建物の見抜き方や、その後の保証に関しても知っておかないと、安物買いの…となりかねない。そこで、市場に眠る「お宝中古住宅」を見抜くポイントを解説していく。

間違いだらけの建物評価と業界慣習

築20年もすれば建物価値はゼロ、こんな話を聞いたことはないだろうか。日本の滅失した住宅の平均築後年数は約27年だが、アメリカでは約70年、イギリスでは約80年と、圧倒的に日本の住宅は寿命が短い。

しかし、地震大国の日本の建築技術は世界でもトップクラスであり、築後30年程度で価値がなくなるようなものではない。特に、1981年6月1日に施行された新耐震基準を満たした住宅においては、充分な耐震性能を有している。

しかしながら、かつての土地神話によって不動産に含み益が生まれた時代の名残りから、建物をメンテナンスして維持管理することで寿命が延びるという考えには至らず、わずか20年程度のでサイクルで「作っては壊す」を間繰り返してきたのが実態だ。この慣習を逆手に取ると、実は建物の価値が充分あるにも関わらず「築年数20年=価値ゼロ」となっている物件が市場には多く存在する。

こうした事実を知っている不動産会社も少なからず存在する。しかし、売主である顧客がその事実を知らないことに乗じて、極力安い価格で査定し、委任を取ることで売却を早く成立させようとするケースが少なからず見受けられる。

お宝中古住宅を見分けるポイント1「建物0円物件」を探す

ここでいうお宝中古住宅とは、確かな価値があるのに、割安な価格が付けられている物件のことだ。つまりほとんど土地だけの価格で売りに出されている物件を指す。同じ築年数でも、きちんとメンテナンスをしていれば、木造でも50年以上はゆうに住める。

では、どのようにして「建物0円」物件を探せばいいのだろうか。ポイントは、売りに出されている物件価格を「土地」と「建物」に分けて考えることだ。ただ、一般的な不動産広告には「土地と建物が分けられていない価格(物件価格)」しか表示されておらず、また不動産広告に「建物0円」と書かれているわけでもない。

そのため、購入を検討したい中古住宅がある地域の土地の値段の相場を調べて、広告に書かれている物件価格から土地の値段を引けばいい。それを差し引いた残りが建物価格となる。

相場の調べ方は、その土地の目の前の道路についている価格(路線価)を 国税庁のサイト から見つけ出し、「土地面積(㎡)×路線価÷80%÷90%」で割り戻すと大体の金額が算出できる。路線価は、贈与税や相続税の算出の際に用いる金額で、公示地価の80%相当であり、その公示地価が実際に取引される土地価格の90%程度であることからこの計算式となる。この計算式は便利なため、覚えておいて損はないだろう。

お宝中古住宅を見分けるポイント2 「築年数」で探す

住宅を売りに出す場合、必ず不動産会社に査定を依頼するだろう。しかし、先ほども書いたように不動産会社だけでなく住宅所有者でさえも、築20年も経ったら建物の価値はないと思い込んでいる場合がほとんどだ。実際に、築20年超の物件を依頼すると不動産会社から「もう土地値ですね…建物は使えないので、解体費用がかかる分だけ値下げ交渉されるかもしれませんよ」と言われるだろう。

そうなってしまう背景は先ほど紹介したが、その「建物価値ゼロ」と言われる基準が木造ならば築20年、鉄筋コンクリート造で築30年を超えたあたりから。この年数を超えた物件はかなりの確率で建物の査定価格がゼロに近い。

ただし、古ければいいと言うものではない。古すぎて耐震性に不安がある住宅はたとえ価格がゼロであっても住むことはできないだろう。

ここでのポイントは、1981年6月1日以降に「建築確認」が申請された建物であれば耐震性が最低限担保されている点だ。木造の場合、施工期間が最低でも3ヶ月はかかるため、完成年月日は1982年以降であることが土俵に乗る条件だ。また鉄筋コンクリート等では施工期間はその建物の大きさにもよるが最低でも6ヶ月以上かかることから、1983年以降の完成年月日であれば、新耐震基準をクリアした建物である可能性が高い。この年前後の判断は個別になるため、不動産会社に聞いて役所等で書面を見せてもらうなどの確認をしていただきたい。

お宝中古住宅を見分けるポイント3「建物の現状」を調べる

ここまで挙げた価格上のメリットと耐震性の概略はクリアしたとして、最後に重要となるのが、現在の建物の状態である。仮に、どんなお金をかけて建てた家であっても、住んでいる過程で全く維持管理されていないものは、その価値は維持されない。

住宅は当然ながら年月が経てば劣化するが、問題は劣化することではなくそれを放置しておくことにある。住宅の価値を保つには計画的な維持管理が欠かせないのだが、これまで日本ではそれほど注目されてなかった。劣化した部位を適切に改修していれば、建物の価値は維持されていく。

しかしながら、住宅には素人では見えない部位が数多くあるため、そうした部位を見極めてくれるのが、昨今注目されている「インスペクション」だ。これは、建築士等が行うインスペクターと呼ばれる住宅に精通した専門家による検査。購入前にこうした第三者による客観的な診断を受けることは重要だ。この「インスペクション」により、欠陥の有無やリフォームの必要性及びその改修費用の目安なども把握できる。検査内容としては、屋根や外壁、小屋裏、床下の劣化状態などを目視にて行い、時間的には1.5~2時間程度。費用は依頼先にもよるが概ね5~10万円くらいだろう。

欧米では、不動産取引の7割から9割が中古住宅で、新築住宅の取引はほとんどない。しかし、日本では逆に新築が85%を占め、中古住宅の取引はわずか15%弱にとどまっている。

したがって、日本の不動産会社のほとんどが中古住宅の取引が豊富だとはいえない。ここで紹介した選ぶ基準を理解したうえで、最後は中古住宅取引を頻繁に行っている不動産会社と取引することが重要になる。依頼する会社のホームページに掲載されている物件や記事、そして担当者への質問で、中古住宅への見識があるか否かをぜひ見極めていただきたい。

高橋 正典(たかはし・まさのり)
不動産コンサルタント。株式会社バイヤーズスタイル代表取締役。2000件以上の不動産売買に携わるなど、現場を最もよく知る不動産コンサルタント。NPO法人住宅再生推進機構専務理事、一般社団法人相続支援士協会理事。著書に「プロだけが知っている!中古住宅の選び方・買い方」朝日新聞出版、「不動産広告を読め」東洋経済新報社他

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)