お金のデザイン
(写真=FinTech online編集部)

どんなエンジニアを求めて、どう探しているのか

お金のデザインはどんなエンジニアを求めているのだろうか。これに対しては、「自分の頭で想像したもの、考えたものを作れる人」との回答だ。具体的にはと問うと、「言われたものを作るだけでなく『こういうプロダクト、こんなことがあったら面白いな、世の中便利になるな』というものを作ることができる人です。ソフトウェアエンジニアリングのいいところは、思ったこと・考えたものを自分の手で直接生み出せることですし、技術者が未来をつくっていきますから」という。その上で、「とはいえ今すぐ実際にビジネスに必要な製品や改善を行う人も会社には絶対必要です」と付け加えた。

具体的にどうやってエンジニアを探しているのか尋ねると、「まず欲しい人材のプロファイリングをしっかりやります。自分たちが欲しい人達がどこに集うのか?今一番多いのは社員紹介による入社ですね。Googleの時にしていた、大学やプログラミングコンテストとか、優秀な人が集まるコミュニティーに行って、彼らにとって面白いことをわれわれが本気でやっていることを伝えるということもこれからどんどんやりたいと思っています。エンジニア以外の職種についても、その分野で優秀な人達が集まるところに行くというのは基本的に同じ。これもGoogleで学んだのですが、『いい人はいい人を呼ぶ』んです。そして、決定的に大切なのはエンジニアならエンジニアとして、クオンツならクオンツとしての仕事が最大限評価され、創造的な仕事ができる職場環境と企業文化を育むことです。」という。

同社が大切にしている6つの考えはサイトに明確に示されている。
まず「Users First」(人の役にたつものをつくる。 常にユーザーの立場に立ち、ユーザーの課題から考える)、「No Boundaries」(上下や内外に境界線を引かない。 開かれた関係性を大切にする)、「Edges」(個々人の違いを尊重して受け入れ チームの強みに変える)。そして「First Penguins」(正しいことをするために 前例が無いことを恐れない)、「Moonshots」(妥協しない。中途半端なことはしない。 未来から逆算して、大きな課題に挑戦する)、最後に「Uncompromising Integrity」(誠実でありつづける。 日々の課題に真摯に向き合う)― の6つだ。

新サービス「テオ」の制作過程を引き合いに、この考えを大切にしていることを強調する。「過去の資産運用実績などをグラフ表示するシミュレーションがあるのですが、特に2009年にはリーマン・ショックがあり、パフォーマンスが落ちているんですね。そういう期間を避けて表示させたいという衝動は理解できます。しかしそのような考えはお客様の役には全く立ちません。当社は『Users First』ですから、当然ながら表示します。これは『Uncompromising Integrity』、つまりお客さまに対して誠実であることにもつながります」

同社が求めている人材は、一口にエンジニアといっても、インフラエンジニアやネイティブアプリエンジニアなど複数あるという。このほかにも、ビジネス面では、デジタルマーケティング、トレーダー、クオンツなども求めている。コーポレートサイドで証券業務担当者なども欲しいという。そしてどのポジションに対しても求められるのは、「Users first」をはじめとする、「私たちが大切に思うこと」の実践だ。

採用過程については、「Unconscious Biases(アンコンシャス バイアス)」には留意しているとのことだ。これについて茅根氏は「人間だれでも『偏見は持っていない』と思っていても、どこかで持っているというもの」とした上で、いわゆるマイノリティの人たちが不利にならないように考えて面接など採用過程を進めているそうだ。「たとえば分かりやすくいえば、視覚障害を持っている方で、すごいプログラミング能力があるのに、視覚障害者用のソフトを使わないでテストを受けてもらうようなことだと、折角の能力がわからないと思うんです。こちらが能力を発揮できる環境を用意しないで、能力がないというのはUnconscious Biasだと思います。もちろん採用基準として求められるプログラミング能力は変えない。むしろ障害者をそこで特別扱いして採用基準を下げるのは逆差別だと思っています」と解説する。そして「その人にしかない強みを発揮してもらいたいんです。たとえば将来THEOに音声認識の機能を付けたいとおもたら、視覚障害の持った人の気づきが大切かもしれないですよね。マイノリティである人は、その他大勢の人間にはないものを持っているという期待がある」と話す。