サブリース
(写真=PIXTA)

賃貸経営の管理手法の一つに、「サブリース」というものがあることをご存じでしょうか。サブリースとは、「又貸し、転貸」という意味です。マンション経営などの不動産投資に関連して使われる場合は、サブリース会社が転貸を目的にオーナーから一括で借り上げて、リース料を支払う仕組みのことを指します。

オーナーの立場で考えると、手数料を支払うことで、入居者がいなくてもサブリース会社から一定のリース料を受け取ることができ、空室リスクが排除できます。安定して収入が得られるため、ローンを組んで物件を購入した場合は大きなメリットがあるといえるでしょう。

サブリースの手数料は10%~15%程度

サブリース契約を結んだ場合、オーナーはサブリース会社にすべての管理を任せるケースがほとんどです。管理手数料の相場は、満室時の家賃の10%~15%です。通常の賃貸契約では管理手数料の相場が5%~10%ですので、それと比べると少し割高です。その代わり、入居者募集、契約、更新手続き、集金、退去時の立ち会いなど、煩わしい業務はサブリース会社が代行してくれます。また、オーナーに支払われるリース料は空室リスクが含まれているため、入居者から得られる家賃の90%程度で設定されることが多いです。

サブリースのメリット

この世の中に、「何があっても絶対に儲かる」投資はありません。冒頭で説明した通り、不動産投資において一番のリスクは空室リスクでしょう。しかし、サブリースという方法を利用すれば、収入は少なくなるものの、空室リスクからは解放されます。また、オーナーが契約を結ぶ相手はサブリース会社であり実際の入居者と契約関係にないため、物件管理のみならず小さなクレームから訴訟の対応まで、サブリース会社に任せることができます。

サブリース契約の注意点

賃貸経営においてクレーム対応や空室リスクがなくなるとなれば、こんなに素晴らしいことはありません。しかし、サブリースを利用する際には、事前に契約内容をしっかりと確認しておくことをお勧めします。

例えば、「30年間一括借り上げ」をうたい文句にしたサブリース契約があります。言葉通り、30年間の家賃は保証されるものの、家賃を2年ごとに変更できる契約になっていて、その際に減額を求められることもあります。家賃が減額になれば受け取れるリース料も減ります。また、一定の修繕やリフォームを必ず行わなければならない契約が含まれていることもあります。契約する前に、契約条件を十分に確認しておきましょう。

免責期間とは

賃借人の募集期間(新築時3カ月間など)は、サブリース会社がオーナーに対してリース料を支払わなくてもよいという「免責期間」が設けられていることがあります。免責期間は契約後1~6カ月間で設定されるケースが多いようです。免責期間中は、入居がなく家賃収入がなかったとしても、サブリース会社はオーナーにリース料を支払う責任はありません。ですから、免責期間中でも積極的に入居者を募集してくれるサブリース会社と契約しないと、オーナーは損をしてしまう可能性があります。

サブリース契約終了(解除)後のことも考える

サブリースを利用する場合、契約終了(解除)後のことも考えておきましょう。契約期間中は、オーナーの契約相手はサブリース会社であり、直接入居者と顔を合わせることはありません。また、退去後の修繕などもサブリース会社に任せることになります。サブリース会社ができるだけコストをかけたくない場合、前の入居者が残した傷などをろくに修繕しないまま、次の入居者に部屋を貸している可能性もあります。そんなことが続けば、サブリース契約終了(解除)後に、その部屋は目も当てられない状況になっているかもしれません。ですので、信頼できる会社と契約を結ぶ必要があります。

まとめ

サブリース契約の内容はリース会社によって異なります。もしあなたがサブリース契約を検討しているならば、上記の点に留意しながら契約前にその内容をしっかりとチェックしてください。そして何よりもこのサブリースのメリットを最大限に活かすためには、入居者が住みたくなるような物件に投資をすることがポイントになります。入居者はそれぞれの立場から立地・デザイン・付加価値(機能性)と賃料を比較し、総合的に判断して入居を決めますが、これらの条件がバランスを欠いていればそれは空室リスクに直結します。

サブリース契約を結んでも、物件はあくまでもオーナーのものです。積極的にサブリース会社と連携し、リスクを抑えながら賃貸経営をうまく回して、投資効果の最大化を図りましょう。(提供: Houstock Online

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