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Written by 高田泰 125記事

大学の2018年問題

経営難の私立大は生き残れるのか 私学の4割が定員割れ、公立化する地方私大

大学生,少子化
(写真=PIXTA)

日本の18歳人口が減少に転じる「大学の2018年問題」を控え、文部科学省の有識者会議が私立大のあり方を考える議論を始めた。経営が苦しい私立大の統廃合促進策についても話し合い、2017年3月に報告書をまとめる。

乱立する私立大は地方で定員割れから経営が悪化するところが続出し、廃校が相次いでいる。地域に密着した地方創生関係学部の創設や公立化で生き残りを図ろうとする例も増えてきた。経営難の私立大は2018年問題を乗り越えることができるのだろうか。

文科省有識者会議が議論をスタート

文科省の有識者会議は座長の黒田寿二金沢工業大学園長、河田悌一日本私立学校振興・共済事業団理事長、安部恵美子長崎短期大学長ら21人の委員で構成され、初会合が4月に東京都内で開かれた。

検討事項は以下のの6項目。

・私立大のあり方
・ガバナンスのあり方
・財政基盤のあり方
・私立大への経営支援
・経営困難な状況への対応
・私立大振興に関すること

今後月に1回程度開き、今夏をめどに私立大をめぐる課題とその論点を整理、その後で具体的な対応策について話し合う。

注目は統廃合促進策の是非について、どのような見解をまとめるかに集まっている。初会合では委員から「これまでの政策では全ての私立大を健全に発展させることができない」と改革を目指す意見があった一方、「地方の大学は地元の進学希望者に機会を与えている」などとして、統廃合に慎重な声も出たという。

地方を中心に43%の私立大が定員割れ

文部科学省によると、日本の18歳人口は団塊の世代が18歳を迎えた1966年、249万人でピークを迎えた。団塊ジュニアが高校を卒業した1992年に205万人を記録したあと年ごとに減少し、2014年に118万人まで落ち込んだ。その後、18歳人口は一時的に横ばいを続けているが、2018年から再び減少に転じる見通しだ。

この間、国内の大学数は1990年の507校が2014年で781校と、私立を中心に大幅に増えた。大学進学率が50%前後に上昇したため、多くの大学が経営をどうにか維持しているものの、全国約600校の私立大のうち、2015年度で43.2%が定員割れしている。。

日本私立学校振興・共済事業団によると、2015年度の地域別私立大学定員充足率は、3大都市圏が100%を上回ったのに対し、地方の大半が100%に満たない。特に人口減少が著しい北海道や東北、中四国、九州で定員割れが深刻になっている。

北海道札幌市の札幌大は、ピーク時に約7000人いた学生が2800人まで減り、2013年度に学部再編を余儀なくされた。兵庫県尼崎市の聖トマス大、兵庫県明石市の神戸ファッション造形大、愛知県新城市の愛知新城大谷大は2009年、経営難から廃校になっている。

学生が集まらなかったことから、広島県坂町の立志舘大は2003年、広島文化学園大に吸収合併されたほか、三重県名張市の皇學館大名張キャンパスは2011年に撤退した。群馬県高崎市の創造学園大は2012年、資金不足に陥り、文科省から解散命令が出ている。

私立大の中にはアジア諸国からの留学生をかき集め、何とか苦境をしのいでいるところもある。大学の2018年問題で18歳人口が減少すれば、廃校、撤退がさらに増えるとみられる。

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全国で相次ぐ地方私立大の公立化
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