投資先
(写真=PIXTA)

世界の投資家が注目する2016年の投資先ランキング

マイナス金利の導入によって、住宅ローン金利や不動産ローン金利が下落して、改めて「不動産投資」の将来性に注目が集まっている。とりわけ、海外の投資家の関心が高まっており、2016年の世界の投資先として、日本の不動産への注目度はますます高まりつつあるようだ。

実際に、世界の機関投資家やファンドマネージャーなど345人へのアンケート調査によると、アジア太平洋地域の中で2016年に最も投資したい対象は、2年連続で東京のオフィス市場という結果が出ている(ANREV、アジア非上場不動産投資家協会調べ)。複数回答だが、現に全体の56.5%の人が東京オフィス市場に投資したいと回答している。ちなみに、3位までのランキングは次の通りだ。

・第1位……東京オフィス
・第2位……中国ティア1オフィス(北京、上海、深圳、広州)、シドニーオフィス ※同率2位
・第3位……メルボルン・オフィス

世界の投資家から見れば、東京のオフィスがアジア地域でいま最も魅力的というわけだが、これを2010年まで遡ると、1位は中華圏商業施設、2位は中華圏住宅、3位がオーストラリア商業施設となっている。ベスト3にも入っていなかった東京オフィスが、今となっては2年連続で1位というわけだ。

アベノミクスで14倍に跳ね上がった海外投資家の不動産投資額?

日本の不動産投資に人気が出た最大の原因は、言うまでもなく「アベノミクス」の影響だろう。円安=ドル高で不動産価格が下がり、さらに低金利となって融資を受けやすくなった。実際に、アベノミクスによって日本の不動産市場には様々な効果がもたらされた。

総合不動産サービス会社「JLL(ジョーンズ・ラング・ラサール)」の調査によると、2012年末にスタートしたアベノミクスによって、2014年の「海外投資家」による日本の不動産投資額は、アベノミクス開始前の2011年に比べて14倍上回っている。

日本の投資額全体における海外投資家の割合も、過去5年は年間5~10%程度であったが、2015年1月-9月の9か月間で22%(JLL調べ、以下同)も増加している。投資金額も2012年、2013年の金額を9月の段階で上回っている。商業用不動産だけに絞った投資額でも2014年には4兆7,000億円となり、2012年の2倍以上に増加した。

こうした海外投資家の市場参入によって、不動産価格そのものも大きく急騰した。たとえば、東京オフィス価格は2012年末から2015年9月末までの間に、Aグレードで41%増(JLL調べ)、Bグレードでは59%(同)も上昇している。

景気動向の影響をあまり受けない、あるいは受けても最後に表面化すると言われる「オフィス賃貸価格」も、東京オフィスでは大きく上昇している。やはりアベノミクス開始以降、東京Aグレードのオフィスで14%(同)も増えているのだ。海外投資家による東京オフィスへの投資によって、オフィス価格、賃貸料ともに大幅に上昇した、と見ていいだろう。

なぜ東京オフィスは海外投資家の注目を集めるのか?

アベノミクスによって、海外投資家の多くが日本の不動産投資、とりわけ東京のオフィスに注目を集めるようになった訳だが、一体、海外投資家とはどんな人たちなのだろうか。その中心は、やはり中国や台湾、シンガポールといったアジアの富裕層と考えていいだろう。

特に、長期に渡って高度経済成長が続いた中国の富裕層は、バブル崩壊に直面する自国の不動産に換えて、日本の不動産に魅力を感じているようだ。では、外国人投資家にとってなぜ日本の不動産は魅力的なのだろうか。まず、日本という国を見た場合、他のアジア諸国と比較してカントリーリスクが低いことが注目されている。原発や地震といったリスクはあるものの、オリンピックの開催が決まるなど、以前のような安全性が確保されており、さらに戦争や騒乱がなく治安もいい。日本の安全性や安定性が高く評価されていると見受けられる。

また、世界第3位の経済大国であり、バブル崩壊などがあっても、新興国のような大暴落になる可能性が少ない点も大きい。ちなみに、東京都の不動産に関心が高いのも次のような理由があると考えられている。

・日本の中心地であり、日本全体が人口減少になっても人口の安定化が期待できる
・空港へのアクセスが良く、自国との行き来が円滑であること
・オフィス街が都心に集中しており、利便性が高い
・資産価値が長期に渡って減価しにくい

この他、ハードルは高いものの中国の投資家などの中には、日本での永住権を求めて、日本の不動産を購入する人も少なくないと言われている。米国やカナダ、オーストラリアに存在する「投資移民」という制度は日本にはないが、今後の状況次第では可能になるかもしれない。また、在留資格のひとつで、会社経営や不動産経営を日本で行う「経営・管理ビザ」を10年間更新し続ければ日本の永住権を申請できるため、日本でアパート経営などに乗り出す外国人が多いのも事実だ。

問題は、アベノミクスの限界が囁かれている中で、マイナス金利の導入などを経て今後の不動市場がどうなるのかだ。商業用不動産に限定すると、2015年の投資額は4兆1,100億円で前年比12%のマイナスとなった。2016年の投資額は再び増加に向かうと予想されているが、マイナス金利の影響がどう出るのか、日本の投資家が注目する投資先にも関心が高まる。(提供: Vortex online

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