英国政府が納税記録にブロックチェーンの採用を検討していることが、4月26日にロンドンで開催されたブロックチェーン・イベントでのマット・ハンコック内閣官房長官の発言から明らかになった。
英政府はブロックチェーンの「改ざんされていない透明なデータを永久に保管する」という特質を最大限に活用し、税収の大幅な効率化を狙っている。英政府は非常に早い段階からブロックチェーンの可能性に注目していた統治機構の1つで、これまでにも様々なブロックチェーンの利用法を検討してきた。
官房長官「重要データ損失の苦い経験を繰り返さないため」
現在英政府は主に記録保持の透明性と効率性の向上に新技術を取り入れる方向性で調査を進めており、様々な種類の登記簿、納税記録、公金記録に至るまで、公的資金に関連するすべての情報をブロックチェーンで再構成化することに興味を示している。
再構成が実現すれば、不動産登記から酒類販売業免許に至るまで、無秩序に近い状態で保持されている登記データを安全かつ明確にリスト化し、助成金や学資ローンといった公的資金の支出、回収を確実に追跡し、納税金を最も効率良く徴収することが可能になる。
英政府による熱心な改革の意向の背景には、無念な幕引きとなった2011年の「患者記録のデジタル化計画」がある。数十億ポンド(約数千億円)の予算を組んで完成が待ち望まれていた大掛かりなプロジェクトであったにも関わらず、旧式のITシステム故障がパスポート局、 税額控除システム、国営保健サービスなどの重要記録に支障を引き起こし、途中放棄せざるを得なくなったという苦い経験がある。
ハンコック内閣官房長官は英国が同じような過ちを繰り返さないように、最新のテクノロジーの採用に積極的に取り組んでいく意向を明らかにし、「ブロックチェーンの透明性が新たな信頼の文化を築いてくれるだろう」と大きな期待をあらわにしている。
しかし一連の過剰とも思えるブロックチェーンブームには冷ややかな視線を投げており、「システム改革にうえで重要なカギを握っているが、すべての問題に対する完璧な解決法にはなり得ない」と地に足のついた見解も示している。( FinTech online編集部 )
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