今回の「日本株投資戦略」では、好配当利回りが期待できる銘柄を特集したいと思います。2/26付の特集では、時価総額が大きい「メジャー銘柄」の中から好配当利回り銘柄を抽出してご紹介しましたが、今回は時価総額の下限を100億円まで引き下げ、中小型株(ただし3月決算銘柄に限定)も入るようにしました。時価総額が小さい分、知名度は低下しますが、このレポートの中で業績等の分析を加味することで、多くの投資家の方にも投資対象として検討できるようにしています。
日経平均株価は2/12(金)に14,952円まで下げ、その後3/4(金)に17,014円と回復しましたが、その後は一進一退となっています。昨年来高値に比べると日経平均株価はまだ2割ほど安く、好配当が期待される銘柄とはいえ、株価の低迷が続いている銘柄も少なくないようです。月末に権利付最終日を迎える銘柄については、投資チャンスと言えるのではないでしょうか。
「好配当」「好業績」が期待できる銘柄を抽出
それではさっそく、「好配当」「好業績」が期待できる銘柄を抽出したいと思います。当社スクリーニングツールを用いて銘柄を抽出した後に、会社公表データを確認する形で作成しています。
★銘柄抽出条件
(1)時価総額100億円以上の上場銘柄(証券・REITは除く)
(2)3月決算銘柄
(3)最低投資金額が20万円未満
以上の全条件を満たす銘柄の中から、業績等を分析して予想配当の下方修正がなさそうな銘柄に絞り、予想配当利回りが高い順に5銘柄を抽出したものが表1となります。なお、予想配当利回り(年換算)は、上期末(第2四半期末)配当実績と期末予想配当を両方とも受け取った場合、その合計金額を株価で割ったものになります。
「時価総額1千億円以上」の銘柄に絞った前回(2/26)に比べ、株式投資に馴染みの薄い投資家の方にとっては、社名を知っている銘柄は少ないとみられますので、最後に掲載銘柄の簡単な分析をご紹介しておきました。
なお、図2には2/26でご紹介した「メジャー銘柄」(REITを除く)をアップデートして掲載しています。表1の銘柄について知名度の低さを気にされる投資家の方は改めて「メジャー銘柄」がご参考になると考えました。なお、掲載以降株価が動いていますので、情報面でもアップデートを試みています。
「好配当銘柄ランキング」を参考にする場合の注意点
このレポートに限らず、3月期末を控えた現在、多くの場面で「好配当」の魅力を取り上げる記事やレポートをご覧になると思われます。しかし「好配当銘柄」を投資の対象とする時は、いくつか注意が必要です。
(1)配当利回りは、中間期末、期末等すべての年間配当(税込み)を受け取ったと仮定した場合の「利回り」であること。
(2)配当利回りは、投資した時点での「株価」が計算に含まれており、「株価」が変動すれば配当利回りも変動すること
(3)配当利回りで計算のベースになる「予想配当」は、業績や会社の政策が変われば変動すること。
(1)について、表1のデクセリアルズ <4980> を例にしてご説明します。ここで「予想配当利回り」の5.34%は、中間期末の一株当配当27.5円を受け取った投資家がさらに、期末の一株当配当を予想通り32.5円受け取った場合、年間合計の一株当配当60円が1,123円(3/10終値)の5.34%に相当することを意味しています。したがって、現在同社株を保有していない投資家が期末配当だけを受け取ってもその利回りは確保できないことになります。
逆にシャルレ <9885> の場合、年間配当は期末だけですので、現在同社株を保有していなくとも、権利付最終日までに買えば506円の株価に対して4.94%に相当する一株当配当を享受できる計算です。このように、配当利回りを投資の参考にする場合は、期中配当の有無を確認することが必要です。
(2)にあるように、配当利回りは株価が変動するごとに変化することになります。また、(3)にあるように、予想配当利回りは他の損益項目同様、誰の「予想」であるか確認しておく必要があります。一般的には、個々の会社が配当政策を独自に決めており、それが変更される際には公表されることになります。
配当政策は業績の良し悪しに大きな影響を受けますので、業績悪化による「減配」というケースには注意が必要です。すなわち、配当利回りを投資の参考にする場合、企業業績を無視しての銘柄選択はあり得ないと言えるでしょう。