最終財は下落が続く
1月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比▲30.6%(12月:同▲32.3%)、中間材が前年比▲5.7%(12月:同▲6.1%)、最終財が前年比▲1.0%(12月:同▲0.6%)となった。
原油価格の下落を背景に素原材料、中間財がマイナス圏で推移しているが、下落圧力が最終財に徐々に波及している。最終財は価格転嫁の動きが強まったこともあり、2015年2月以降前年比でプラスとなっていたが、原油をはじめとした国際商品市況下落の影響から2016年に入ってから下落に転じている。
2016年夏頃にかけて、前年比でみた原油価格の下落幅は緩やかに縮小することを予想しているが、一定のラグを伴って最終財が明確な上昇基調に転じるのはそれ以降となるだろう。最終財のうち、消費財は2016年夏頃にかけてゼロ近傍での推移が続くと予想するが、その後は緩やかな上昇に向かうとみている。
国内企業物価は下落幅を緩やかに拡大
中国の景気減速などを受けて下落基調を続けている国際商品市況や原油価格は、当面低調な推移が続くだろう。一方、為替については新興国経済の減速懸念を受けてリスク回避姿勢が高まっていることや米利上げ観測の後退などから、円安基調の再開には時間を要するとみている。
価格転嫁の動きが一巡していることや原油価格の下落圧力が依然強いことを踏まえれば、国内企業物価は緩やかに下落幅を拡大するだろう。中国の景気減速や米利上げに伴う新興国の景気減速が一層鮮明となれば、需要低迷による国際商品市況の悪化を受け企業物価は下落基調を強める恐れがある。
(*1)1.機械類:はん用機器、生産用機器、業務用機器、電子部品・デバイス、電気機器、情報通信機器、輸送用機器
2.鉄鋼・建材関連:鉄鋼、金属製品、窯業・土石製品、製材・木製品、スクラップ類
3.素材(その他):化学製品、プラスチック製品、繊維製品、パルプ・紙・同製品
4.為替・海外市況連動型:石油・石炭製品、非鉄金属
5.その他:食料品・飲料・たばこ・飼料、その他工業製品、農林水産物、鉱産物
(*2)1.機械器具:はん用・生産用・業務用機器、電気・電子機器、輸送用機器
2.その他:繊維品、木材・同製品、その他産品・製品
岡圭佑(おか けいすけ)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
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