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(写真=PIXTA)

アパート経営にも、その時々の「流行」があります。流行をどう取り入れるかは地域特性やターゲット層、そして経営者ご本人の考え方次第ですが、どんな決断をするにせよトレンドを把握しておくことは必要です。今回は、不動産投資の現状を概観すると共に、今のトレンドを3つのキーワードでご紹介します。

不動産投資の現状

国土交通省の「建築着工統計調査報告(平成28年1月分)」によると、持ち家・分譲住宅が減少した一方、貸家が増加となりました。結果として、全体で前年同月比0.2%の増加です。東京・大阪・名古屋圏では地価が上昇傾向にあります。また、東京都心ではマンション賃料も上昇基調となっています。

このように良いニュースもある一方、世界経済の失速や東京オリンピック後への不安材料も多く、不動産市場の先行きは不透明です。アパート経営に限って言えば賃貸ビジネスの多様化が進む昨今、賃貸物件の差別化、そして市場を見通す目を養うことが重要だと考えられます。

不動産投資の最新トレンド

これまで賃貸アパートの利用者といえば、若い単身者がメインでした。ワンルームは若者が結婚するまで、2DKは夫婦に子供ができるまでと、賃貸アパートは「仮の住まい」という価値観がありました。

しかし近年、アパートであってもきれいで機能的、かつ目的に応じた多様な物件が増えています。マイホーム志向は依然として根強いですが、震災リスクや一戸建ての空き家問題が顕在化するなか、賃貸アパートの価値は高く評価されてきています。

●キーワード 1 「進化する賃貸」
賃貸アパート = 「木造2階建てで、防音も遮音もイマイチ」というイメージは、今はもう古いです。今では見た目の綺麗さだけでなく、防犯や収納にも優れ、内装のグレードも上がっています。また、住宅としての価値だけでなく、ペット可、自分での改装可といった物件も増えつつあります。

「おひとり様」やDINKS(夫婦二人暮らし)が増えるなか、賃貸の目的は「仮の住まい」ではなく「より快適で自分らしい住まい」へと変わってきていると言えるでしょう。

●キーワード 2 「高齢社会」
一旦はマイホームを手に入れたものの、その後の状況変化などによって、マイホームを売却して賃貸住まいを選択する例も増えています。その受け皿となるのが「サービス付き高齢者向け住宅」です。こちらは、部屋の広さやバリアフリーなどの設備面と、安否確認や生活相談サービスなどのソフト面、双方の基準を満たした高齢者向け賃貸住宅です。

登録の手間と設備面のコストは掛かりますが、自治体による融資支援や税制優遇が受けられます。また、権利金受領の禁止、長期入院などを理由とした賃貸契約解除ができないなど、賃貸借の条件に一定の制約があります。

サービス付き高齢者向け住宅は規定が厳しい上に、入居者が見込めなかった時に他への振替えが難しいため、違う形で高齢者に優しい賃貸を目指すという方法もあります。バリアフリー化、介護の送迎車が出入りしやすい、安全(火災防止)のためのオール電化など、ニーズに合わせた対応を行うと良いでしょう。

●キーワード 3 「新しい不動産投資」
不動産投資の新たな動きとして「民泊」の存在があります。これは外国人旅行者の急増によるホテルや旅館の不足に対し、増え続ける空き家・空室を有料で貸し出すという新しいビジネスです。ただし、現状は利用者の騒音や乱雑なゴミ出しなどトラブルも多く、マンションでは規約で民泊を禁止する動きもあります。

今では、国も民泊を禁止するのではなく「旅館業法より緩やかな規制のもと管理をする」という方向で話が進んでいます。国家戦略特区での規制緩和を行うことで、民泊ビジネスのさらなる成長を期待しています。民泊は観光需要があれば都市部以外でも事業として成り立つ可能性が高く、今後の動きに注目です。

また、都市部では「シェアハウス」も注目されています。中古住宅を購入し、リフォームしてシェアハウスにすれば、建て替えの費用と時間を節約することも可能です。トラブル防止のためのルール作りや共用設備のメンテナンスなど一定の手間はかかりますが、土地面積の割に入居者が多く収益性が高いというメリットがあります。

まとめ ──将来を見据えた投資を

3つのキーワードで不動産投資のトレンドをご紹介しました。一方で、幾多の課題も見逃せません。人口減少、東京オリンピック終了後の地価の行方、為替によっては好調な観光業も落ち込む可能性があります。しかし、リスクを取らない投資というものはありません。不動産市況の変化を見逃さず、リスクを最小限に抑えて収益を上げていきましょう。 (提供: TATE-MAGA

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