投資判断,情報
(写真=ライブリー 退職金と未来のお金)

<質問>

この春に食品メーカーを定年退職した60歳の男性です。退職後2000万円強の退職金を受け取りました。ボケ防止を兼ねて、退職金の4分の1くらいで投資を考えています。

銀行はやたらと投資信託をすすめてきますが、彼らがよく言う「元本保証」とか「長期運用で資産が増える」というウソを信用していません。ある程度の貯金があるため、贅沢さえしなければ同じ年の妻との老後の生活は何とかやっていけると思います。

これからの人生は趣味のガーデニングをしながら、晴耕雨読ならぬ「晴耕雨投資」の生活を送るつもりです。変な投資で失敗して生活に困るようなまねはしたくありません。だから投資に関してはできるだけ正しい情報を手に入れたいと思っています。どこかにそんな情報はありませんか?

<回答>

真の情報は「市場」にある

真の情報は「市場」にあります。市場で取引されている株や債券、商品や外国為替などの金融商品の価格は、事実にもとづく情報、憶測や思惑などすべてを反映した「生(なま)」の情報です。よって、市場価格やその動きを表したグラフであるチャートは重要な情報であり、機関投資家や個人投資家が投資の判断材料に利用しています。

取引所に上場されている金融商品の市場価格やチャートはインターネット上でリアルタイムの情報を得ることができます。しかし、同じ市場価格とチャートをもとに投資をしても、買う投資家もいれば売る投資家もおり、投資家たちの反応は千差万別です。なぜなら、同じ価格やチャートをもとに投資家ごとに違う解釈をして投資判断を行っているからです。その投資家ごとに違う解釈が長い投資運用経験から得たノウハウなのです。

しかし、投資をはじめようという人はまだノウハウがないため、独自のノウハウを持つプロ運用会社が投資運用している投資信託を売買することは有用な投資方法の一つです。ただし、プロが投資運用する投信でも損をする可能性はあります。

銀行が投資信託(投信)を売る理由

投信の場合、プロの運用会社に運用を頼む以上は手数料がかかります。それが信託報酬という運用管理手数料であり、投信を購入する際にかかる販売手数料です。

投信を取り扱う銀行(販売会社)では、販売手数料や運用会社と山分けする信託報酬などの手数料収入を目当てに、個人投資家に投信を販売しています。そのため、銀行は支店の営業担当者に投信の販売目標(要はノルマ)を課し、営業担当者は必死に投信を売るのです。

また、銀行は顧客が投信を持ち続けることによっても信託報酬の分け前がもらえるため、顧客に「長期保有=長期運用」をすすめます。営業担当者の営業成績項目の一つには「取引残高」もあるため、値上がりして利益があがった投信を売りたくなっても、営業担当者に引きとめられることもあります。

何に投資すべきか

では、個人投資家は何に投資をすべきでしょうか?販売会社である銀行や運用会社に手数料を払いたくないのであれば、自分が株や債券、外貨などに直接投資をすれば自分がまるまる利益も損も受けることになります。

相談者さまは食品メーカーにお勤めだったようですので、食品関係の会社の業績や内情に詳しいはずです。なじみがある食品関係の企業の株なら株式投資のスタートにちょうどよいのではないでしょうか。個別銘柄に投資する場合、重要な情報は前述の「市場価格とチャート」です。チャートはローソク足つきのものがおすすめです。

自分で直接個別銘柄に投資する自信がないというのであれば、プロの運用会社が投資運用をする投信が選択肢になります。ただし、必ずしも銀行の営業担当者から買う必要はありません。

営業担当者に投信をすすめられるのがいやであれば、ネット証券会社に口座を開き、営業担当者を通さずに、インターネットトレーディングで自分の判断にもとづいて売買すればいいのです。手数料を安くおさえたい場合は、販売手数料がゼロの投信(「ノーロード投信」といいます)や、信託報酬が低い投信をさがしましょう。

投信の選択に重要な情報は、投信の運用方針、投資対象、過去の運用実績、純資産総額(他の同種類の投信と比べて少なすぎないか・急に減っていないか)、手数料などです。これらの情報は投信の「目論見書」や運用会社や販売会社のサイトから調べることができます。

相談者さまのようにだいたいの生活資金は貯金で確保できており、余裕資金で投資をするのであれば選択肢はいろいろあります。金融の勉強をしながら、自分の投資スタイルに合った投資商品に徐々に投資をすることをおすすめします。(提供: ライブリー 退職金と未来のお金 )

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