丸亀製麺,トリドール
(写真=ZUU online 編集部)

セルフ式讃岐うどん店「丸亀製麺」をチェーン展開するトリドール <3397> の業績が好調だ。2016年3月期決算は、売上高955億8700万円(前年同期比9.5%増)、営業利益87億3300万円(109.2%増)、税引前利益81億1700万円(124.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は52億1200万円(163.0%増)となった。

外食チェーン不況と呼ばれる時代に、圧倒的な成長を遂げているトリドール。その秘密に迫ってみよう。

トリドール株は丸亀製麺の好調を背景に75%上昇

トリドールは主力の丸亀製麺の店舗数が2016年3月末で775店まで拡大している。丸亀製麺の売上高は824億円とトリドールの86%、利益でトリドールの94%を占めるまさに大黒柱だ。丸亀製麺以外の形態は、焼き鳥の「とりどーる」、ラーメンの「丸醤屋」、焼きそばの「長田本庄軒」などがある。

好決算と既存店の好調を受けて株価も堅調だ。5月12日の前期決算発表以来買いを集めていたが、7月5日に発表された6月の既存店売り上げが8.7%増とのリリースを好感し、7月8日には3300円と上場来高値を更新している。5月6日安値の1890円からは75%の上昇だ。

外食や小売業界を見るのに一番便利な指標が、(新規出店分の売上を含まない)既存店の売上動向だ。既存店動向はHPで閲覧できるが、トリドールの2016年3月期通期の既存店売上は6.4%増だった。外食不況が叫ばれる業界にあって比較的高い伸びだ。

今年度に入っても、既存店は4月0.9%増、5月5.3%増、6月8.7%増と好調をキープしており、6月の伸びは特に高くなっている。

丸亀製麺は「デフレの勝ち組」でもある

日本フードサービス協会が2016年6月27日付で発表した2016年5月の外食産業売上は、前年同月比0.6%増。小幅ながらもプラスが6カ月連続となっている。プラスを牽引しているのはファーストフードだ。ファーストフードは4.6%増とマクドナルドの回復が牽引し高い伸びとなった。

一方で、昨年まで3年近く順調に推移していたファミリーレストランが2.0%減と2016年3月に続き今年2回目の前年同月比でのマイナスとなった。さらに悪いのは、パブ/居酒屋で12.7%減となっている。

日本は、1991年以降バブルの崩壊で「失われた20年」と呼ばれる長期デフレ局面に入っていた。その間、ファミリーレストラン売り上げは減少傾向で、ハンバーガーや牛丼といったファーストフードのみが堅調だった。2013年からのアベノミクスによる景気拡大で、逆にファーストフードの売上が落ち込み、レストランが回復するトレンドになっていたが、2015年後半以降、特に2016年を迎えてからは、再びデフレ色の強いファーストフードが堅調になっている。

丸亀製麺は、ファミリーレストランとファーストフードの間に位置しており、デフレメリットを享受している。ただ、丸亀製麺の抜群に高い伸びは、それ以外にもリピーターを引きつける「何か」があるに違いない。