テーマ株,人工知能,AI
(写真=PIXTA)

医療・市場分析分野で既に活用スタート 米各社は「AIアシスタント」を個々に開発

今年3月、人工知能(AI)の世界で1つの偉業が達成されました。米グーグルの囲碁ソフト「アルファ碁」が世界トップレベルの棋士を打ち負かしたのです。チェスや将棋と比べ手数が格段に多い囲碁では、AIがプロ棋士のレベルに到達するには10年程度の年月を要すると考えられていました。AIは人々の予想をはるかに上回る速さで進化しています。

こうした中で、政府が新たに掲げた成長戦略には、その重要な柱としてAIやロボットを駆使した「第4次産業革命」の推進を声高に唱えています。新聞紙面でも毎日のようにAIに関する記事が掲載されており、まさにAIブームの様相を呈している状況です。

AIの本格的な研究自体は1950年代に始まりましたが、コンピューターの処理能力が大幅に向上する一方で、従来のAIの進歩速度は非常に緩やかなものでした。こうした潮目に変化が起きたのは10年代に入ってからであり、特に、その起爆剤となったのが、深層学習「ディープラーニング」の台頭とビッグデータの存在です。

人工知能(AI)

ディープラーニングとは、人間の脳の仕組みをモデル化した機械学習技術を指し、自らが学んで進化する革新的なAIです。あらゆる機器がネットに繋がるIoTによって収集されるビッグデータは近年大幅に増加しており、このビッグデータという格好の教材を手に入れたことでAIの学習速度は飛躍的に高まっています。

実際に医療の分野では、AIの活用により膨大な臨床データの中から研究者が見落としていた共通因子を見つけることが可能となり、難病の治療法や新薬開発の手掛かりが見つかるものと期待されています。また、病院の診察室でも「AI医師」が類似の症状を照らし合わせて診断を下し、人間の医師がセカンドオピニオン的に確認するようになっていくことが考えられます。

また、AIは市場分析やマーケティングにも活用され始めており、近い将来には企業の取締役会にAIが座り、まるで外部コンサルタントに見解を求めるかのようにAIに意見を聞くことが可能となるでしょう。

さらに、AIは身近なところでも既に活用されており、その代表例が「AIアシスタント」です。

このAIアシスタントとは、ユーザーが話しかけるとAIを駆使して質問に答えたり課題を処理したりする機能のことで、アップルは、iPhoneに「Siri」を既に搭載し、グーグルも「グーグル・ナウ」を導入済です。また、アマゾンは「アレクサ」、マイクロソフトは「コルタナ」、フェイスブックは「M」を、各社が個々に開発しています。

現在、AIの研究・開発は米国が先行していますが、ここにきて日本でも官民一体となってAIへの投資が一気に進んでいます。

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