2月にブロックチェーン窓口取引システムの採用を発表した韓国証券取引所(KRX)が、順調に開発を進める一方で、共有プラットフォームや新たな仮想通貨の可能性を研究していることを、戦略部門の責任者であるリー・チャンジン氏が明かした。

KRXは「ブロックチェーンに秘められた様々な可能性を探求する」という目標のもと、研究機関や企業との提携関係に積極的な姿勢を示しており、ステークホルダーや自治体にもブロックチェーンへの理解を深めるよう働きかけていく予定である。

プライベートかハイブリッドを採用した高質なブロックチェーン技術

昨年11月に未公開株式市場向けの分散型プラットフォーム『Ling』を採用したNASDAQを筆頭に、ブロックチェーン研究組織を結成したロンドン証券取引所、デジタル・アセット・ホールディングスと提携して証券取引の効率化を試みているオーストラリア証券取引所、日本IBMと実証実験中の日本取引所グループなど、多くの証券取引所がブロックチェーンの無限に広がる可能性に魅せられている。

KRXは昨年からブロックチェーン技術に関する研究を開始し、効果的な用途の可能性を検討。「その結果、実用的な技術であると判断し、現在最も高レベルな組織と具体的な実験段階に入っている」と米メディアにリー氏は語った。

第1目標はブロックチェーンを利用して、韓国金融投資協会が管理するK-OTC(韓国証券取引所の相体取引)とK-OTCBB(韓国証券取引所のOTCブリティンボード)のシステム向上を図ることだ。K-OTCの注文受付は自動化されているが、K-OTCBBは手動で行われているため、ブロックチェーンによる取引システムを導入することで決済や記録が瞬時に実行可能になる。またコストや時間の削減も期待できるという。

リー氏はまだプロジェクトが早期段階であることを主張したうえで、今後共有型台帳や分散型台帳、さらには独自の仮想通貨開発への可能性についてもほのめかしている。

現在は韓国證券預託院などの協力のもとにプロジェクトが進められているが、「これらの研究や開発を進めるためには、より幅広い層分野の機関や企業と協力しあうことが必要不可欠になる」と、技術発展に向けてオープンな構えを見せている。

パブリック・プラットフォームの採用は検討しておらず、プライベートあるいはハイブリッド・ブロックチェーンのみを採用したクオリティーの高い技術の追求を目指しているそうだ。( FinTech online編集部

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