北陸、北海道の両新幹線が明暗を分けている。
北陸新幹線が開業前の予測を大きく上回り、1年余りで利用者1000万人の大台を突破したのに対し、北海道新幹線は開業後半月間の平均乗車率が27%にとどまるなど出だしで苦戦している。
新幹線の移動時間が4時間を超すと、乗客は空路に流れるといわれる。いわゆる「4時間の壁」だ。東京駅から石川県の金沢駅までは北陸新幹線で2時間半だが、北海道北斗市の新函館北斗駅までは4時間余り。「4時間の壁」が2つの新幹線の明暗をはっきりと分ける格好となった。
北陸新幹線はわずか1年余りで1000万人が利用
JR西日本 <9021> によると、2015年3月に長野県の長野駅と金沢駅の間が延伸開業した北陸新幹線は、4月13日で利用者が1000万人を突破した。関東と北陸間の乗客が多いとみられる新潟県の上越妙高駅−糸魚川駅間で集計したもので、1日当たりの利用客数は約2万5000人に上る。
開業前にJR西日本は在来線特急時代の2.2倍の利用者を想定していた。しかし、北陸ブームの発生で利用者が想定を上回り、在来線特急時代の約3倍に達している。
富山県の富山駅で13日開かれた記念式典で、JR西日本の野中雅志金沢支社長は「予想よりずいぶん早く、1000万人を達成できた。北陸ブランドの定着に向け、今後も頑張りたい」と述べた。
予想を上回る利用者は北陸の観光にも好影響を与えている。石川県の集計では、金沢市の兼六園は2015年度1年間で309万人が来園し、前年度の1.5倍に増えた。金沢城公園の入園者は238万人を記録し、前年を75%も上回った。
石川県は金沢城公園のさらなる魅力アップを図るため、黒門の門扉を引き戸式の重厚な木造扉に造り替える計画。石川県観光企画課は「開業効果は2年目も続いている。訪問してくれた人がリピーターとなってくれるようさらに魅力アップに努めたい」と力を入れる。
北陸新幹線の延伸で並行在来線となった長野駅−金沢駅間は、第3セクター4社に引き継がれた。このうち、石川県のIR石川鉄道は2015年4〜9月に約2万6000人が利用し、2012年より4000人増えた。観光客の利用が乗客増につながったとみられている。