米ウォールストリート・ジャーナル紙の「2014年FinTechリーダー・トップ40」にも選ばれた、シニア・エクゼクティブのためのネットワーク、英ファイナンシャル・クラブのクリス・スキナー会長が2016年の銀行業務がどう変わるかをランキング形式で予想した。

10位 データ・マネタイゼーション(収益化)

所有する膨大なデータを利用して、市場戦略に役立つ情報を顧客に提供することで、新たな収益源につなげようと試みる銀行が増えるだろう。

9位 顧客の声に耳を傾けるネットワーク

クラウドソーシングの普及により、銀行は顧客とより気軽にコミュニケーションが図れる時代だ。

クラウドソーシングで消費者から募集した「理想の銀行」を、現実化させることに成功したイタリアのWidiba銀行などが良い例だといえる。

8位 ロボットの脅威

ロボットアドバイザーや接客用の人型ロボットという枠組みをこえ、UBSが富裕層の顧客向けに提供している「リアルタイム・ポートフォリオ分析」のようなサービスが、今後発展する可能性にも期待。

7位「モノのバンキング(BoT)」

口座に不正な動きが見られると、顧客の車に接続された「警報電球」が点滅するサービスを提供しているUS銀行や、子供向けのオンライン金融リテラシーを配信しているニュージーランドのASB銀行などに見習い、「モノのインターネット(IoT)」ならぬ「モノのバンキング(BoT)」が勢いを増すことが予測できる。

6位 新たな「仲介業務」

80年代以降、資本市場から直接資金調達が可能になったのを機に「大手企業の金融機関離れ」が目立ち始めたが、仲介業者としての銀行の役目は新たな転機を迎えている。

オーストラリアのCBA銀行やロシアのAlfa銀行などは、クレジットカードなどの決済取引から顧客の消費動向を分析し、大切な人の誕生日や記念日を知らせる仲介サービスを行っている。

5位 分散型決済

生体認証からコンタクトレスまで、決済スタイルはますます多様化していくだろう。

4位 楽しめて役立つ銀行取引

取引内容がズラリと記載されただけの殺伐とした取引明細書の時代は終わりを告げ、例えばFacebookやInstagramといったSNSと連携できるバンキングアプリや、予め設定しておいた予算以上にお金を使いすぎると知らせてくれる警告アプリの開発など、銀行は顧客のバンキング経験をより向上させようと骨を折っている。

3位 中小企業に優しい環境へ

時価総額1億ドル(約112億9600万円)以下の中小企業への融資は高リスクー―という銀行側の偏見も、英ファンディング・サークルなどのP2P会社や、トルコのデニス銀行が提供している小企業向けのデジタルサポートサービスの登場により、事業規模に左右されることのない優しい環境作りへと移行しつつある。

2位 眠らない銀行

24時間365日サービスは最早当たり前の時代。南アフリカのスタンダード銀行などは、FacebookメッセンジャーやWhatsAppを含むあらゆるメディアを通して、顧客がいつでも、どこからでも直接マネージャーとコミュニケーションをとれるサービスを開始。

1位 1人1人の顧客のニーズに対応

「既成のサービスをすべての顧客に当てはめる」という半ば強引な従来のサービスから、クラウドシステムや分析ツールを屈指して「個人のニーズを重視する」サービスを提供する銀行が増えている。

顧客サービスの改善や新たな商品開発に「アイデア・バンク」と呼ばれる共有リソースを利用している銀行も多い。( FinTech online編集部