英語の発音ルール
(写真=The 21 online/関 正生(英語講師・語学書作家))

「弱形」を知れば、英語は9割聴き取れる!

日本の英語教育は読み書き中心、だから日本人のリスニング力は低い、ということがよく言われる。だが、人気英語講師の関正生氏は、「それ以前に、もっと重要なことを学校で教えていないことが最大の原因」と指摘する。

数多くの受験生の英語嫌いを克服させてきた関氏が指摘する、英語を聴き取れない本当の理由とは?

英単語の発音には「強形」と「弱形」がある

日本人がネイティブの会話を聴き取れない最大の理由、それは「弱形」を知らないからです。みなさんも、「弱形なんて初めて聞いた」という人がほとんどでしょう。なぜなら日本の英語教育では、これについてまったく教えていないからです。

実は英単語には、「強形」と「弱形」という2通りの発音を持つものがいくつも存在します。

たとえばtoは、「トゥー」と発音すると学校では習ったはずです。しかし普段ネイティブが会話するとき、toは「タ」と発音します。この場合、「トゥー」が強形、「タ」が弱形です。have toは「ハフトゥー」ではなく、「ハフタ」になるわけです。

試しに辞書でtoを引いてみてください。強形と弱形、両方の発音記号がちゃんと掲載されているはずです。しかも弱形の発音のほうが先に載っています。これはすなわち、弱形を使うことのほうが多いということなのです。

ネイティブがtoを「トゥ」と言うことはほとんどない

実際、ネイティブが会話で使うのは、ほとんど弱形です。強形を使うのは、非常に丁寧に話すときか、その単語を特別に強調したいときだけ。ビジネスの場であっても、弱形がほとんどです。それなのに、日本の学校では強形のみ、つまり実際の会話でほとんど使われない発音しか習っていないのです。これではネイティブの会話が聴き取れなくて当然です。

どうも、「弱形」という言葉が誤解を生んでいるように思います。英語教師であればもちろん、弱形の存在自体は知っています。ただ、それを「弱く発音する」という意味だと解釈している人が教師の中にも少なくないのです。toであれば、小さな声で軽めに「トゥ」と発音すればいいと誤解しているのです。

しかし実際は、強弱の問題ではなく、音自体が「タ」と別のものになっているのです。教える側が勘違いしていては、習う側が知らないのも無理はありません。