防犯
(写真=PIXTA)

不動産価格を決めるのは、立地や間取りだけではありません。条件として防犯性の高さを求める入居者も多く、防犯対策で不動産価値を上げることは可能です。そこで、押さえておきたい防犯管理&対策をご紹介します。

家に多い犯罪、第1位は「空き巣」

防犯のためには、まず犯罪の手口を知ることが必須です。警視庁によると、住宅で起こる犯罪の断トツトップは「空き巣」です。夜間に住人が寝ている間に侵入する「忍び込み」や、住人の在宅中に侵入する「居空き」なども多く発生しています。
被害の多い空き巣では、一体どのように侵入が行われているのでしょうか? 空き巣の主な手口は以下の通りです。(警視庁「生活安全総務課」より)

●ガラス破り
窓を割ったり、熱して破ったりすることでカギを開け侵入します。1階の窓だけでなく、2階のベランダや、明かり取り用のガラスをはめ込んだ玄関ドアなども狙われるようです。

●無施錠
ゴミ出しや、回覧板を置きに行くなどちょっとした用事で、住人が鍵をかけずに出かけた隙に犯行に及びます。2階の窓やベランダも狙われるようです。

●サムターン回し
ドアにドリルなどで穴を開け、金属の棒を使ってドアの内側からつまみ(サムターン)を回転させて開錠してしまう手口です。郵便受けの隙間から棒を差し込むこともあるようです。

無施錠は設備の問題ではありませんが、ガラス破りやサムターン回しはオーナーが対策できそうです。地域の犯罪発生状況や防犯情報を入手しておくことも重要です。
例えば警視庁のサイトでは、地域ごとの犯罪発生件数を見ることができます。また、警視庁のメール配信サービス「メールけいしちょう」では、各地域で発生した「犯罪発生情報」や「防犯情報」などをメールで受け取ることができます。犯罪の手口は日々進化するので、常に最新情報を手に入れておきましょう。

管理で空き巣対策をしよう──掃除にひと手間かけて空き巣を防ぐ

空き巣には狙われやすい家と、そうでない家があります。玄関が乱雑な家や管理が行き届いていないような家は、狙われやすいとされています。所有物件の管理の一環として「掃除」がありますが、ここでは空き巣対策を踏まえた「掃除」について考えてみます。

まずは、窓格子やインターホン、郵便受けなどは特に念入りに掃除しましょう。物件が空室の場合、1室所有なら窓や格子や玄関回りを、1棟所有ならそれに加えて、建物の階段や塀などを掃除していると思います。こまめに清掃しているという方も、改めて確認してみましょう。窓格子は有力な侵入経路ですし、インターホンや郵便受けが汚れていると、防犯意識が低い印象を与えてしまうかもしれません。

加えて、カメラ付きインターホンのレンズをレンズ専用クリーナーで掃除したり、インターホンのプラスチック部分をコーティングするという対策もしておくと、さらに良いでしょう。住宅のあちこちに使われているプラスチックやゴムや樹脂は、劣化を防ぐコーティング剤でメンテナンスしておくと光沢が出て使用感がなくなります。コーティング剤の多くは、劣化を進める紫外線からも素材を守ってくれます。

これらは、直接的な防犯にはみえないかもしれませんが、物件をきれいに保つことで、侵入を狙う犯罪者に「この家は管理されている=侵入が難しい」と思わせることができます。また、美観を保つのは物件にとっても悪いことではありません。入居者に美しい状態で引き渡すことで、入居者にもきれいに住むことを意識してもらえるのではないでしょうか。

空き巣に強い家にしよう──リフォームによる空き巣対策

多少費用が掛かりますが、家そのものの防犯力を高める方法もあります。遠方の物件で普段のメンテナンスに限界がある場合や、空き巣被害が多い地区では積極的に取りたい手法です。

●通路やエントランス
人の動きをセンサーで検知して光る防犯灯を設置します。防犯灯の中には、一定以上検知し続けると点滅するものや、アラーム音を発するものもあります。防犯カメラも有効ですが、入居者が嫌がる場合もあるのでプライバシーに配慮して設置しましょう。

●玄関・ドア
カメラ付きインターホンも進化しています。カラーカメラ、高画質カメラなど視覚面の性能アップのほか、通報機能付き、録画機能付きなど防犯対策が施されたものも登場しています。録画機能が搭載されたものは、留守中の訪問者を後から確認できます。

ドアについては、補助錠を取り付けると開錠に時間がかかるため侵入者が敬遠します。鍵を頑丈なものに取り換えることも有効です。また、穴の開けにくいドアなど、ドアそのものを防犯性の高いものに交換するという方法もあります。

●窓
窓にも多くの対策方法があります。まずは窓そのものを強化する方法として、既存の窓に防犯フィルムを貼る方法は簡単で効果的でしょう。他にも補助錠を設置したり、2枚の板ガラスの間に特殊フィルムを挟み込み強化するなどがあります。

また、窓の開閉をチェックする窓用防犯センサーや、鉄格子やシャッターを新たに設置するといった対策もあります。

●庭・外構
塀は、乗り越えてしまえば逆に目隠しになるともいわれています。塀の上にも防犯ブザーを設置したり、塀の向こう側が見えるフェンスタイプに変更したりするのが有効です。庭がある場合は、歩くと大きな音がする砂利を敷くのも効果的です。

窓やドアを交換する場合は、CP部品がおすすめです。
CP部品とは、警察庁等関係省庁と民間団体によって一定の防犯性があると認定された建物部品(ドア・ガラス・サッシ・錠・シャッター・ウィンドウフィルムなど)のことです。

これらのリフォームは費用が高くなりますが、遠方でこまめなメンテナンスができない場合に有効です。もちろん近場の物件であっても、対策をとるに越したことはないでしょう。入居者の有無や、物件によっても、取るべき対策は変わってきます。予算と状況に合わせて対策を練っていきましょう。(提供: 不動産投資ジャーナル

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