シティバンクがFinTechの急成長が長期的に継続するという見解に基づき、「今後10年にわたり、欧米の銀行員の3割がスタートアップに職を奪われる」と予測するレポートを発表した。
多数の銀行がブロックチェーンや人工知能などの最新テクノロジーを採用し始めた近年、人間の生活がより便利で快適なものへと進化する反面、欧米では銀行支店の閉鎖や人員削減が相次ぎ、「機械が人間から仕事を奪う」という懸念がますます高まっている。
昨年はバンク・オブ・アメリカが同様の分析を行い、「金融関連産業は20年以内にロボット化され、2500万人が失業する」との警鐘を鳴らしていた。
中国eコマースの非銀行系決済は96% 欧米も続く
3月26日に発表されたこのレポートは、シティバンクの国際展望、ソリューション部門である「シティ・グローバル・パースペクティブ・アンド・ソリューション(GPS)」が作成したもの。
レポートによると、FinTechで最も人気が集中しているのは、かつては銀行が独占していた決済と融資分野だ。FinTechへの昨年の投資額は190億ドル(約2兆1223億円)。過去5年間で10倍以上にも膨れあがっており、そのうち46%は融資関連に、23%は決済関連のスタートアップに流れている。
アジア諸国、中でも中国におけるデジタル・ファイナンスの快進撃は類を見ない勢いで、P2Pによる融資額は669億ドル(約7兆4727億円)、非銀行系決済によるオンライン・セールスは96%に達していると報告されている。
一方現在も銀行による金融業務が主流の米国では、スタートアップの収益は全体(8500億ドル/約94兆9450億円)のわずか1.1%。しかし2023年には収益の増加とともに17%まで伸びると予想されている。
シティは今後、欧米も中国と同じ流れをくみ取ると見ており、FinTech市場が世界的にますます巨大化すると太鼓判を押している。
こうした目まぐるしい変化の中、生存競争の手段として最新のテクノロジーを採用するプレッシャーにさらされているのは銀行だ。テクノロジーに多額の投資を行う一方で、人員削減に走らざるを得ない状況に陥っている。
特に北欧やオランダでは既にピーク時の半分まで銀行支店が減っており、ノルウェー最大の商業銀行DNBは過去最低の支店数で事業を展開しているにも関わらず、今年はさらなる人員整理を予定しているという。またスペイン最大のサンタンデール銀行も、3467店舗の支店のうち425から450店舗を閉鎖すると発表したばかりだ。
シティは「欧米でFinTechがピークに達するが最後、銀行の天下が終結する」とし、「その日はそう遠くはないだろう」とレポートの最後を結んでいる。( FinTech online編集部 )
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