【参考】
2012年度「グローバル・ウェルス・レポート」を発表
◯グローバル・ウェルス・レポートによる富や富裕層の定義の仕方
ZUU-ONLINEでも何度か富裕層関連の記事について書いてきましたが、富や富裕層の定義には、レポートなどの発行元により違いがあります。
その中でも有名なのは、今回紹介するクレディ・スイス発行のグローバル・ウェルス・レポートと、
メリルリンチ発行のワールド・ウェルス・レポート
です。
グローバル・ウェルス・レポートでは、測定する富を自宅などの不動産を含めた全資産から、負債を除いた純資産と定義しています。一方ワールド・ウェルス・レポートでは、上記の純資産から、さらに自宅などの不動産を除いた投資可能資産を富と定義しています。
また、両レポートとも富裕層の定義を100万ドル以上の富を持つ個人としていますが、富の定義が異なるため、グローバル・ウェルス・レポートでは日本人の富裕層は約358万人。ワールド・ウェルス・レポートでは約170万人とされています。
その他に有名なレポートや測定では、10億ドル以上の資産を持つ人を対象とする、フォーブスの世界長者番付の発表や、野村総合研究所による投資可能資産1億円以上をもつ世帯を、富裕層と定義(国内約85万世帯)する方法が有名です。
◯日本人の富や富裕層の特徴
それでは、グローバル・ウェルス・レポート2012に沿って、日本人の富や富裕層の特徴をまとめます。
①世界全体では富は縮小傾向、しかし日本では増加傾向
2012年は2011年に比べ、世界全体の富は縮小傾向にありました。欧州債務危機や世界的な景気減速が原因です。
2012年央の世界の家計の富の総額は、223 兆ドル(約1京7,394兆円)だったのですが、これは前年比で12.3 兆ドル、5.2%の減少となります。地域別にみると、特に欧州の落ち込みが激しく、家計の富が10.9 兆ドルも減少しました。
一方の日本ですが、日本の家計の富の総額は、28.1兆ドル(約2,190兆円)となります。前年比で約2.5%の対ドルの円高進行の影響もあり、この額は昨年と比較して1.3%拡大となります。富裕層の人数も358万人と多く、昨年に続き世界第 2 位の座を維持しました。
②超富裕層や大富豪は少なく小金持ちが多い、また格差は少なめ
資産100万ドル以上の方を対象とした調査では、日本はその人数において世界第2位ですが、例えば5,000万ドル以上の方を対象とした調査では、3,400人となりその順位は4位と少し下がります。さらに、フォーブスにる10億ドル以上を対象とした調査では、24人となりその順位は11位となります。
また、貧富の格差を表すジニ係数(※)も約0.28と、アメリカ(約0.37)などと比べて低く、貧富の格差も小さいと言えます。
(※)係数の範囲は0から1で、係数の値が0に近いほど格差が少ない状態です。逆に1に近いほど格差が大きい状態であることを意味します。ちなみに、0のときには完全な「平等」、皆同じ所得を得ている状態を示します。