ロスジェネ世代これからの働き方

他人の承認のために努力を惜しまないこの世代の気合いと根性は相当なものです。しかし、40代は、もう若くない。だからこそ、努力の方向性を変える時期です。

では、どうするのか。それは、下の世代を育成することです。頑張ることが当たり前の世代には逆説的に聞こえるでしょうが、「いかに自分が働かず、組織で働く面白さを部下に伝えられるか」を目指すべきなのです。

最近の20代は、「自分の成長のために働きたい」思いが強い人はたくさんいますが、「組織のために働く」という意識が欠落している人が多い。組織人として働く面白さや奥深さ、また個人と組織の折り合いをどうつけていくのか、といった悲喜こもごもを教えられるのは、いろいろと苦労をしてきた私たちだからこそできることです。

育成に必要なスキルは、俯瞰的な視点。それは、仕事を思いっきり休むことで養われます。

一所懸命に働いた分だけ、平日に休みをとって旅に出かけてみましょう。普段自分が接する機会のない人と接してみるのです。

すると、自分が狭い価値観に囚われていたことに気づくはず。自分を客観視することで、俯瞰的な視点から自分を捉えることができます。走りすぎた私たち世代が今、休むからこそ見える景色がある。それが、働き方や生き方を考え直すことにつながるはずです。

現代は、自分さえ良ければいいといった人が多い世の中です。しかし、そんな社会を変えるのは、他人に認められるために頑張り続ける、我々だと信じています。

常見 陽平(つねみ ようへい)千葉商科大学専任講師
1974年生まれ。一橋大学商学部卒業後、97年に㈱リクルート入社。2005年には、㈱バンダイに入社し新卒採用を担当。その後、人材コンサルタント、就活作家としての活動を本格化させ、現在は千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。『エヴァンゲリオン化する社会』(日経プレミアシリーズ)など著書多数。(取材・構成:長谷川敦)(『 The 21 online 』2016年3月号より)

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