ZMPは、2001年に設立されたロボットのベンチャー企業だ。人間型ロボット、ロボカー技術を応用した自動運転車の開発とその技術提供をメインとしている。自動運転技術の分野では日本のパイオニア的存在といえるだろう。物流やヘルスケア、農業、ドローン、鉱業といった分野に事業領域を拡大しており、将来は総合ロボット企業を目指している。

自動運転技術でZMPの果たす役割

自動運転車のセンサーシステムにおいては、SLAM技術を用いバージニア工科大学の古川知成教授と共同開発を進めている。通常、自動運転車は位置測定にGPSを使うが、SLAMは自動車に搭載したカメラやレーダーなどを用いて周りの環境を推定し、どう行動すべきかを人工知能を使って判断する。山間部や都心部など、GPSが使えない場所でも自動走行ができるのが強みだ。

高性能の3次元センサーはコストが高くつくが、SLAMのシステムにより低コスト化が可能だ。ZMPが市販しているプラグインハイブリッド車ベースのプラットフォーム車「RoboCar PHV」にSLAMを搭載している。

自動運転の画像認識については、画像認識モジュール「RoboVision」を「RoboCar」に搭載し、自動車メーカーや自動車部品メーカー、大学研究機関等に提供している。カメラモジュール単体でも、移動体・移動ロボットのビジョンシステムとして、自動車業界以外にも幅広く提供している。

テスラが変えた自動運転の未来

昨年、米EV大手テスラモーターズは、量産車のモデルSに対して、自動運転機能を追加するソフトウェア・アップデートを行った。これまでの自動車はハードウェアに依存していたが、PCのようにOSの部分をアップデートすることで新機能を追加したのだ。

これは次世代の自動車を変える大きな流れになるかもしれない。現在のクルマでは、自動運転の機能「ADAS」は高級車のみに搭載されているが、自動運転のモジュールを積んだOSをアップデートすればどんなクラスの自動車にも使えるようになる可能性があるのだ。

このパラダイムシフトは、いよいよZMPの将来性を高めることになるだろう。中国や台湾のECMで作られた自動車のプラットフォームにZMPの自動運転モジュールとソフトが組み入れられた自動車が世界に向けて量産されるようになるかもしれない。顧客リストには日本の大手自動車メーカーや部品会社が名を連ねる。大手メーカーでさえ、将来の布石としてZMPと協業せざるを得ない。米MPU最大手インテルや米画像処理半導体大手のエヌビディアなど外国資本とも提携、日本マイクロソフトとも自動運転の情報処理に不可欠なクラウドで提携しており、世界からも注目されている。

ZMPは、今年中にも東証マザーズ市場にIPOする可能性が高いと言われている。医療用ロボットスーツのCYBERDYNE <7779> のIPO人気の再現を期待している人も多く、上場すれば時価総額は2000億円を超えるとの試算もでている。

ZMPに出資している企業等

ZMPの将来性から多くのベンチャーキャピタルや上場企業がZMPに出資しているほか、国内外の企業との技術的な提携も活発だ。株式市場では、ZMPのIPOに対する先回り買いで関連銘柄が何度も人気化している。

ZMPに出資している上場ベンチャーキャピタルとしては、ジャフコ  <8595> 、ドリームインキュベータ <4310> などがあげられる。また、出資している上場会社としては、米インテル、米エヌビディア、コマツ  <6301> 、JVCケンウッド <6632> 、ソニー <6758> 、マクニカ富士  <3132> 、アートスパーク <3663> 、テクノスジャパン <3666> などが挙げられる。

ZMPと協業している企業

次に自動運転にて協業している上場企業を見てみよう。ディー・エヌ・エー <2432> はZMPと合弁会社「ロボットタクシー」を設立、ロボットタクシーの実験を開始した。アイサンテクノロジー <4667> は、ZMPや名古屋大学と連携して自動運転の公道実験に参加している。JVCケンウッド <6632> は、ZMPと合弁会社「カートモ」を設立。「カートモUP Bluetooth」「カートモUP SIM」など車の通信関連の商品を開発中だ。

ハーツユナイテッドグループ <3676> は、合弁会社「ゼグ」を設立。自動車業界向けのデバッグ及びデータ収集等実験代行サービスを開始している。アートスパークホールディングス <3663> は、子会社「エイチアイ」でロボット制御用インターフェイスの共同開発に取り組んでいる。

ジグソー <3914> は、Linuxをベースにセキュリティやパフォーマンスを強化した自動運転用リアルタイムOS「IZAC-OS」の共同開発を開始。ネクスグループ <6634> は、自動車テレマティクスの事業分野において共同でマーケティングをスタートしたほか、ZMPの車両情報解析技術とネクスの通信モジュール技術で連携している。

テクノスジャパン <3666> は、ZMPの資本参加のもと、センサデータとテクノスのデータ解析技術によって、未来の社会基盤となる人工知能プラットフォームの提供に向け協業している。

THK <6481> は、物流支援ロボットのマーケティング・販売を推進しているほか、子会社のTHKインテックスでも物流支援ロボットの共同開発と生産支援に取り組んでいる。

ソニー <6758> は、車載カメラと画像センサーをZMPに提供している。自動運転分野に限らず、幅広い連携の可能性を視野に入れた協業だ。マミヤ・オーピー <7991> は、GPS機能を利用したゴルフ場芝刈り機向け障害物検知機能を共同開発している。

萩原電気 <7467> は、自動運転公道実証実験で技術協力しているほか、ミズノ <8022> は、ロボット用シューズとプロテクタの共同開発に取り組んでいる。日本電計 <9908> は、ZMP社のシステム及び各種制御センサーを販売している。

以上の通り、ZMP関連銘柄は多岐にわたる。同社が自動車産業の未来を担う企業として、いかに期待されているか理解できよう。(ZUU online 編集部)