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Written by 高田泰 125記事

3.26いよいよ開業

北海道新幹線、日本一高い料金の理由は「海峡部」

北海道新幹線
(写真=PIXTA)

3月26日に開業する北海道新幹線の運賃が、日本一割高に設定された。JR北海道が設けた割引料金も東京-函館間航空便より高くなる可能性があるなど評判が芳しくない。青函トンネルの維持、管理費用を特急料金に上乗せしたからで、地元では期待通りの利用客を集められないのではないかと不安視する声も上がっている。

多額の建設費がかかる海峡部の通行に高額料金を設定する例は本州四国連絡橋道路や東京湾アクアラインで過去に見られた。ともに料金引き下げまでは利用が低迷し、地域発展の起爆剤になれなかった。北海道新幹線も同じ轍を踏むのだろうか。

特急料金は東海道、山陽新幹線の1.58倍

北海道新幹線東京駅-新函館北斗駅間の運賃、特急料金を合わせた通常料金は、通常期の普通車指定席で2万2690円。国土交通省が試算した1万8600円を上回った。老朽化が進む青函トンネルの維持管理費を特急料金に上乗せしたからだ。

既存の新幹線と同じ距離で特急料金を比較すると、東海道、山陽新幹線の1.58倍、東北新幹線の1.52倍、九州新幹線の1.23倍。日本一高い新幹線の特急料金となっている。

JR北海道は「これでも安く抑えた」と胸を張るが、所要時間でかなわない航空路線に対抗するため、2万円未満が相場とみていた函館商工会議所など地元経済界からは、発表された料金に不満の声が相次いだ。

国の運輸審議会が特急料金の妥当性について、JR北海道と一般公述人から意見を聞く公聴会でも、大塚良治湘北短期大准教授、武田泉北海道教育大札幌校准教授ら3人の公述人が「割高料金は不公平」「地域間交流を阻害しかねない」などとそろって反対の姿勢を示している。

さらに、新幹線には複数の会社の路線を乗り継ぐと、特急料金が高くなる仕掛けがある。東北新幹線から北海道新幹線へ乗り通した場合、JR東日本とJR北海道の特急料金が単純合計され、1社で同じ距離を乗るより割高になるからだ。

通常料金の割高批判に油を注いだのが割引料金。東京駅-新函館北斗駅間の最安値は1万5460円だが、これはJR東日本の「スーパーモバイルスイカ特急券」だ。有料会員のスマートフォンや携帯電話からしか購入できない。

JR北海道の割引切符は購入期限が乗車前日までの「北海道ネットきっぷ」と、14日前までの「北海道お先にネットきっぷ」。ネットきっぷが2万1550円、お先にネットきっぷが1万7010円と、JR東日本のスイカ特急券より少々高い。

しかし、ともに片道のみの販売で、インターネット限定となり、みどりの窓口や旅行代理店では手に入らない。東京羽田-函館間の航空便格安料金には1万円台のものもあり、13~1日前のネット予約では見劣りすることもある。

海峡部の高料金設定が地元振興の足かせに

海峡部の高い通行料金は、過去に道路で何度も問題になった。その代表例が本四連絡道路や東京湾アクアラインだ。

このうち、本四連絡道路は沿線自治体などが出資し、20%引きの特別料金、28%引きの新特別料金を打ち出した。しかし、新特別料金でも陸上区間1キロ当たり28.08円、瀬戸大橋や大鳴門橋など海峡部252.72円、明石海峡404.35円と海峡部に割高料金を設定した。海峡部の通行料金は陸上部の約9倍、明石海峡は約14倍だった。

一般高速道路と比べると、海峡部で3.9倍、明石海峡で6.3倍も割高となり、通行量は当初の予測を大きく下回った。四国の4県は夢の橋の開通で架橋効果に期待していたが、観光客誘致や物流の拡大に思うような成果を上げられなかったわけだ。

2014年から一般高速道路と統一した料金体系になり、普通車で陸上部1キロ当たり24.6円、海峡部108.1円に引き下げられた。その結果、2014年度の本四3ルート通行台数が初めて4000万台を突破するなど、利用が上向き始めた。

1997年に開通した東京湾アクアラインもよく似た経過をたどっている。神奈川県川崎市と千葉県木更津市を10分ほどで結び、首都圏の渋滞を緩和するために建設されたが、開通当時、普通車で4900円もかかる高料金が嫌われ、予測を大幅に下回る通行量しかなかった。

毎年300億円以上の赤字を計上することになったため、料金を段階的に引き下げるとともに、千葉県が補助することになった。今の通行料金は普通車3090円、ETCなら800円。その結果、2012年には通行台数が2005年の3倍に増加、首都圏の基幹道路としてようやく息を吹き返した。

利用しやすい料金設定へ再検討が必要

海峡部に架かる橋や海底トンネルは建設に莫大な費用がかかる。このため、受益者負担の原則を優先し、高く料金設定してきた。しかし、使われなかったら、地元に波及効果をもたらさないことを本四連絡道路や東京湾アクアラインが示している。

青函トンネルが老朽化してきたうえ、貨物列車との共用走行で安全確保に多額の費用がかかることは理解できる。だが、利用が伸びなければ新幹線を開通させる意味がない。現状では一時的なブームはあったとしても、道南や青森県に大きな波及効果を期待できない可能性も否定できない。

しかも、北海道新幹線は東京駅から新函館北斗駅まで4時間以上かかる。このため、航空便との競合で不利になるとみられている。新函館北斗駅が函館市中心部から離れていることも大きなマイナスだ。ただでさえ状況が厳しいのだから、より工夫をしなければならないことは間違いない。

北海道やJR北海道は2030年度の札幌延伸が実現してからが本番と考えているのかもしれないが、今からでも本四連絡道路や東京湾アクアラインの実例を参考に、対応策を検討すべきではないだろうか。

高田泰 政治ジャーナリスト
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

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