自分にあった保険を見つけるのは本当に難しい!

なぜ、選ぶのが難しいかというと、数千種類にも及ぶ保険商品、さらに多種多様な特約で選択肢は無限大に、しかも保険の仕組みが複雑、難しい用語が多い、ライバル会社と単純に比較されないような商品設計で比べるのが指南のワザ。結局、途中であきらめて「もう面倒でわからない!」と加入するのをやめたり、人が勧められるままに入るというのが、多いのではないでしょうか。

私は、年度版シリーズ「よい保険・悪い保険」(宝島社)という保険のランキング本の監修を6年間続けてきて、本当によい保険というのは、実はほんの少しかないのでは、ということに気がつきました。そこで、よい保険とは何かという、条件を考えて、それを満たしている保険を探してみました。

よい保険を見つける5つのポイント

その「よい保険の条件」というのは、次の5つです。

(1)一定期間の保険
(2)シンプルな保険
(3)貯蓄性のない保険
(4)コスパがいい保険
(5)使い勝手のいい保険

上記5項目について、詳しく解説していきましょう。

よい保険の条件(1) 一定期間の保険

ライフプランによって、必要な保障は変わってきます。ですから、まったく見直しをせずに、一生涯にわたって同じ保険に入り続けるのはお勧めしません。

扶養家族がいないのに死亡保険をかける、子供が独立したり年金暮らしになっても大きな保障のままでいる、90歳で終身払いの医療保険に入っている……これらは、じつに無駄だと感じます。

ことに人生のなかで大きなイベントがあったときに見直すのがいいのですが、つい忘れてしまいがちですよね。

そこで、一定期間を保障する保険、つまり「定期型の保険」にするのがお勧めです。満期が近くなると更新のお知らせが届きますから、更新をするか否か、保障額は変える必要があるか、などと考えるきっかけになると思います。

基本的に死亡保険、医療保険、がん保険などは、一生涯の保障は必要ないと考えてください。ただし、相続税対策の場合は、終身保険は必要ですが。

『保険はこの5つから選びなさい』河出書房新社 (2016/2/26)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
『保険はこの5つから選びなさい』河出書房新社(2016/2/26)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

よい保険の条件(2) シンプルな保険

大手保険会社では、主契約に特約をいくつもつけたパッケージ型の保険をよく販売しています。特約が増えれば、それだけ保険料も高くなります。必要な保障ならしかたありませんが、よぶんな特約にまで保険料を払うのはもったいない話です。

パッケージ型の保険は、主契約が終了したり解約すると、特約もそこで保障が終わってしまいます。それに、特約の数が多すぎると、自分の保険にどんな保障がついていたかも忘れてしまいがちです。

入院や死亡した場合、保険会社から自動的に給付金・保険金が支払われることはありません。すべて請求が必要なのです。複雑な保険にしていると、こういったミスも起こりやすいといえるでしょう。また、保険会社は、すべてのジャンルが得意なわけではありません。がん保険だけ強い会社があれば、医療保険でいい商品を出している会社もあります。

それぞれ主力商品が違うので、各社からいいとこどりでチョイスしましょう。

よい保険の条件(3) 貯蓄性のない保険

掛け捨て型の保険には、どうも「損をする」というイメージが強いようです。しかし、これは誤解で、もどってくる保険(貯蓄性のある保険)のほうが損をしているのです。

保険と貯蓄は分けて考えるべきです。両方の機能を保険に求めると、どちらも効率が悪くなります。しかも、いまはマイナス金利の時代で、魅力のある利回りとはいい難いですね。また、保険は超長期の固定金利です。貯蓄性を求めても、インフレでお金の価値が減ってしまうというリスクもあります。

よい保険の条件(4) コスパがいい保険

コストパフォーマンスがいい保険というのは、どういうものを指すのでしょうか。同じ保障だったら、保険料は安いほうがコストパフォーマンスがいいことになりますね。近年の傾向としては、終身保険、定期保険などに「リスク細分型」を採用する商品が増えてきました。

喫煙・非喫煙、血圧値、BMI値などの条件をクリアする必要がありますが、非喫煙健康優良体の人はずいぶんお得になるはずです。非喫煙健康優良体と標準体では保険料に50%以上もの差が出る場合があります。

よい保険の条件(5) 使い勝手のいい保険

「使い勝手のいい保険」とは、裏ワザがつかえる保険と言い換えても良いかもしれません。もしもの場合、保険料が免除になったり、契約の途中でも種類を変更することができる保険を指します。

保険金や給付金、保障をより多く得られるように変更する、つまり出口を重視するということです。たとえば、収入保障保険に入っていて、がんで余命1年と宣告されたとします。収入保障保険は、年数とともに保障額が減っていきます。家族にすこしでも多くのものを残したいと願っても、余命宣告をされた状態では新しく保険に加入することはできません。

でも、健康状態にかかわらず、収入保障保険を定期保険、または終身保険に変更できる保険商品もあるのです。こうすれば保障額の目減りを防ぐことが可能になります。

また、三大疾病になった場合、以後の保険料は免除になるという特約がつけられる保険もあります。いざというときに柔軟に対応できる保険を選びましょう。

もう保険選びに悩まなくてもいい

数多くある保険商品の中から、上記の条件に当てはまる商品を探してみました。すると本当に勧められる保険というのは、わずか5つしか残りませんでした。その保険の内容とか、選んだ理由などは『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)に詳しく書きました。ぜひ、ご参考にしていただければと思います。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。