企業の内々定が出始める6月、就職活動中の学生たちは、一喜一憂しながらも先行きのキャリアを見据え、職場環境や働きがいを見極めて企業を選択していく。また、新卒以外の転職市場においても、政府の働き改革の流れを受けて、待遇だけにこだわらず、働きやすい環境を重視する傾向も出始めている。こうした求職者のニーズを受けて、働きがいのある企業に注目が集まる。就職・転職のための社員口コミサイト「Vorkers」が調査した、長く快適に働ける企業ランキングトップ20を紹介する。
風通しのよい企業風土でランク入り
このランキングは、社員として1年以上在籍した会社の評価レポートをベースに、働きがい指標の中で広く利用される待遇の満足度、人材の長期育成、風通しの良さの3つの項目を点数化し、順位をつけた。さらに、評価レポートの回答者が10人以上、月間平均残業時間が40時間以下の上場企業671社を対象とし、2007年7月から17年4月までに集計した3万3720件のレポートをデータとして活用した。20位から11位までのランキングは以下の通り。
20位 第一三共 <4568>
18位 三菱地所 <8802>
18位 塩野義製薬 <4507>
17位 太平洋セメント <5233>
16位 千代田化工建設 <6366>
15位 日本電気硝子 <5214>
14位 システムインタグレータ<3826>
13位 東京海上日動火災保険
12位 デンソー <6902>
11位 東邦ガス<9533>
20位から11位には、製薬、製造メーカー、不動産などバラエティに富んだ業種がランク入り。東邦ガスは、待遇の満足度がランキングを押し上げ、残業時間もこの10社の中では最も少ない22.5時間だった。各社とも3つの項目で平均してスコアを挙げている傾向があるが、14位のシステムインタグレータと15位の日本電気硝子の2社は風通しのよい企業風土が目立つ。特にシステムインタグレータの風通しのよさは、トップ20の企業の中で最も高いスコアをたたき出した。
1位に選ばれたのはあの海運会社
トップ20に続いて、トップ10に名前を連ねた企業を紹介する。ランキングを上位まで押し上げた強さの秘密はどこにあるのか。
(スコア①待遇の満足度、②人材の長期育成、③風通しの良さ、④トータルスコア、⑤平均残業時間/月)
10位 東京ガス <9531>
①3.88 ②3.45 ③3.25 ④10.58 ⑤37.6時間
安定したインフラの大企業で、法令遵守の意識が非常に高く、社員を長期的に教育する制度が整備されているという。
8位 大阪ガス <9532>
①3.80 ②3.32 ③3.49 ④10.61 ⑤27.3時間
東京ガスに続いてランク入り。女性にとっても働きやすい環境が整い、育児休暇や産後休暇などを取得する割合も高い。
8位 日本たばこ産業 <2914>
①3.93 ②3.11 ③3.57 ④10.61 ⑤20.7時間
トップ20にランク入りした企業の中では、残業時間が最も少ない。一方、人材の長期育成のスコアは伸び悩み、グローバルで活躍したいが、その機会がほとんどないといった声も聞かれる。
7位 トヨタ自動車 <7203>
①3.81 ②3.60 ③3.26 ④10.67 ⑤29.4時間
日本を代表する自動車メーカーが堂々のランク入り。トヨタの象徴ともいえる改善文化が徹底され、グローバル企業としての側面と、ローカル文化の組み合わせのバランスが取れているとの自負が伺える。
6位 トラスコ中山 <9830>
①3.58 ②3.26 ③3.84 ④10.68 ⑤23.7時間
論理的な意見には上司も耳を傾けるなど、風通しの良さが内部からも聞こえてくる。アルバイトの意見が社長まで届き、制度改革につながったとのエピソードも紹介されている。
5位 帝人 <3401>
①3.65 ②3.35 ③3.71 ④10.71 ⑤37.6時間
フレックスや時短勤務、在宅勤務などさまざまな制度を整備して働きやすい環境づくりに率先して取り組んでいる。さらに、語学学習や資格取得の補助制度もあり、社員のスキルアップをサポート。
4位 アステラス製薬 <4503>
①4.03 ②3.27 ③3.51 ④10.81 ⑤33.2時間
トップ10の中では待遇の満足度で最も高いスコアを上げ、トップ3に次ぐ位置に付けた。製薬業界内でも大手のため、顧客へのアプローチ、新薬も多いので薬剤の宣伝に苦労することはないという。
3位 三井不動産 <8801>
①3.77 ②3.63 ③3.44 ④10.84 ⑤34.5時間
上司・先輩は絶対的な存在で、飲み会至上主義の文化も存在すると指摘される一方、クラブ活動や社員旅行もあり、風通しの良さでも安定したスコアを上げ、トップ3に食い込んだ。
2位 旭化成 <3407>
①3.88 ②3.31 ③3.87 ④11.06 ⑤27.1時間
女性の管理職が国内企業としては多い印象を受けるといった声が社員から寄せられ、仕事とプライベートのワークライフバランスを重視する風土がある。待遇面でも様々な手当てでサポートしており、従業員の満足度も高い。
1位 日本郵船 <9101>
①3.90 ②4.00 ③3.79 ④11.69 ⑤38.7時間
トップに輝いた日本郵船は、3項目ともバランスよく高いスコアを上げ、特に人材の長期育成は、トップ20にランク入りした他社を大きく引き離し、唯一4点台のスコアに乗せた。海運会社としての専門的知識が身に付き、30代ではよりニッチな専門的な業務に携わる機会も増え、長い目での人材育成が浸透している。一方、業務が専門的過ぎるため、他の業界では通用せず、転職は厳しいという意見もある。(ZUU online 編集部)