バークレイズ銀行の前CEOとして知られるアンソニー・ジェンキンス氏が、FinTechベンチャーの立ち上げに向け精力的に活動中であることが、複数のメディアの報道から明らかになった。

ジェンキンス氏は昨年7月、3年間CEOを務めたバークレイズ銀行から「金融産業の変化に対応できる新しいCEOが必要」と解雇された数カ月後、「今後10年間にわたり、世界中の銀行が人員と支店を半分に縮小せざるを得なくなるだろう」という発言で、金融機関の神経を逆なでした「お騒がせな人」だ。

そんなジェンキンス氏が心機一転。FinTechを武器に金融産業の歴史を塗り替える計画が、着実に進んでいるようだ。

FinTechベンチャーで銀行に宣戦布告

オックスフォード大学出身のジェンキンス氏は1983年にバークレイズに入社後、シティグループに移籍してクレジットカード事業を起動にのせたスゴ腕銀行家だ。その功績を認められ2006年にバークレイズのクレジット部門から逆引き抜きがかかり、金融スキャンダルから辞任に追い込まれたボブ・ダイアモンド前CEOの後釜として2012年にCEOに着任した。

金融産業に改革の風が吹き始めた当時を「言葉では表現できないほど金融産業にとっては難しい時期だった」と、ジェンキンス氏は回想する。何らかの大きな変化が求められているにも関わらず、その「何か」がハッキリと見えない状況でバークレイズは企業改革に踏み出し、ジェンキンス氏をアッサリ解雇。大きな期待とともに新たなCCEOを迎え入れた。

バークレイズをお払い箱となったジェンキンス氏は「バークレイズの復興に大きく貢献した」と自らの仕事ぶりを高評価すると同時に、「3年前にはどれほど最悪な状況であがいていたか、皆すぐに忘れてしまうものだ」と、不満気に古巣を後にする幕引きとなった。

さぞかし傷心しているだろうという世間の予想に反し、昨年11月にニューヨークで開催されたシンクタンク・フォーラム「New City Agenda」に出席した際には「10年後には世界中の銀行が半分になっている」という爆弾発言。

元来立ち直りの早い性質なのか、あるいは恩を仇で返す結末となった従来の銀行への腹いせか、キャリアの矛先を180度転換し、FinTechで再び金融産業の旗手の座を狙う。

「今後大手銀行は利益面を保護するために、細分化を余技なくされる」と、従来の銀行に宣戦布告したジェンキンス氏。新事業の詳細が公表される日が待ち遠しい。( FinTech online編集部

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