「金融」と聞いてあなたはどのようなイメージを持つだろうか。大事なのは分かっているが、難しくて分からないといった方が多いのではないだろうか。ここでは、金融のことを勉強したいが、難しい専門書ではなく、絵とストーリーで「ラクに学びたい」といった方のために金融漫画12選と題して紹介していく。

1.『サラリーマン金太郎−マネーウォーズ編』

(作者:本宮ひろし志/出版社:集英社/発表年:2005年)
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前編『サラリーマン金太郎』で建設会社から商社へとビジネスマンの経験を積んだ主人公の矢島金太郎が、この『マネーウォーズ編』では、外資系証券会社に転職し為替のディーリングに挑戦する。

世界の資本市場を舞台にしたかなりスケールの大きい話となっており、金融界で成功を夢見ている人は是非読んでほしい。世界の金融業界のダイナミックな動きをよく調べてあるので、証券会社、投資銀行で働く人たちにとってこの漫画は隠れた愛読書だった。

ストーリーは、かつて主人公が建設会社時代に赴任していたアフリカのナビリアに、巨大ヘッジファンドのジョー・ロス(モデルはジョージ・ソロス)が通貨ギラ売りを仕掛けた。金太郎はギラ暴落に買い向かい、ジョー・ロスに勝利し、1兆円を上回る利益を得る。その資金を元に「金太郎ファンド」を立ち上げ、企業買収に乗り出す。そのターゲットはテレビ局だった…。楽天のTBS敵対的買収事件を連想させる展開となっている。

2.『マネーウォーズ』
作者:宮川総一郎/出版社:集英社/発表年:1985年

バブル初期の1985年が『マネーウォーズ』の舞台だ。日本は未曾有の株式ブームを迎え、この漫画はバブルの象徴となった。自分を主人公の相場剛にダブらせ、熱心に読む金融業界の人間も多かった。

主人公の相場剛は山興証券の新人営業マン。失敗を繰り返しながら、株式市場で経験を重ね、総会屋、相場師などと戦いながら成長していくというストーリーとなっている。実際のバブルの進行とリアルタイムで展開していたため、史上最大の暴落「ブラックマンデー」を連想させるエピソードなど当時の経済・社会的事件がふんだんに盛り込まれており、今やバブル期を振り返る貴重な資料とも言える内容となっている。

3.『マネーメーカー』

(原作:KOZO/画:大久保勝也/出版社:講談社/発表年:2001年)
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時はITバブルの2001年。ホリエモンがヒーローだった頃にマネーメーカーは『月刊少年マガジン』に3回連載された。ITバブルはドットコムバブルとも言われ、今まで株式市場にはいなかったようなネットやITに精通した若い投資家をたくさん呼び込んだ。

主人公の宝神トオルは、父親がリストラに遭ってしまい、合格していた有名私立高校の入学金が払えなくなった。トオルは株の取引で勝負、見事に石油会社の株価上昇を予想し、入学金を自分の腕で稼ぐというストーリーだ。

この漫画は少年誌に掲載された初の株漫画としての歴史的な意義がある。この漫画から15年。当時、トオルに憧れた少年が、立派なデイトレーダーになっているかもしれない。

4.『インベスターZ』

(作者:三田紀房/出版社:講談社/発表年:2013年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(作者:三田紀房/出版社:講談社/発表年:2013年*クリックするとAmazonへ飛びます)

この漫画が始まった2013年は、アベノミクスで株式市場が大きく注目を浴びるはじめる頃だ。作者は『ドラゴン桜』の三田紀房氏。ドラゴン桜での「受験」のテーマを「投資」に変えた作品として『週刊モーニング』に連載された。

主人公、財前孝史の通う名門私立中高一貫校には、各学年成績トップの6名のみが入部できる秘密の投資部が存在している。投資部は、学園の資産3000億円を運用し、学校の経費すべてを投資で生み出していたというところからストーリーが展開されていく。

5.『ビリオネアガール』

(原作:支倉凍砂/漫画:桂明日香/出版社:講談社/発表年:2009年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(原作:支倉凍砂/漫画:桂明日香/出版社:講談社/発表年:2009年*クリックするとAmazonへ飛びます)

マネーの世界の主人公は男が多いのだが、この漫画の天才デイトレーダーは美少女の藤岡紫。ひきこもりの紫は、実は、総資産170億円の天才的デイトレーダー。今でこそ、女性のデイトレーダーは増えてきているが、2009年当時はまだまだ少なかったのではないだろうか。『good!アフタヌーン』に連載。

6.『100億の男』

(作者:国友やすゆき/出版社:小学館/発表年:1994年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(作者:国友やすゆき/出版社:小学館/発表年:1994年*クリックするとAmazonへ飛びます)

世間はバブル崩壊で失われた10年の真っ只中。そんな1994年に『ビッグコミックスピリッツ』で連載開始。

主人公のサラリーマン富沢琢矢は、母親の借金の連帯保証人として久我山財閥の久我山天善に100億円の借金を背負った。富沢は、100億の価値を持つ男となるべく、金融界など危ないビジネスの世界で這い上がっていく。

バブル崩壊後の世の中の停滞時期だけに、富沢が大金と女性を次々と手に入れながら上昇していく姿がうけたのか、1995年には緒形直人主役でドラマ化された。

7.『監査役野崎修平』

(原作:周良貨/画:能田茂/出版社:集英社/発表年:1998年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(原作:周良貨/画:能田茂/出版社:集英社/発表年:1998年*クリックするとAmazonへ飛びます)

この漫画は1998年に『ビジネスジャンプ』に連載された。1997年に山一證券が自主廃業するなど日本経済史に残る金融危機があった。1998年は、銀行の合併など金融業界が大きく変化した年だ。

主人公の野崎修平は大手都市銀行の「あおぞら銀行」の一支店から監査役に就任し、銀行内における不正や経営問題に向き合い銀行を粛正し、リストラしていくストーリー。後半では、みずほ銀行の合併をモチーフとした「新日本銀行」の合併劇を描いている。

日本の企業において監査役という地味なポジションにスポットを当て、企業におけるコンプライアンス問題などを先取りした作品といえよう。ただ地味なポジションの野崎修平もこの漫画の成功で、その後頭取となり『頭取野崎修平』という続編が誕生している。

8.『ナニワ金融道』

(作者:青木雄二/出版社:講談社/発表年:1990年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(作者:青木雄二/出版社:講談社/発表年:1990年*クリックするとAmazonへ飛びます)

これもバブル崩壊後だからこそヒットした金融漫画だろう。主人公の灰原は、勤めていた会社が倒産してしまい、転職した先はちょっと恐ろしい「帝国金融」という消費者金融だった。そのナニワのマチ金を舞台に様々な裏社会の金にまつわる人間模様を青木雄二独特のタッチで描いて『週刊モーニング』で人気となった。

改正貸金業法がまだ施行されていなかった頃なので、異常な高金利や、厳しい取り立てがあたりまえ。灰原は金融屋として、借金を背負っている地獄の人たちを追い込みながらも、なぜか弱いものを応援する心優しさが根底に流れている。これがこの作品が受けた理由だろう。テレビ化もされ、続編の『新・ナニワ金融道』も描かれた。

9.『闇金ウシジマくん』

(作者:真鍋昌平/出版社:小学館/発表年:2004年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(作者:真鍋昌平/出版社:小学館/発表年:2004年*クリックするとAmazonへ飛びます)

バブル崩壊期の昭和の金融屋が『ナニワ金融道』なら平成の金融屋が『闇金ウシジマくん』だ。映画化もされている人気漫画で、現在も連載中だ。

ウシジマくんの会社「カウカウファイナンス」はいわゆる暴利のヤミ金融だ。ただナニワ金融道の「帝国金融」が弱い者を救う必要悪的な存在だったのに対して、ウシジマくんに登場するアウトローたちは道徳心など全く無く、人でなしで暴力的で救えない人たちばかりだ。それでも漫画としては大ヒットし、映画化されている。時代によって、貸金業もまるで違ったストーリーの対象になるのが面白い。

10.『ミナミの帝王』

(原作:天王寺大/画:郷力也/出版社:日本文芸社/発表年:1992年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(原作:天王寺大/画:郷力也/出版社:日本文芸社/発表年:1992年*クリックするとAmazonへ飛びます)

ミナミの帝王もバブル崩壊後の1992年に連載が始まった。大阪ミナミを舞台にした萬田銀次郎がマンションでひっそりと営業するヤミ金「萬田金融」の話だ。ナニワ金融道と共通点が多いが絵のタッチは劇画で、テーマも経済問題など大きなテーマにも取り組んでいる点が全く違う。『週刊漫画ゴラク』にて現在も連載中。日本文芸社のコミックとしては最長連載記録更新中。それだけファンも多いのだろう。

ミナミの帝王はその都度テーマを追って数話の読み切りになっている。通常のヤミ金融の世界を描いた作品もあるが、豊田商事事件、安田病院の診療報酬水増し事件、村上ファンド事件などの金融界の大きな社会問題を扱ったテーマも多い。

11.『賭博黙示録カイジ』

(作者:福本伸行/出版社:講談社/発表年:1996年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(作者:福本伸行/出版社:講談社/発表年:1996年*クリックするとAmazonへ飛びます)

金融漫画というよりも博打漫画だが、カイジの堕落も最初は金融業者に借金を押しつけられることから始まった。『ヤングマガジン』に連載。2009年に藤原竜也氏で実写の映画化され観た人も多いだろう。

カイジは、だまされて背負った借金を返済するため、ギャンブル船に乗り込む。そこで借金と命を賭けた大博打が始まった。カイジが勝負する奇想天外な博打の数々はマネーゲームに匹敵するくらいエキサイティングなものものばかりだ。

12.『東京闇虫』

(作者:本田優貴/出版社:白泉社/発表年:2009年*クリックするとAmazonへ飛びます)
(作者:本田優貴/出版社:白泉社/発表年:2009年*クリックするとAmazonへ飛びます)

カイジが好きならばこの作品もきっと気に入るだろう。大阪の一人の若者が騙されて借金を背負い、そそのかされて金融取り立て屋になるストーリーだ。

大阪で暮らしていた23歳の主人公加藤は、巨額の借金を背負わされ、気がついたら債権の取り立て屋としての闇の世界へ入り込む。やくざ、カルトなど現代の闇のなかで加藤がどのように借金を片付けるのか。カイジとウシジマくんが混ざったようなストーリーだ。

ここでは12の金融漫画をあげてきた。金融漫画は、大きく分けると夢のあるものと、裏社会ものに別れる。なぜか最近のものは裏社会者が多いようだ。

平田和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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