不安をなくすには可視化を 消費者の0.5歩先を歩こう
ディスカッションの終盤、最後のコメントを求められた瀧氏は、野村證券時代の研究業務を振り返った。人口や出生率というデータから地域の将来が見通せることに触れ、「人口が減る中で、未来に生じるであろう課題が分かってもイージーな解がなく、どうしても暗くなりがち」と解説。その対策として、「不安をなくすためには可視化すること。そしてたとえ暗そうな状態が予想されても、それをそのまま受け止めること。数字に落とし込めるのは、すなわち対処がイメージできることであり、そういうチカラが日本にあると信じている」と話した。
藤井氏は「いいサービス、使われるサービス」は「利用者視点の論理」に立っていると喝破した。(大企業勤務の)サラリーマンがつくると、ブランドを毀損しないか、失敗しないかなどを念入りにチェックするため、つくるまでに疲弊してしまい、リリース後の改善がおろそかになるケースも多い。本来はそこがゼロ地点で、そこからが始まりであるべき」と述べた。また「ハッカソン、アイデアソンといったイベントを小さくてもやってみること」を提案した。
阿部氏は、「各金融機関が、顧客ニーズの無いところに競ってIT投資をするのではなく、改めて顧客に確りと向き合うことによって、FinTech企業も交える形で、本日ここに集まっている各金融機関の方々とも何か一緒にできる世界が有ると思う」と協働を呼びかけた。
最後に冨田氏は、保険業界のトレンドについて言及。ライフネット生命が誕生して支持を一気に集めたものの、その後なかなか伸び悩んでいる中で、「ほけんの窓口」が急成長を遂げたことを引き合いにし、「いいサービス、商品であっても顧客、消費者の目線より先に行き過ぎると使ってもらえない。ほんの少し、0.5歩先を歩くことをめざすべきだと思う」などと述べた。