近年、香港のハンセン指数の顔ぶれが徐々に変わっている。金融や不動産などの“大御所”銘柄に代わり、ネット・ハイテク系など新興企業の存在感が増した。我々の投資ポートフォリオの調整も視野に入れたい。

中国株,投資,証券,ネット
(画像=rzoze19/Shutterstock.com)

投資資金のシフト進むか

 指数を算出するハンセンインデックシズ社は8月14日、香港ハンセン指数の構成銘柄見直しで、アリババ集団(09988)小米集団(シャオミ、01810)薬明生物技術(02269)の3銘柄の新規採用を発表した。一方、前評判が高かった美団点評(メイトゥアン、03690)は見送りとなった。構成銘柄数は50で変わらず。9月7日に発効する。

ハンセン指数
(画像=東洋証券株式会社)

ハンセン指数は1964年7月31日を基準とする、アジアの重要な株価指数の一つ。1969年11月から公開されている。時期により変動はあるが、香港市場の時価総額の概ね7~8割を占めるとされる。

かつては構成銘柄の大半が香港系の金融及び不動産株だった。HSBC(00005)新鴻基地産(サンフンカイ、00016)の値動き如何で指数が上下する場面も多かった。しかし、2000年代に入ると中国資本系企業が台頭し、H株やレッドチップ株の組み入れが進む。今では香港地盤の企業は数えるほどだ。

今回の入れ替えの特徴は2点。加重議決権(WVR)構造を持つ企業及びセカンダリー上場企業の採用と、産業別のウエート構造の変化だ。

前者は、アリババ小米が採用されたことで説明できる。香港証券市場は2018年に上場ルールを改訂し、WVR構造を持つ企業、すなわち普通株より議決権の多い「種類株」を発行する企業の上場を認めた。その第1号が同年7月に上場した小米で、美団アリババがそれに続いた。そして今年5月、WVR構造を持つ企業をハンセン指数の採用対象とすることが決定し、今回の正式採用と相成ったわけだ。

その結果、産業別ウエート構造が変化した。ハンセン指数に占める「金融」のウエートが現在の49.03%から45.47%まで低下し、逆にテック系を含む「商工業」が36.61%から41.64%に上昇する。インデックス・ファンドなどの投資資金において、金融からテック系へのシフトが進むかもしれない。

個別銘柄の指数ウエートを見てみよう。現在、1銘柄当たりの占有率は最大10%(WVR構造とセカンダリー上場企業は同5%)に制限されているが、テンセント(00700)がこの上限ギリギリの10%だ。AIAグループ(01299)が9.96%、HSBCが8.14%、中国建設銀行(00939)が6.97%、中国平安保険(02318)が5.46%で続く。新規参入組のアリババは5.00%で全体の第6位。小米は2.59%だ。

直近10年における主な銘柄の構成ウエートの推移を見ると、HSBCの存在感が低下し、テンセントAIA中国平安保険は右肩上がりだ。一方、中国移動(チャイナテレコム、00941)中国石油天然気(ペトロチャイナ、00857)などの大型国有企業は低下傾向。指数の主役交代を機に投資ポートフォリオを見直し、中国株の新たなステージに臨みたい。

奥山要一郎(おくやま・よういちろう)
東洋証券 上海駐在員事務所 所長
2007年入社。本社シニアストラテジスト等を経て、2015年より現職。
中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。

外国証券等について
・外国証券等は、日本国内の取引所に上場されている銘柄や日本国内で募集または売出しがあった銘柄等の場合を除き、日本国の金融商品取引法に基づく企業内容等の開示が行われておりません。

手数料等およびリスクについて
外国株式等の手数料等およびリスクについて
・委託取引については、売買金額(現地における約定代金に現地委託手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対して 最大0.8800%(税込み)の国内取次ぎ手数料をいただきます。外国の金融商品市場等における現地手数料や税金等は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
・国内店頭取引については、お客さまに提示する売り・買い店頭取引価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基準に合理的かつ適正な方法で基準価格を算出し、基準価格と売り・買い店頭取引価格との差がそれぞれ原則として2.75%となるように設定したものです。
・外国株式等は、株価の変動および為替相場の変動等により、元本の損失が生じるおそれがあります。

この資料は、東洋証券株式会社が信頼できると思われる各種のデータに基づき投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成したもので、投資勧誘を目的としたものではありません。また、この資料に記載された情報の正確性および完全性を保証するものでもありません。また、将来の運用成果等を保証するものでもありません。

この資料に記載された意見や予測は、資料作成時点のものであり、予告なしに変更することがありますのでご注意ください。この資料に基づき投資を行った結果、お客さまに何らかの損害が発生した場合でも、東洋証券株式会社は、理由の如何を問わず、一切責任を負いません。株価の変動や、発行会社の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがありますので、投資に関する最終決定は、お客さまご自身の判断でなされるようお願い致します。この資料の著作権は東洋証券株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願い致します。

・商号等:東洋証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第121号
・加入協会:日本証券業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
・本社所在地:〒104-8678 東京都中央区八丁堀4-7-1
・TEL:03(5117)1040
・HP:http://www.toyo-sec.co.jp/