Airbnb
(写真=PIXTA)

「Airbnb」をご存知の方は多いと思いますが、正式な読み方はご存じでしょうか?

「エアービーエヌビー」とか、「エアビー」などと称されることもありますが、正式な読み方は「エアービーアンドビー」です。Airbnbは、アメリカ・カリフォルニア発祥の世界最大の民泊仲介サイトです。インターネット上で、滞在目的で部屋を借りたい人(ゲスト)と空き部屋を貸したい人(ホスト)の仲立ちをしています。

借り手はホテルより安価で滞在でき、貸し手は空き部屋さえあれば簡単に民泊を営めるという手軽さから、Airbnbの利用者は急増しています。現在、世界190か国以上の200万件を超える部屋がAirbnbに登録されています。

日本においても2014年の日本法人開設以降、爆発的に登録数が伸びている状態で、2016年1月現在、2万件に迫る数の部屋が登録されています。

しかしその一方で、近隣住民との軋轢や民泊が犯罪の温床になる可能性があるなどを理由に、Airbnbのビジネスモデルに、一定の規制を設ける国や地域が増えているのも確かです。

現状、海外ではどのような規制を設けているのでしょうか? また日本においてはAirbnbの規制は進むのでしょうか?

世界各国におけるAirbnbへの規制──アメリカの場合

まずはアメリカについてです。

Airbnb発祥の地であり、自由な国というイメージを持たれる方が多いと思いますが、アメリカは自由の国であるのと同時に、人々の権利を守る国でもあります。Airbnbが仲介する民泊が「近隣住民が平穏に生活する権利を侵害している」などの理由から、自治体よっては一定の規制が設けられています。

例えばオレゴン州ポートランド市。同市では民泊にも「宿泊税」が課税されて、ホテル並みの規制を受けています。課税で宿泊費は高くなります。安さが魅力の一つである民泊に与える影響は大きいでしょう。

フロリダ州マイアミ市では、民泊を含む6か月未満の短期賃貸が禁止となっており、その上、民泊が判明した場合、宿泊者は部屋から退去処分、部屋を貸したホスト側には罰金が科されます。

ニューヨーク州ニューヨーク市でも、アパートやマンションなど3戸以上の集合住宅において、居住者が滞在しない場合の30日未満の短期賃貸を禁止しており、事実上民泊を排除しています。

カリフォルニア州サンタモニカ市では、宿泊者が滞在する間、同じ住居にホストも滞在しなければならず、個人が複数の民泊を行うのを、事実上シャットアウトしています。その上ホストには、ライセンスの取得と宿泊税の支払いを義務付けており、アメリカで一番厳しい規制を敷いていると言えるでしょう。

世界各国におけるAirbnbへの規制──ヨーロッパ・アジアの場合

次はヨーロッパの事例です。

ヨーロッパにおいても、テロの危険性や近隣住民の権利を守るといった考えから、規制する国が少なくありません。

フランスの首都パリ市では、空き部屋を民泊として活用できるのは、1年のうち3か月までという制限が設けられています。短期間の活用ならばそれほど問題ありませんが、民泊で生計を立てようとする人にとっては厳しい制限です。

ドイツの首都ベルリン市においては、無届けで繰り返し部屋を貸し出す行為を禁止しており、行政に届出ていない民泊を規制しています。

スペインのバルセロナ市では、民泊の登録を義務付けており、さらに夜はホストの在宅を強制しています。ビジネスとして民泊を行うのは、事実上難しいでしょう。また、比較的民泊に寛容と言われているオランダでも、アムステルダム市では、民泊は1室4人までと規制を設けています。

最後に日本を除くアジア各国の規制についてです。

お隣の韓国では、法律で民泊を定義し、民泊をビジネスとして行う場合は、登録と消火設備などの設置を義務付けています。事実上の宿泊業と位置付けることで、規制を設けていると言えるでしょう。シンガポールは6か月未満の短期賃貸借を禁止しており、民泊が事実上締め出されています。

日本におけるAirbnbの規制は?

2016年1月現在、日本において民泊を直接規制する法律は存在しません。ただし民泊が旅館業法2条第4項の「簡易宿所」に該当すると考える場合は、旅館業法の規制に服することになります。具体的には、自治体の許可と設置基準を満たす必要があり、それができない場合は旅館業法違反となり6か月以下の懲役または3万円以下の罰金を科される恐れがあります。

現在のところ、民泊が宿泊業に当たるかどうかは識者の間でも判断が分かれており、それが民泊の「グレー状態」と言われる所以になっています。しかし日本における宿泊施設の需要に、現在、業界が十分に応えられていない現状を踏まえて、政府は旅館業法を改正し民泊を合法化する方針に傾いているようです。

そうした事から、東京都大田区や大阪府などが、特区を利用した民泊ビジネスを推進し始めており、厚生労働省や観光庁も民泊を簡易宿所と定義し、簡易宿所の基準を緩和することで合法化する方針を打ち出しています。

まとめ

今後民泊は一定の規制は設けられるものの、現実に照らし合わせて認めるといった方針で進むでしょう。外国人観光客の増加が見込まれる2020年の東京オリンピック開催までは、こうした推進・拡大傾向が続くことになるでしょう。(提供: Houstock Online

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