父の日,お父さん,憧れ
(写真=PIXTA)

今日6月19日は父の日だが、漠然と持っている「理想のお父さん像」はあるだろうか?モンキー・D・ドラゴン(ワンピース)のような革命家の父親、孫悟空(ドラゴンボール)のようなサイヤ人のお父さん、星海坊主(銀魂)のような宇宙最強の親父。

「優しい」「一緒に遊んでくれる」のが憧れのお父さん

お父さんにしたいアニメキャラのランキング調査がある(SUUMO調べ、何でもランキング)。ランキングの上位を占めたのは、長寿アニメである。同率3位が2つあるが、それを含めて5位までを紹介する。

1位 フグ田マスオ(サザエさん) 親しみやすさと癒やしキャラ

「サザエさん」は、1969年から続く、まさに国民的アニメ。マスオさんことフグ田マスオは磯野家にあって、フグ田の性を名乗っている入り婿である。つまり磯野家とフグ田家は2世帯同居の家族である。設定では、サザエさんは24歳、マスオさんは28歳、タラちゃん3歳の若い家族だ。

マスオさんの性格は、生真面目で不器用。人に頼まれたらイヤとは言えないお人よしで心配性。親しみやすい性格で一緒に遊んでくれそうである。それに義理の父である波平には敬意をはらい、個性豊かな人々に囲まれながら、うまく人間関係が築くことができている。義父や妻に比べて、アニメの中でマスオさんはあまり怒ることがなく、温厚で癒やされる父親キャラの代表で、1位になったのもうなずける。

昭和の家族関係がよく出てくるので、年配のお父さんにとっては、懐かしい設定が多く共感を呼ぶ。
ところで、「サザエさん」と株価に相関関係があるのをご存じだろうか?大和総研が出したレポートによれば、「サザエさん」の視聴率が上がると株価が下がり、視聴率が下がると株価が上がるという法則で、相関係数は0.86と高い値になっている。

2位 荒岩一味(クッキングパパ) 料理の腕前と家事の能力がひかる

アニメとしては1992年に放映されていた「クッキングパパ」。漫画は1985年からスタートして、連載30年以上を越えて続く長寿漫画だ。掲載されたレシピの数は1000種類をかるく超えている。ブームになった握らないおにぎり、「おにぎらず」も1991年にクッキングパパで披露されたレシピでもあるというから、先見の明には驚きだ。

原作者の「うえやまとち」氏は、料理を作ってからストーリーの展開を書くそうで、まさに料理ありきの漫画。「クッキングパパのレシピ本」は何冊も出版されている。

2015年の「父の日」の「クッキングパパ」の料理は「オムライス」だったが、今年の料理も気になるところだ。

3位 野原ひろし(クレヨンしんちゃん) 普通だけど家族を愛する頼れる存在

野原ひろしは、手取りで月30万円、年収600万円のサラリーマン。恐妻家である妻のみさえの尻に敷かれるが、それによって家族の輪を保っている優しいパパである。

実は彼、最初に登場したときにはもう少し太っていたが、だんだん痩せてきて、長方形の顔が目立つような感じの作画になっていった。息子しんのすけいわく「ありきたりの顔」になったのである。

いつも貧乏くじを引くような存在だが、いざという時には、頼れるカッコイイ父親に変身する。特に映画には心が熱くなる名言や、感動する名場面も多い。たとえば、しんのすけに向かって「おまえが生まれてから、退屈しねぇよ」など。不器用だが、家族を第一に思うひろしならではの名言である。

3位 草壁タツオ(となりのトトロ) 子どもに理解があるお父さん

同じく3位の草壁タツオは考古学者で、大学の非常勤講師。入院中の妻・靖子に代わって、サツキとメイの面倒を見ているイクメンでもあり、「素敵なお父さん」というラブコールも多い。

特に共感を呼ぶのが、子どもに対して真摯に向き合っているところだ。トトロを目撃した4歳のメイにも、否定せずに正面からしっかりと語りかけ、仕事中でも面倒くさがらないで、キチンと対応している。子どもを見下さないで、ひとりの人間として接しているところには、頭が下がる。

うっかりサツキの弁当を忘れたりするところはご愛嬌。威厳のある父というよりは、子どもに安心感を与える守る父と言えるだろう。ちなみに、草壁タツオの声優は、糸井重里を起用している。ちょっと棒読みのところが逆に親しみを感じたのは、私だけではないはずだ。

5位 バカボンのパパ(天才バカボン)どんなことでも許してくれるゆるさ

バカボンのパパは、何があっても「これでいいのだ!」とゆるしてくれそうだ。彼の職業は、いったい何か?という疑問があるのだが、どうやら「無職」ということになっている。

いったいどうやって収入を得ているのか、それとも資産があるのかも不明であるが、それもこれも「これでいいのだ!」で解決してしまう。親子の事件が日々ニュースで騒がれる昨今、そんなゆるい父親がいてもいいのではないかと思ってしまう。

厳しいだけ、優しいだけが父親ではないし、理想通りになるのは難しい。父の日の今日くらいは、そんな理想は置いておいて、親子で一緒にアニメを見ながら、飾らないで話をしてみてはどうだろうか。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。