ビール大手5社の発表によると、ここ数年国内のビール出荷は減少および停滞気味だ。若者のビール離れや、消費者がビールから発泡酒などへの乗り換えが進んだことも影響しているが、その一方で良い兆しも見られる。

微増ながら19年ぶりのプラスに転じる

その一つが、前記の市場規模が前年同期に比べて0.1%のプラスとなったことだ。微増ではあるが、それでも1996年以来19年ぶりのプラスを示した点は評価すべきであろう。定番商品の強化と新製品の投入が効果を発揮した結果でもある。

大手ビール各社は、酒税の安い第3の発泡酒で新商品を投入する一方で、プレミアムビールの販売強化にも取り組んでいる。キリンでは一番搾り「地元うまれ」が、期間限定商品の効果もあって前年比4.2%増、アサヒはスーパードライで2020年の東京オリンピック・パラリンピック限定記念缶を発売したほか、サッポロでもヱビスビール、サントリーのプレミアム・モルツなど各社がブランドの向上に取り組んでいる。

サマーストック関連銘柄としても留意すべき

ビール業界の見通しは少子化、健康志向、アルコール消費の多様化などで国内市場の急成長は厳しいものがある。今後も微増、或いは横ばいで推移するとの見方もある。しかしながら、各社の強みを生かしたブランド戦略の強化、糖質オフ、低プリン体の新機能商品の投入、東京オリンピック、新興国を中心としたグローバル展開への期待感も少なからず残すところだ。

ビール関連銘柄としては、サッポロホールディングス <2501> 、アサヒグループホールディングス <2502> 、キリンホールディングス <2503> 、サントリー食品インターナショナル <2587> が挙げられる。

日経平均株価の低迷に見られるように、目下のところ全体相場は動意性に乏しいが、サマーストック関連の一つとして、ビール関連銘柄が見直される可能性もある点に留意したい。(金融ライター 鈴木ロミオ)

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