マイナス金利,銀行,融資,不動産投資
(写真=PIXTA)

2016年1月に発表され、2月に導入されたマイナス金利。今回は、マイナス金利による不動産関連の金融商品の動きや銀行の不動産融資への影響について解説します。

マイナス金利とは何か

マイナス金利とはどのようなもので、私たちの生活にどのような効果をもたらすのでしょうか。

もともと日銀はアベノミクス政策の一環として、2013年から量的・質的金融緩和を続けてきました。これらの効果をさらに強め、2%台の物価上昇を実現させるために、今年からマイナス金利が導入されました。

基本的に、各銀行は日銀に預金を預けています。通常であれば、私たちが銀行に預けた預金に利子がつくのと同じように、銀行側が日銀に預けた預金にも利子がつくはずです。しかし、マイナス金利が導入されたことにより、銀行側が新規で日銀に預金を預けると、日銀から利子を取られてしまうようになりました。

日銀は、銀行が持っている預金を眠らせておくのではなく、企業や個人などに積極的に融資を行うことで市場にお金が出回るようになり、結果として金融緩和へとつなげることを目標にしています。また、日銀は、マイナス金利導入はあくまで金融緩和のための一時的な政策であると述べています。

マイナス金利導入により、J-REITや不動産株が人気に

マイナス金利導入の発表後、不動産市場では、J-REIT(不動産投資信託)や不動産株が好調な動きを見せています。

個人で不動産投資を行う際には、購入したマンションやアパートを賃貸に出し、得た家賃収入が自分のところへ入ってくることになります。J-REITは金融商品の一種で、ホテルやオフィスビルなどの不動産を投資家から集めた資金で購入し、得た利益を投資家に再分配するという仕組みになっています。

J-REITの利回りは3%程度と比較的高く、マイナス金利の導入により他の金融商品の利回りが低下したことや日銀がREITの買い入れを行っていることなどから、J-REITに乗り換える投資家が増え、J-REITの価格は上昇傾向にあります。

J-REITが家賃収入などの安定したキャッシュフローが得られるのに比べ、不動産株は大手不動産会社による規模の大きな土地開発などに多額の投資を行うこともあるため、REITに比べるとリスクが高い傾向にあります。しかし、マイナス金利導入により、銀行から不動産融資を受けやすくなったことや、資金調達コストを圧縮できることもあり、不動産株は上昇しています。