1-3月期は減産が確実だが、実態は横ばい圏の推移
製造工業生産予測指数は、16年3月が前月比3.9%、4月が同5.3%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(2月)、予測修正率(3月)はそれぞれ▲1.8%、▲1.1%のマイナスとなった。
予測指数を業種別に見ると、輸送機械は3月が前月比11.5%と2月の落ち込み分(前月比▲10.2%)を取り戻した後、4月も同9.4%と2ヵ月連続の大幅増産計画となっている。
輸送機械は計画と実績の乖離が比較的小さい業種なので、3月、4月の生産計画は前向きに捉えることができる。国内の自動車販売台数の減少ペースが年明け以降加速していることは懸念材料だが、2月の減産は部品調達がストップしたことによるもので在庫水準自体は大きく低下しているため、本格的な在庫調整は避けられるだろう。
一方、情報通信機械は3月に前月比17.5%の大幅増加となっているが、同業種は15年11月以降、翌月の計画が前月比で二桁増、実現率が二桁のマイナスというパターンを繰り返しているため、3月の大幅増産計画はあてにならない。情報通信機械の下振れ分だけでも生産全体の予測指数は▲0.5%程度割り引いてみる必要がある。
16年2月の生産指数を3月の予測指数で先延ばしすると、16年1-3月期は前期比▲0.7%となり、2四半期ぶりの減産となることが確実となった。15年10-12月期の増加分(前期比0.5%)以上の落ち込みが見込まれるが、事故による工場操業停止という一時的な要因も含まれているため、実態としては横ばい圏の推移が続いていると判断される。
斎藤太郎(さいとう たろう)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
経済調査室長
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