ベネッセ,原田社長辞任,株式投資
(画像=Webサイトより)

5月第3週の東京株式市場は強含みの展開だった。消費税率の再引き上げ先送りの報道や、円相場の1ドル=110円台への下落が好感された。週末には日経平均株価の終値は1万6736円と、約3週間ぶりの高値水準へと回復した。

しかし、日本株の先行きについては、なお不透明感が拭えない。先週は新興株市場をけん引してきた創薬ベンチャーのそーせいグループが急落した。また、21日まで仙台市で開かれたG7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)では、議長国の日本が訴えた財政出動について全面的な賛同が得られなかった。日経平均が一段と上値を試すためには、一段の円安進行など、さらなる支援材料が必要となりそうだ。

悪材料で売り膨らみかい離率が拡大

今回は東証1部の25日移動平均に比べ、マイナスかい離率の高い上位10社の顔ぶれを見てみよう。

(1) 東亜建設工業 <1885> -30.28%
(2) パイオニア <6773> -22.70%
(3) トプコン <7732> -20.53%
(4) ヨロズ <7294> -19.14%
(5) サノヤスホールディングス <7022> -18.84%
(6) 東洋ゴム工業 <5105> -18.62%
(7) ユナイテッドアローズ <7606> -17.48%
(8) 三重交通グループホールディングス <3232> -16.86%
(9) 名村造船所 <7014> -16.25%
(10) ベネッセホールディングス <9783> -16.06%

※5月20日終値をもとに算出。

かい離率は、現在の株価と過去25日移動平均がどれだけ離れているかを数値化したもの。かい離率がマイナスということは、過去の株価水準に比べて売り込まれたことを意味する。新規の悪材料が出て売りが膨らんだときなどに見られる現象でもある。

東亜建設工業、地盤改良工事でデータ改ざん

それでは上記ランキングから、今回は東亜建設工業、パイオニア、ベネッセホールディングスの3銘柄を取り上げたい。

東亜建設工業は海上土木を本業とする総合建設業。陸上土木やしゅんせつ・埋め立てなども手掛けている。

同社は5月6日、羽田空港滑走路の地盤改良工事でデータを改ざんし、液状化を防ぐための薬液を仕様書の通りに注入できたかのように国土交通省に虚偽報告していたと発表した。その後、福岡空港や松山空港などでも同様の不正を行っていたことが判明。信用失墜による業績への悪影響を懸念した投資家の売りが断続的に出ており、株価回復への糸口がみつからない状態が続いている。

パイオニア、今期業績予想に失望感

パイオニアは元電機大手。利益率の低かったAV機器事業から撤退し、カーエレクトロニクス専業に向けて構造改革を進めている。

同社は12日、前期決算と今期業績予想を発表した。今期予想は減収増益。原価率の改善を見込むものの、営業利益80億円という会社予想は証券アナリストらの利益予想を下回っており、売り圧力が強まった。

ベネッセホールディングス、「プロ経営者」原田氏が辞任

ベネッセホールディングスは教育サービス大手。通信教育「進研ゼミ」を運営するベネッセコーポレーションを中核企業とし、高齢者ホーム事業なども手掛ける。

2014年にベネッセホールディングス会長兼社長に就任した原田泳幸氏が6月25日付で辞任することが決まった。

原田氏の就任直後に顧客情報流出事件が発生。ダイレクトメールの内容を刷新し、各都市に顧客接点の拠点を設けるなど、事業内容の見直しに取り組んできたが、進研ゼミの会員数減少に歯止めが掛からなかった。後任には福原賢一副社長が昇格する。

日本マクドナルドのトップから転進し、時に「プロ経営者」と称される原田氏が改革を進めながら業績のてこ入れにつながらなかったため、中長期の成長期待がはがれつつある。(ZUU online 編集部)

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