「日本のシニア」は、もっと自信を持っていい!
◆ただ、バブル崩壊後、経済的に停滞している日本に対し、現在の世界経済で注目を集めているのは、中国やインドといった新興国です。
「もちろん、日本経済がこの20年、表面的には停滞していたことも事実です。ハーバードの教授の中にも興味・関心が中国やインドなど発展目覚ましい国に移った人もいます。それでも、少なくない数の教授が『日本から学ぶことは多い』と研究を続けています」
◆本書を読むと、そんな日本人の底力のようなものを感じますね。
「私は無条件に『日本は素晴らしい』と言うつもりはありません。ハーバードの教授陣も授業において日本の素晴らしさに触れると同時に、その課題についてもしっかりと触れています。私も本書を執筆する中で、一方的な日本礼賛にならないよう、バランスを取ることを心がけました。
それでもやはり思うのは、『日本人はもっと、自信を持っていい』ということです。特に今の団塊の世代を中心とするシニア層。満員電車で通勤し、毎日残業して、家族もプライベートも犠牲にして猛烈に働いてきた。それが、気がついたら定年を迎え、やるべき趣味もない。しかも若手からは『時代は変わった』『バブル崩壊後の停滞は団塊世代のせい』などと責められる。自分の人生、いったいなんだったのか……そんな悩みを持つ人も多いはずです。
ハーバードで今、日本が注目されているということは、シニア層のやってきたことが決して間違っていなかったということでもあります。むしろ、戦後の日本の経済成長と平和で安定した国づくりは『日本人が達成した偉業』と評価されているのです。そのこともぜひ、お伝えしたいと思っています」
佐藤智恵(さとう・ちえ)作家・コンサルタント
1970年、兵庫県生まれ。92年、東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組などを制作する。2001年、米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、12年、作家・コンサルタントとして独立。著書に『外資系の流儀』(新潮新書)、『世界のエリートの「失敗力」』(PHPビジネス新書)など。
(『 The 21 online 』2016年02月10日公開)
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