日本経済への影響

日本経済への影響としては、円高による輸出産業へのダメージが心配される。日本企業の対ドル想定レートが110円前後であることを考えると、100円割れの状況が続けばかなりの減益になるであろう。また、これまで日本の景気を下支えしてきたインバウンド需要にも影響がでる。今は情報が瞬時に伝わるため、他国の経済の低迷が日本にも飛び火する。イギリスやEUの経済がダメになるかどうかはわからないが、短期的には日本の経済にとって悪い影響を及ぼすことは明らかである。さらに、2016年はアメリカ大統領選挙も控えている。もし、2017年からトランプ氏が大統領になってドルが暴落するようなことがあれば、円高はさらに進むことになる。トランプ氏はTPP離脱も表明しているので、輸出という側面では日本にとってマイナスとなる。

ただ、日本とイギリスとの関係を見てみると、イギリスはEUの玄関口として魅力があったが、EUを離脱してしまえばその魅力はなくなってしまう。ロンドンのシティが世界の金融センターでありえたのは、英語圏でかつEUの金融センターであったからで、EUを離脱してしまえば、それをドイツやフランスに移転すればよいだけである。したがって、金融に関しては日本にとってそれほど影響はないであろう。

また、英国向けの輸出額は、2014年度1兆1,842億円で、EUの15.7兆円、米国の21.2兆円と比べても小さいため、英国との2国間貿易のみを見れば影響は限定的である。

以上のように、イギリスのEU離脱問題は日本経済にとって良いことはないが、離脱までは2年間あることから、その間に情勢が変わればEU離脱を撤回するということも可能性としてはゼロではない。今は、むしろアメリカ大統領選挙が気になるところである。大事なのは、予想外のことが起こった場合に、どのような行動を取るかを事前に考えておくことである。(提供: 百計オンライン

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