大学
(写真=PIXTA)

「学生数が5000人未満の世界大学ランキングトップ20」が発表され、日本からは東京医科歯科大学(12位)、横浜市立大学(16位)、東京海洋大学(20位)が選出された。横浜市立大学は文系の学部と医学部をもつ総合大学としては日本から唯一のランクインということになる。

このランキングは英国の教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が発表した。

小規模大学の利点は密なコミュニケーション

このランキングは、2015年10月にタイムズ・ハイアー・エデュケーションが公表した世界大学ランキングに選ばれた大学のうち、総学生数が5000人未満の小規模大学を対象に選び直したもの。

評価の項目は、教育、国際性、研究、論文引用度、産業収入の5つで、教員一人当たりの学生数、留学生の数などさらに細分化された13の指標からランキングを決めている。

フィル・バティ編集長は、大学にとって規模は大事な要素であるとし、「大規模な大学では忙しすぎて時間が取れないような著名な教授と過ごせるチャンスがより多い」とコメント。学生と教員の距離が近い小規模大学ならではの利点に触れている。

また、「データは21世紀において通貨のような価値を持っている」として、見過ごされやすい観点であった「規模」に光を当てたことで、多方面の情報から大学教育を選択する手助けになる意味は大きいと話す。

今回発表された5000人未満の世界大学ランキング1位は米国のカリフォルニア工科大学で、トップ20のなかでも2番目に総学生数が少ない。カリフォルニア工科大学は、総合的なTHE世界大学ランキングでも1位を獲得していることから、規模と集中度が大学のパフォーマンスに与える影響は小さくないといえるだろう。

横浜市立大学留学生比率の高さなど3点で高い評価

横浜市立大学が高く評価されたのは3項目。一つは、国際基準に比較すると小規模であるものの日本の大都市に位置しているということ。次に、総学生数4122人で、教員一人当たりの学生数が4人未満と恵まれた教育環境があることが評価されている。最後に、学部が2つしかないにも関わらず、外国人留学生の比率が全学生の3%にもなっている点が挙げられている。海外からの同校への関心の高さも前向きな評価項目だ。

横浜市立大学は、国際都市・横浜の都市社会インフラとして、教育・研究・医療・地域貢献の拠点機能を果たすというビジョンを掲げている。なかでも特色といえるのは、国際化社会に通用する実用英語力教育への取り組みである。

リベラルアーツを学ぶために必要とされる実践的な英語力に重点が置かれ、英語を英語で教える徹底した指導が行われている。英語力がともなわないと進級できない仕組みとなっており、プラクティカル・イングリッシュ・センターを設置し、レベルの高い講師がきめ細かくケアしている。

また、同校はゼミに力を入れていることでも定評がある。種類の豊富な研究に加え、少人数であるため満足度が高いという、小規模な総合大学ならではの利点がここでも発揮される。

アジアの大学と交流しながら共同研究を行う「アカデミックコンソーシアム」では、アジア諸国が抱える都市問題に学生たちの研究活動が活かされている。

参加した学生たちは、フィリピンやベトナムの学生たちと英語で議論し、プレゼンテーションすることで国際的な思考力や行動力が身についたと話している。一方で海外の学生からは、教員と学生が一緒に研究活動をしいている同校の様子を知って、羨望の意見があがったという。

学生にとって大学教育の選択は、人生における重要な決断となる。データを見る角度を変えれば、違ったメリットに気づくこともあるだろう。大規模な大学が合っているという人もいれば、こうした小規模大学ならではのメリットに注目してみるのもひとつの選択といえる。(ZUU online 編集部)