「国際成人力調査」の最新データが公表された。これは「読解力」「数的思考力」「状況の変化に応じた問題解決能力」という3分野のスキルについて、各国の最新状況がわかるデータだ。日本は、どのような結果だったのだろうか。本記事では、調査データを紐解きながら、これらの能力が「資産運用」において必須であることを解説していく。

「国際成人力調査」とは ?

日本の「成人力」はどのくらい ? 資産運用でも必須の3つの力とは
(画像=Augustas Cetkauskas / stock.adobe.com)

2024年12月、文部科学省・国立教育政策研究所は「OECD国際成人力調査」 (PIAAC) の第2回調査の結果を発表した。本調査は、38ヵ国の先進国で構成されるOECD (経済協力開発機構) が主催しており、第2回調査では日本を含む31の国や地域が対象となっている。

成人力は「各国の成人の社会生活で求められるスキル」と定義され、冒頭で触れた「読解力」「数的思考力」「状況の変化に応じた問題解決能力」の3分野のスキルで平均得点や順位が算出されている。

日本の結果

それでは早速、日本のデータを紹介していこう。

「読解力」は ?

読解力の定義は、以下のとおりだ。

自分の目標を達成し、知識と可能性を伸ばし、社会に参加するために、書かれたテキストにアクセスし、理解し、評価し、熟考すること
出典:国際成人力調査 (PIAAC)

OECDの平均得点は260点で、日本は289点となっており、順位は参加国中2位だった。なお、6段階に分類された習熟度のうち、最も低いクラスに属する割合は、日本が最も少ない。

「数的思考力」は ?

「数的思考力」は、以下のように定義されている。

成人期における様々な状況での数学的な要求に取り組み、対処するために、複数の方法で表現された数学的な内容、情報、アイデアにアクセスし、利用し、批判的に推論すること
出典:国際成人力調査 (PIAAC)

OECDの平均得点は263点で、日本は291点となっており、こちらも2位だった。読解力と同様に、習熟度が最も低いクラスの割合は全参加国で最も少なくなっている。

「状況の変化に応じた問題解決能力」は ?

「状況の変化に応じた問題解決能力」の定義は、以下のとおりである。

解決方法が即座に利用できない動的な状況において、自分の目標を達成する能力
出典:国際成人力調査 (PIAAC)

OECDの平均得点251点で、日本は276点だった。順位は、フィンランドと並び1位相当となっている。やはり、習熟度が最も低いクラスは日本が最も割合が少なかった。

第1回調査と結果を比較すると ?

第1回調査と比較すると、日本は「読解力」と「数的思考力」の両分野で前回1位から2位へと順位を落とした。ただし、平均得点が大幅に変化したというわけではなく、文部科学省は「統計的に有意な変化はない」としている。「状況の変化に応じた問題解決能力」については、前回から調査内容が変わったため、比較はできない。

資産運用にも必要な「3つの力」

国際成人力は、社会生活で求められるスキルを測定したものだが、資産運用においても、この3つの力は大いに役立つことを知っておきたい。

読解力

読解力は、上場企業の決算短信や適時開示資料、プレスリリースなどの内容を正確に理解するうえで欠かせない。どの企業の株式を保有するかを判断する際にも求められるスキルであり、投資信託を選ぶ際には目論見書の内容を的確に把握する力として重要になる。

また高い読解力は、日々のニュースから世界・国レベルのマクロ経済の状況や各社の取り組みなどを分析・理解する際にも助けとなる。

数的思考力

数的思考力は、収支のシミュレーションを基に生活資金と余剰資金を区別し、リターンとリスクのバランスをとりながらポートフォリオを組む際に欠かせない。また、リターンがリターンを生む「複利効果」を理解し、その効果をイメージするうえでも役立つ重要なスキルである。

短期間の資産価値の上下にこだわりすぎると、売買手数料などがかさんで逆に資産運用がうまくいかなくなるケースもあるが、長期的な視点を持ったうえで数的思考力を活かせば、堅実な資産運用につながりやすい。

状況の変化に応じた問題解決能力

インデックス型の投資信託や外貨の定期積立などをしている場合、国内外の経済情勢や為替の動きに対して、素早い対応はそれほど求められない。しかし、特定の投資テーマを軸とした株式投資などでは、市場におけるそのテーマへの期待感やムード、不確実性の変化に対応する必要があるため、「状況の変化に応じた問題解決能力」が重要となる。

こうした市場の変化への対応に不安を感じるなら、外貨預金などのインカムゲインを狙う資産運用がおすすめだ。保有するだけで安定した利息収入が期待でき、為替レートの変動による資産価値の変動も、その安定的なリターンでカバーしやすい。

資産運用をしながら学び続ける姿勢を持とう

これらの力を磨き続けることは、資産運用を成功に導くために欠かせない。決算資料の分析やポートフォリオの見直し、日々のニュースを読み解くなかでスキルは確実に向上し、より高度な力が身についていく。資産運用を実践しながら学び続ける姿勢こそが、安定した資産形成を支える大きな鍵となるだろう。

(提供:大和ネクスト銀行


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