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(写真=PIXTA)

転勤や入学で新生活が始まる3月から4月は、引っ越しをする方が多い時期です。入居者の方は、引っ越し先の物件をどのような基準で選んでいるのでしょうか。

1. 家賃&管理費

まず、誰しも気にするのが家賃でしょう。管理費や修繕費とともに、毎月必ず発生する費用です。無理のないライフスタイルを築くためには固定費を抑えることが重要なポイントとなります。理想の家賃の上限は、月収(手取り)の25%~30%といわれています。自分の物件に入居する方をイメージして、入居者の年収を鑑みた家賃・管理費の設定を行いましょう。

2. エリア

物件の所在エリアは、通勤・通学の利便性で選ぶ方が多いです。単純に最寄り駅が経路にあるというだけでなく、最寄り駅からの所要時間や、自宅から職場までの「ドアtoドア」での所要時間も重要です。また、特に女性は最寄り駅からマンションまでのルートについてチェックをします。女性をターゲットにしている場合は、駅から物件までの夜間の通行ルートなどで安心できる材料を用意しておくことが大切です。

3. 周辺環境

入居者は物件や最寄り駅周辺の環境を確認します。特に飲食店や繁華街が近くにある場合、騒音などは日中・夜間など時間を分けて確認することもあります。例えば、周辺に工場があった場合、稼働時間や騒音の大きさはどの程度かなど、オーナー側も十分に把握して、仲介会社を通じて入居者側に上手く伝える必要があります。

4. 間取り、設備

室内環境も入居者にとっては重要な要素です。キッチンとダイニングとの導線や、お風呂、トイレの場所、バルコニーの広さなど、細かい間取りを考慮しながら、自分の生活スタイルに合った部屋を探します。また、広さについてはご家族のライフスタイルにもよりますが、一人暮らしの場合でも6畳ではやや狭く、少なくとも7畳以上の物件が好まれます。オーナー側もこうした部屋を案内できると決まりやすいでしょう。

また、キッチンや水回り関係の設備・仕様も確認しておきましょう。多少条件が悪くても水回りの綺麗な物件は好まれる傾向にあります。コンロの数や脱衣所の有無など、生活するうえで必須となる設備がきちんと付いているかどうかは、入居者にとって大切な問題です。必要であれば、物件設備の入れ替えも検討しましょう。

5. 携帯電話の電波状況

物件のエリアによっては、携帯電話の電波が届きにくい場合があります。また、物件には電波が届いていても、部屋によっては電波が入りにくいケースもあります。特に自宅で電話を頻繁にする人は、生活や仕事に支障をきたすことにもなりますので、もし電波が入りにくいのであれば、共用部分にアンテナを設置することなどを検討しましょう。

6. 共用スペース

廊下やエントランスなどの共用スペースが汚く、手入れがされていない物件は、「管理が行き届いていない」「住民のマナーが悪い」という印象を入居者に与えてしまうので注意が必要です。可能であれば、定期的に自らの目で確認したほうが確実です。管理状況があまりにもひどい場合は、方法を管理会社と相談したり、管理会社を変更したりすることが必要です。

7. イニシャルコスト

入居者にとって賃貸住宅の初期費用は小さい額ではありません。敷金・礼金、保証金、仲介手数料の設定金額は不動産会社やオーナーによって異なります。物件の入居希望者状況によっては、礼金0円なども検討する必要があるかもしれません。まずは空室を避けるのが得策です。さらに、最近は保証人不要で、家賃保証会社を使う不動産会社も多く、保証人を用意する意識が薄い入居者もいます。保証会社を導入していない場合は、仲介会社と相談の上、保証会社も利用できるような入居方法も確立しておきましょう。

8. その他諸経費

上述した費用以外にも、入居者は次のような費用を加味した上で物件を選びます。

・ 保険料 : 住宅の火災保険や地震保険
・ 鍵交換代 : 以前の住人と別の鍵にするための費用
・ 住宅サポート費用 : 「鍵をなくして入れない」など緊急時のサポートサービス
・ 清掃費用 : 入居前に清掃が入る場合の費用
・ 事務手数料 : 管理会社などの事務手数料

入居者の検討が進んでから、上記を案内するとマイナスの印象を与えてしまうかもしれません。必要な費用は仲介会社を通じて、最初に入居希望者に提示するように心がけましょう。

9. 建物種類

物件の種類も、入居者にとっては住まいの大切な要素の一つです。賃貸物件は主に「アパート(木造)」「マンション(RC造・鉄骨造)」「戸建て」の3種類に分かれます。一般的に木造アパートの方が家賃は安いですが、マンションに比べて音が伝わりやすく、気にする入居者も少なくありません。オーナーにとって空室回避も重要ですが、「実際に自分が住むときにどの点が気になるのか」という視点から家賃やサポート体制を決めていくことが大切です。

10. 引っ越し時期

引っ越し時期によって、賃貸物件の状況は変わります。特に4月や9月は引越しが重なる時期で、エレベーターなどが混雑し、入居者や引越し業者とのトラブルが起こりやすいので、オーナー側も仲介会社や管理会社を通じて引越し日を調整し、住人同士でトラブルが起きないように努めましょう。

まとめ

引っ越しはまとまった金額の出費となるため、入居者は慎重になります。オーナーも、入居者が何を気にして物件を選び引越しをするか理解し、事前に対応できることがあれば仲介会社や管理会社と協議の上で対策を立てておくことが大切です。(提供: 不動産投資ジャーナル

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