③家計の抱える負債は少なく、貯蓄が多い。また1人辺りの資産規模が大きい。
家計が抱える負債が少ないことも日本の特徴です。
日本の家計の負債は、成人1人当たりの負債総額にして、約4万5千ドル(約370万円)となります。この額は、家計の富に対する比率でみると16.6%となり、世界平均の18%や、先進国の平均の20〜30%、米国の22%を大幅に下回っています。
ちなみに日本以外のアジア太平洋地域は、世界平均よりも負債の比率が高く、韓国(36%)、香港(29%)、オーストラリア(27%)となっています。
また、日本では成人人口の内、95%超の人が1万ドル以上の富を保有するとされており、10万ドル以上の富の保有割合も62%と高い値をだしています。
(この比率は、世界の平均水準の約8倍となります。)
④今後の5年間で、日本人の富裕層は50%も増える予定
また、今回グローバルウェルスレポート内に、特に興味をひかれる記述がありました。今後の5年間で、日本人の富裕層は約50%も増え、現状の358万人から、540万人ほどにまでその人数が増えるだろうというのです。
「成長著しい中国やアジアの国々ならともかく、経済・株価共に低迷を続ける日本でどうして?」と、疑問に思う箇所ですね。
このことに対して、クレディ・スイス内でアジア・太平洋地域のプライベートバンキング部門を率いる、フランチェスコ・デ・フェラーリ氏は、日経ヴェリタスの取材で以下のように答えています。
「確かに株式市場はよくないが、不動産や起業家らの事業状況も勘案しながら推計した。日本企業のM&A(合併・買収)も活発になり、とりわけ海外での買収が目立つようになっている。今では世界第2位のM&A市場だ。日本企業は国外でのビジネスチャンスを模索しており、資産形成の源になるだろう」
参考:日経ヴェリタス 2012.11.18 P48 日本の富裕層17年に540万人 クレディ・スイス「海外での稼ぎ、資産形成の源に」 より
なおこの記事によりますと、クレディ・スイスではこの予測に基づき、プライベートバンク部門の人員を増強、名古屋や大阪にも新たに拠点を設けるなど、日本市場の開拓に力を注いでいるそうです。
参考:
いつかは来るバブルの終わり、その時資産を残す人と無くす人の違いとは?〜この20年、日本の億万長者の世界にはどんな変化があったのか2/2〜
景気や相場の低迷が続いていますが、このまま円高基調が続いた場合、海外への投資は有利になるため、ビジネスチャンスも拡大するということなのかもしれません。先行きが不透明な時代ではありますが、新たなチャンスも生まれてきそうな気配ですね。
BY TOMB